あらすじ
昭和18年、戦時下の日本。国家のために死ぬことを夢見る軍国少年・勇二が出会ったのは、歴史学者の娘・涼子。
日本が戦争に負けると言い放ち、自由奔放に振る舞う不謹慎な彼女が、大学生の兄の恋人だと知ったのは、学徒出陣が近付く頃だった…。
「どうして俺が生き残っちゃったんだろうな」
「生き残ることは罪じゃないでしょう」
自由が統制され、夢を見ることさえ叶わない社会で、少年少女はどこへたどりつくのか。
秘密の図書館、真夜中の帝都、出征の朝、西へ向かう夜汽車、真っ白な日の丸。
『平成くん、さようなら』の著者による書き下ろし青春小説!!
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Posted by ブクログ
『好きって感情は魔物だからな。手懐け方を覚えておいて損はないぞ』
『学校で習うことなんて、常識が変われば役立たなくなるんだから。あらゆる知識は相対的なものだと思っておいたほうがいい』
『誰かの間違いを見つけて揶揄したり、糾弾するのは、とても簡単なのに気持ちいいの。知識なんて暗記さえすれば誰でも身につくでしょう。創造的才能のない人ほど、生半可な知識を楯に他人を批判する』
『幸福だから笑うわけではない。むしろ笑うから幸福なのだ』
『人間とは徹底的に好意に弱い、極めて単純な生き物』
『自