【感想・ネタバレ】シャーロック・ホームズの生還のレビュー

あらすじ

ライヘンバッハの滝で死んだはずのホームズが生還した!……その顛末とモリアーティ教授の右腕モラン大佐による事件を描く「空き家の冒険」、有名な暗号ミステリ「踊る人形」、ナポレオンの胸像を壊してまわる不思議な人物の話「六つのナポレオン像」、有名なせりふ『さあ、ワトスン、獲物が飛び出したぞ!』を生んだ「アビィ屋敷」など、13編を収録。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

世界中の人々から愛されているシャーロック・ホームズ、その彼を最も憎んでいたのは誰あろうホームズをこの世に生み出したコナン・ドイル自身だったという事実には驚かされた。
1887年のホームズ初作『緋色の研究』、続いて1890年『四つの署名』と2つの長編が発表された当時、ホームズ作品はさして注目を浴びておらず売れ行きも芳しくない状況であった。それが、1891年イギリスの月刊小説誌『ストランド・マガジン』に短編集として連載が始まるとともに驚異的な支持を得ることとなった。実はドイル自身は歴史小説や哲学的小説に興味があり、ホームズ作品は軽い娯楽小説のノリで執筆していた。ところが自分の思惑に反して世間のホームズ人気が予想を遥かに超えるものとなってしまった。意には反するが、書けば莫大な報酬をもたらすこの作品を葛藤しながら世に送り出していた…
しかし、ついに嫌気がさしたドイルは編集部の反対を押し切り、終止符を打つべく小説内でホームズを殺してしまうという暴挙にでる。しかもホームズ人気が絶頂極まっている時にだ!これこそが前作品に収められた『最後の事件』である!
当然の如く熱狂的な信者たちは編集社に猛抗議し、さらには喪章をつけたファンで溢れかえるという事態まで引き起こしたらしい。。編集部はその後も再三にわたり再開を打診するがドイルの意思は固かった。それでも世間の圧力に屈したドイルは8年後の1901年に長編『バスカヴィル家の犬』を執筆し、本作の『空き家の冒険』でホームズを正式に復活させ連載再開することになる。ただ、その後もドイルは隙をみては何度もホームズを亡き者にして連載を打ち切ろうと画策していたという…
まぁ、本来目指していた自分の書きたい作品が評価されず、遥か遠くに独り歩きしてしまったホームズを憎んでしまう気持ちはわからんくもないが、ドイルが書いた歴史小説や文学小説を読みたいかといわれると…申し訳ないが全く興味を惹かれない。。
(そもそも何を書いたのかも知らない)

さて本作品だが、ライヘンバッハの滝で死んだと思われたホームズが生還を果たしていたという前述の『空き家の冒険』に始まり、その他お馴染みの短編集で綴られた全12作品が収載されている。やる気のないドイルが嫌々執筆したのなら、さぞ質が落ちるのかと思いきや、そんな事は全くなく以前と同様、いやそれ以上に面白い作品に仕上がっている。当時の読者たちも、より洗練された内容に歓喜し、ホームズの人気は確固たるものへ確立していく。
うむ、ホームズを作り続けることは天命だったと素直に認めたほうがいいと思うよ、ドイルさん。

『シャーロック・ホームズの生還』に収載された全12編の個人的評価(好み?)を載せておく

空き家の冒険 ★★★★★
ノーウッドの建築業者 ★★★★☆
踊る人形 ★★★★★
美しき自転車乗り ★★★☆☆
プライアリ・スクール ★★★☆☆
ブラック・ピーター ★★★☆☆
恐喝王ミルヴァートン ★★★★★
六つのナポレオン像 ★★★★★
三人の学生 ★★★★★
金縁の鼻眼鏡 ★★★☆☆
スリー・クォーターの失踪 ★★★☆☆
アビィ屋敷 ★★★★☆
第二のしみ ★★★★☆

0
2025年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なぜか今ごろホームズにどハマりしているわけだが、空き家の冒険でおかえりホームズと当時の読者同様に歓喜せざるを得なかった。どれもエンターテイメントとしてよくできている短編だと思う。恐喝王ミルヴァートンのような強敵や、第二のしみのような国際問題と思いきや人の過ちの話まで、楽しませてくれるものが多いと感じた。

0
2025年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

空き家の冒険
 ライヘンバッハの滝からのホームズの復活とモラン大佐との駆け引きが見所。ライヘンバッハの事件を読んでからもう一回読み返したい。モラン大佐がロナルド・アデア卿にばれてしまったトランプのイカサマ。これがベイカー街の亡霊の猿を使ったイカサマに繋がるわけか。

ノーウッドの建築業者
 コナンの「コンビニの落とし穴」のオマージュ元でもある「火事だ!」の話。結構好きやからよく覚えてる。母親との因縁から濡れ衣着せられかけたジョン・ヘクター・マクファーレンが可哀想。「ジョナス・オウルデイカーを紹介しよう」このセリフも印象に残ってる。

踊る人形
 ホームズの中でもかんなり有名なエピソード。依頼人のヒルトン・キューピッドが亡くなってしまうのが残念。暗号の解読方法が僕にとっては斬新。日本人やからついつい行と段に分けた暗号にしがちやけど、英語やとそうはいかない。26文字のオリジナル文字だけで十分暗号足り得てしまう。Eからどんどん推理していく様子はいつか真似したいなぁ。

美しき自転車乗り
 ぼんやりとどんな話か覚えていた。ヴァイオレットを追いかける人物は誰か?そしてその目的は?雇い人カラザーズ、いかにもな悪者ウッドリー、彼氏シリル、謎の牧師ウィリアムスンと申し分ない数の容疑者達。その真相は仲間割れ。ラルフ・スミスの遺産を手に入れるためにヴァイオレットと結婚する計画だったがカラザーズはヴァイオレットに惹かれてしまう。ウッドリーから妨害しようと考えたカラザーズはヴァイオレットの後をつけ守ろうとした。危険とヴァイオレットに伝えなかったカラザーズに言うワトスンの「それは愛ではなくエゴイズム」はまさしくその通り。エゴイズムであっても償いをしようとしたのだから救われた、ということだろうか。

プライアリ・スクール
 名前はなんとなーく覚えてる作品。ホールダネス公爵の息子、アーサーが誘拐され数学教師ハイデッガーも消息不明。犯人からの要求も一切無し。犯人の逃亡方向が判明してからのワクワク感がたまらない。二種類のタイヤ痕、いないはずの牛の足跡、そして見つかるハイデッガーの遺体。判明するいかにも悪そうな男、ルービン・ヘイズ。いきなり怪しげな行動をする公爵秘書ジェイムズ・ワイルダー。どんどん謎が明かされていく中ホームズが指摘したのはホールダネス公爵の共犯行為。びっくり仰天だった。ワイルダーがヘイズを使って憎き弟を誘拐したがハイデッガーの死に怯えホールダネス公爵に全てを打ち明ける。ホールダネス公爵は息子可愛さに絆されヘイズ逃亡の手助けをしてしまう。悪いのはもちろん誘拐と殺人をしたヘイズとワイルダー。でもその根底にあるのはホールダネスの優柔不断な態度。ワイルダーを危険に思いつつも母親の面影から切り捨てられない結果次男を危険に晒してしまう。「美しき自転車乗り」にも似てるかな。この恋愛感情で行動が乱されているが故の事件。

ブラック・ピーター
 この話も読んだことある気がする(当然か)。驚くべき怪力ってフレーズに聞き覚えがあった。悪名高い酔っぱらい通称ブラック・ピーターが銛で一突きにされた。父親の消息を知るためピーターを追う青年ネリガンをホプキンスは逮捕するも、真犯人はピーターを恐喝しようときていた銛使いのパトリック・ケアンズだった。「常に別の可能性というものを忘れてはならない」。良い言葉だ。覚えておこう。

恐喝王ミルヴァートン
 めっちゃビターエンドと言える話。ある意味ホームズの完全敗北ともとれてしまう。法を犯してでも正義のために恐喝のための手紙を手に入れようとしたホームズだったが、盗難の最中別の貴婦人がミルヴァートンを撃ち殺してしまう。ミルヴァートンは死に恐喝王はいなくなったがその犯人は世間的にはようとして知れない。

六つのナポレオン像
 はっきり覚えている話の1つ。モース・ハドスンの店で2つ、バーニコット博士の家で1つ、ホレス・ハーカーの家で1つ壊されるナポレオン像。ホームズは壊した場所から犯人が何かを探していることを推理し捜査を進めていく。どれに真珠を隠したかわからないから全部ぶっ壊す。このスタイルの話はこの後も色んな作家が真似ている気がする。どれとはぱっと思いつかないけど。

三人の学生
 タイトルは覚えていた。アイザック・アシモフでもあったなぁ。試験問題の謎。今回は誰が部屋に侵入し試験問題を盗み見たのか?悔しいなぁ。身長や体格に着目すれば良いってのは想像ついてたのに。部屋からこっそり出られるのは一番小柄なダウラット・ラースかと思ってたのに見事にはずされた。誰が試験問題を知り得たか?これを考えれば謎はすぐに解けたのに。コナンで出てきた陸上競技はハンマー投やけど、ホームズでは走幅跳びが出てきていたか。粘土状の土ってのはよくわからんが、昔はそんな感じやったんかな。

金縁の鼻眼鏡
 結末だけ覚えていた話。アンナは奥歯に毒を仕込んでたんちゃうかったっけ?あんなにぼかした書き方やったかな?そこだけ記憶と違う気がする。鼻眼鏡の特徴から犯人の特徴を推理する。それだけに留まらず犯人のとった行動まで推理できた。もう一歩推論を突き詰めれば真相に気づいたのになぁ。思想活動で捕まった同志のための侵入、侵入した家は思想活動を裏切った夫。今でもパロられそう…。

スリー・クォーターの失踪
 ストーントン!!覚えてる!覚えてる!何の話やと思ってたけどストーントンを見て思い出した!結末も思い出せた。電報を見ていきなり姿を消したスリー・クォーター、ゴドフリー・ストーントン。吝嗇漢な伯父、マウント-ジェイムズ卿、ホームズすら出し抜くレズリー・アームストロング博士と謎のおっさんが揃う中、結末はなかなかに悲しい。密かな結婚生活に突如訪れる不幸を前にしてはラグビーの試合すらも手につかなかった。失敗ではないけれど悲しい話や。

アビィ屋敷
 全然記憶にない…。レディ・ブラックンストールが嘘をついてることはすぐにわかった。今回の肝はホームズがどうやって解決するか、だと思う。横暴なユースタスを殺したのはレディ・ブラックンストールと所縁のある人物。その動機はおそらく彼女のため。口を絶対に割らない彼女からは真相は聞き出せない。ホームズは彼女と恋におちたクローカー船長と対峙し、司法よりも正義を優先させた。犯人を見逃したことについては賛否のわかれるところやろうけどホームズは法の上位概念に位置しているタイプの探偵だと思う。陪審員が無罪と言ってるのだから無罪なんだ。それが正しいことは2人の人生が証明するだろう。「獲物が飛び出したぞ!(The Game Is Afoot!)」ホームズの名言とは初めて聞いた。何故gameを獲物と訳したのかも解説されているからそこを深堀りしたらもっと面白そう。

第二のしみ
 ドイルはこれでホームズの話に2回目の区切りをつけるつもりだったらしい。それに相応しい話だったと思う。イギリスの首相と官僚から依頼された書簡盗難事件、殺されるスパイ、秘密を抱える美女。ここでも原因は過去の恋。この時代にもリベンジポルノってあるんやなぁ。ヒルダ夫人はスパイ、エドアルド・ルーカスに脅され書簡を盗む。だが、ルーカスは浮気を疑った妻に殺されてしまう。隠し場所を見ていたヒルダ夫人は絨毯を動かして書簡を奪い返すが第二のしみを残してしまう。皆が幸せになるようにしれっと嘘をつき夫婦を救う。それに首相は薄々気づき、そんな首相にホームズは粋な返答をする。うん、これが終わりでも十分な出来やと思う。

 覚えている話、忘れている話、色々あった。記憶を掘り返す作業ってやっぱり楽しい。まだまだ読みたい。もっと読みたい。ロンドンの霧の中で一生埋もれていたい。

0
2023年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホームズが正式に復活した「空き家の冒険」
「恐喝王ミルヴァートン」などが収録された短編集
作者コナンドイルが、ホームズものを終わらせたい
或いはあまり乗り気でないと思わせるような描写が
微細だが随所に見られる。

0
2022年12月25日

Posted by ブクログ

ホームズの世界にのめりこんでいくような不思議な感覚を体験したい人にはおすすめの一冊。短編集になっているので、隙間時間を有効活用できる。本を読みたいけど時間がないという人にはもってこいの作品。ミステリー好きな人にはぜひ!
(ゆ)

0
2021年12月07日

Posted by ブクログ

確かにトリックの面白さは薄れてるかも
でも脅迫王ミルヴァートン、スリークォーターの失踪、アビィ屋敷あたりを中心にホームズの人間っぽさが増した感じがして楽しい

0
2019年12月04日

Posted by ブクログ

ホームズ見事な生還。
そしてワトスンとまた共同生活・・・ってあれ? いつ離婚したのさ!?
短編集、いろいろと面白かったんだけど、最終的な印象が、ホームズってほんとワトスン好きよね・・・。
(他に友達いなさそうだものなあ、あの独特の性格じゃ)。

0
2015年02月26日

Posted by ブクログ

ライヘンバッハでの別れを経てより親密になった名コンビ。
2人が再会を果たす「空家の冒険」と、2人して強盗に入る「恐喝王ミルヴァートン」が好き。

0
2013年04月29日

Posted by ブクログ

ホームズ復活は大変格好よかった。ドイルはホームズは最後の事件で終わりにするつもりだったらしいのにここまで華やかに再統合させられるのは流石だと思った。

0
2013年02月06日

Posted by ブクログ

『空き家の冒険』

『ノーウッドの建築業者』

『踊る人形』

『美しき自転車乗り』

『プライオリ・スクール』

『ブラック・ピーター』

『恐喝王ミルヴァートン』

『六つのナポレオン像』

『三人の学生』

『金縁の眼眼鏡』

『スリー・クォーターの失踪』

『アビィ農園』

『第二のしみ』

0
2010年06月02日

Posted by ブクログ

短編集。全13話。

前回のラストに、モリアーティー教授と滝壺に落ちたはずのホームズが、実は生きていた!!ってなわけで、見事な生還を果たしたホームズ。またまた、色んな事件を解決してくれます(*´▽`*)

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

 ホームズの鮮やかな復活劇を描く「空き家の冒険」など、生還した名探偵の八面六臂の活躍にハラハラ・ドキドキした。
 ホームズとワトスンのバディ感にときめきを覚えつつ、冷徹なホームズが事件関係者に見せる思いやりや優しさが沁みる。
 ホームズの論理的な推理が魅力だが、時折ほぼ推理していない回だったり、強引さが目立つ回があったりとムラもあった。

0
2025年11月07日

Posted by ブクログ

ブラックピーターのシュールな挿絵に笑った。踊る人形もビジュアル的にエドガー・アラン・ポーの黄金虫より大分好き。話は悲しいけど…金縁の端メガネは過失とは言え1本殺してしまったのに食欲旺盛な女性というのがツッコミを入れたくなってしまった。読み物としては暖かい気持ちになれる3人の学生がお気に入り。恐喝王ミルヴァートンと第二のしみで上流階級の女性も気の毒なところがあるなと思った。

0
2023年06月10日

Posted by ブクログ

ホームズの生還。またホームズの物語が読める。当時の読者の嬉しさはどれだけのものだったのだろうか。そして以前と変わらない面白さがそこにはあった。まだホームズの物語は続くのだ。

0
2022年11月14日

Posted by ブクログ

"ホームズ復活の巻"も読んだぞ!
ということで、「以上、終わり、ホームズはもうやめて別の作品に移ろう!」という気持ちと、「ここまで読んだのだから短編集だけでもコンプリート目指せば?」という気持ちとがせめぎあった結果、残る2つの短編集は光文社文庫新訳版の「解説」だけ読んじゃった(夫が過去に買っていたから良かった)。

短編集『~生還』の最後の『第二のしみ』という話も、コナン・ドイル的にはホームズ最後の作品のつもりだったようで、「もうホームズは探偵業は引退しているし私が彼の活躍を発表するのはこれが最後だ」とワトソンに説明させている。でもまだその後に長編が1冊、短編集が2冊出ていることを後世の私たちは知っている。
ただ、月一サイクルでの連載はついに『第二のしみ』が最後となり、その後の発表ペースは時期によってまちまちとなった。人気連ドラが何クールか放送された後、たまに特別編をやってお茶の間を賑わせるのに似ている。

『~生還』の中の第一作『空き家の冒険』(つまりホームズ復活編)が雑誌に掲載され世に出たのは1903年で、前作、つまりホームズの死ぬ『最後の事件』の掲載(1893)から10年経っており、現実のロンドンは既に「自動車と電灯と電話の時代」に変わっていたそうだ。
だが作中の年代は1894年。ホームズの物語は変わらず「馬車とガス灯と電報の時代」として描かれ続け、その方針は後続の作品でも変わらなかったらしい。ということは後半戦はノスタルジックなパラレルワールドのような側面も作品の特徴として愛されたのかもしれない。携帯電話が登場しないサザエさんみたいに。


その他雑感。
・ワトソンは妻と離別しホームズとの同居生活に戻った。そして医者も廃業(これは実はホームズが手を回した結果)。晴れてワトソンはホームズ補佐に100%稼働をあてられるようになったわけだが、これが幸せなのかどうかよくわからない。だってなんかホームズのワトソン批判が多くなったような気がする。やれ捜査を任せたのに何の収穫もなかっただの、僕の物語をドラマチックに書き過ぎだの。
・警察の人間としてはレストレード警部がずっと、ホームズと対照的な「愚鈍な警察」の象徴として準レギュラーを張ってきた。ここへきてホプキンズという若手警部が新登場。彼はホームズからも「なかなか見所がある」と評価されている優秀な人物で、それにレストレードと違ってホームズを尊敬しているときた。ここで私はまたもや古畑任三郎の西園寺くん(アリの人が演じた)を思い出す…。読者としては、レストレード警部が道化を演じてくれる話の方が断然面白い。いつもルパンにしてやられる銭形警部みたいなイメージ。

0
2021年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホームズがライヘンバッハの滝から生還!
ホームズが生還するのは知っていたので驚かなかったけど、ワトスンが独身に戻っていたのは驚いた。理由ははっきり書かれていないので、死別説と離婚説、両方あるようだ。ワトスンが家庭を持って開業医をやってるとホームズの助手として動かしにくいので、元のルームメイトに戻したんだろうか。
事件はバラエティに富んでいる。特に「恐喝王ミルヴァートン」は今までにないタイプの話だったし、「アビィ屋敷」もラストが印象に残った。

0
2020年12月20日

Posted by ブクログ

初期に比べるとトリックの意外性はさすがになくなるが、細かな手がかりから論理的に犯人を導き出す流れは秀逸。

0
2015年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前回ライヘンバッハで死亡したと思われたホームズの生還から始まる短編集第三弾。

ずっと角川文庫のを読んでたけど、この辺はまだ出版されてなくて、でも待てないので光文社に乗りかえ。

作者はホームズを復活させる気は当初なかったらしいので、生還できた理由のところは無理矢理感が凄いし、納得出来ないような部分もあるけど、それでもホームズを復活させてくれたことには感謝したい。
きっとファンの皆さんもそんな気持ちなんだろうな。

今回は『空き家の冒険』と『恐喝王ミルヴァートン』が好きだな。
二人が一緒に捜査するところがいい。
ホントいいコンビだなぁと。

あとは、『踊る人形』も暗号もので面白かった。

次はバスカヴィル家の犬読もうかなぁ…

0
2013年11月06日

Posted by ブクログ

やっぱり面白かったですね。
これは、大人が夢中になるのも分かりますね。
当たり前ですけど、名探偵コナンはもちろん、探偵ものというよりヒーローものの原点ですものね。
ゴルゴ13だってルパンだって金田一だって、全部ここから来たんですねえ。
相変わらず光文社の新訳も悪くないです。

確かに初期よりかは、冒険モノ、アクションモノの要素が増えてはいます。
しかしまあ、犯罪者ミステリーの原点らしく、よく考えたら(例外はありますが)どれもヒトの業が描かれてるんですよねえ。
金銭欲と男女の愛憎のもつれ。
そんなヘドロのようなニンゲンらしいぐにゃぐにゃを、クールでそんなことに無関心なホームズがばっさり暴いて、場合によっては大岡裁き。
うーん。娯楽ですねえ。木枯し紋次郎も中村主水も、ここから来てますね。いやあ、脱帽。
残りも今年中に読むでしょう。
今年は個人的には、光文社新訳シャーロックの年だなあ。
本を読むのは愉快なモノです。

以下の12篇。備忘録。ネタバレです。



①空き家の冒険
変わった殺人事件がロンドンで。どうやらかなりの狙撃手の仕業。
そんなニュースを見ているワトソンの前に死んだはずのホームズ登場。
悪の組織の目をごまかすために世界を放浪していた、と。
ホームズを狙う悪者を、ベーカー街自宅の向かいの空家で待ち受けて逮捕。
特殊な銃の名手で、先行の事件の犯人でもありました。
ワトソンは詳細はわからないが妻と離別している。
ふたりはまたベーカー街で同居を始める。

②ノーウッドの建築業者
若い勤め人が、突然老人から遺産相続人になってくれ、と。
その夜、その老人が殺害、彼が容疑者に。
ところが真相は、その若者の母に恨みを持っていた老人の狂言だった。
壁に残された不自然な指紋から、ホームズが狂言を暴く。

③踊る人形
かつてシカゴの犯罪集団のボスの娘だった女が、イギリスで過去を隠して結婚。
昔の男が執念で言い寄る。暗号に使われた踊る一文字の解読が肝。
結局ホームズ微妙に間に合わず、夫は昔の男に殺されて、妻も瀕死のところで犯人を捕まえる。

④美しき自転車乗り
イギリスの植民地、南アフリカで、金持ちで死にそうになっている男。その男の娘がイギリスにいる。
悪党ふたりがその娘と強引に結婚しようと。
だが、一人が本気で惚れてしまう。
で、仲間割れ。殺し合い。
はじめはただのストーカー騒動に見えたが、ホームズが間一髪助ける。

⑤プライアリ・スクール
名士の子供が通う全寮制の学校から、子供がいなくなった。
追って出たらしき教師がひとり死んだ。
真相は、その子の親の貴族の、庶子の恨みの犯行。
味噌は馬のひづめが牛のように見えるという、地元の風俗。

⑥ブラック・ピーター
船乗りの悪党が、漂流者から株券を巻き上げて殺害。数年後、それを知ってる別の船乗りが強請に。
喧嘩、銛で殺害。
株券を巻き上げられた男の遺族が色々あって疑われるが、
銛の使い方から別の犯人と確信したホームズが暴く。

⑦恐喝王ミルヴァートン
強請屋のミルヴァートン。今日も名誉ある女性の不名誉な手紙でお金を要求。
代理人のホームズも歯が立たず。
とうとうワトソンとふたりでミルヴァートン邸に盗賊に入る。
たまたまその夜、ミルヴァートンさんは別の女性に殺害される。
ふたりは大量の恐喝素材を燃やして、警察を逃げ切る。

⑧六つのナポレオン像
盗賊が、警察に捕まる直前に高価な宝石をナポレオン像に隠した。
後ほど、候補の6つのナポレオン像を一つ一つ探して壊す。
それをホームズが逆算して暴いて逮捕。

⑨三人の学生
大学でテストの答案が盗み見られた。
犯人候補が三人の学生。
犯人の大学生を知っている小間使い?が匿おうとするが、
ホームズが推理で暴く。犯人改心して外国へ去る。


⑩金縁の鼻眼鏡
ロシアで反政府運動に関わっていたが、弾圧時に裏切って仲間を売った男。
今はイギリスで名を変え学者としてひっそり老いている。
そこに恨みつらみを抱えた老女?が復讐にやってくる。
ひょんなことから秘書の若い男性を殺害してしまう。
女性をかくまうしかない学者老人。書斎の隠し本棚の中にかくまうが、
老女が残した眼鏡からホームズがそれを暴く。
老女は告白して、服毒自殺。

⑪スリークオーターの失踪
大学ラグビーの名選手が実は身分違いの女性と秘密に結婚していた。
その妻が病に倒れたことから彼は失踪して看病。
その真相を暴く。

⑫アビィ屋敷
オーストラリアからイギリスに来て、今で言う酒乱でDVな男と結婚した女性。
その女性に惚れていた船乗りが、夫を殺害。
昔からのメイド女性と三人で作り話を。
それをホームズが暴くが見逃す。

⑬第二のしみ
政府高官が機密文書を自宅で盗難にあった。
実はその奥さんが、恐喝屋から、過去の恋文で恐喝されて、仕方なく盗んだものだった。
その恐喝屋が別線の絡みで殺されたことから事態が混乱。
殺害現場の血のしみがついた絨毯が動かされていて、床下に第二のしみが。
そこからホームズが真相にたどり着く。

0
2013年10月30日

Posted by ブクログ

短編集三作目。

前の短編集でライヘンバッハの滝に落ちたように思えたホームズが劇的な復活を遂げるお話から始まる。タイトルからこの展開は予想できたが、実際に復活する場面では思わず唸った。

この短編集でもこれまでと同様、それぞれのお話のクオリティが高く、読み進む手が止まらなかった。まったく、どれだけ傑作を生めば気がすむのだろう。

次は久々の長編『バスカヴィル家の犬』を読む。

0
2013年10月22日

Posted by ブクログ

抜群の安定感。
ホームズはやはり素晴らしい。

しかし、ホームズの生還以上に、ワトスンが独り身に戻ってたことにショックを受けました。

0
2012年09月05日

Posted by ブクログ

新訳シャーロック・ホームズ全集、第4段。

モリアーティ教授との戦いで死んだと思われてたホームズの帰還

ホームズがワトソンに自分であることを明かしたシーンは感涙モノ

きっと当時の読者が歓喜したんだろうなぁ、と勝手に想像

ホームズはやはり永遠のヒーローです

0
2012年07月03日

Posted by ブクログ

光文社版。
『空き家の冒険』
『ノーウッドの建築業者』
『踊る人形』
『美しき自転車乗り』
『プライオリ・スクール』
『ブラック・ピーター』
『恐喝王ミルヴァートン』
『六つのナポレオン像』
『三人の学生』
『金縁の眼眼鏡』
『スリー・クォーターの失踪』
『アビィ農園』
『第二のしみ』
海外では珍しい13編。

0
2012年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホームズが帰ってきたよ!!
というわけで、再会していきなり「人生初の失神」をしてしまうワトスンが超可愛い。
つーかどんだけ働くハドソン夫人っ。

事件そのものは、現代ミステリーに比べて驚天動地な設定はないけれど、日常に即している分、飽きが来ないのではないかな?と思わされる。
それにキャラクターの魅力が加われば、そりゃ最強ですね。はい。

0
2011年09月13日

Posted by ブクログ

漸く読み終わった…なんか疲れた。
こう、エンターテイメント性が強くなったよね、確かに。面白いけど、ここまでくるとシリーズ物の惰性も出てくる(読む側として)。

0
2009年10月04日

「小説」ランキング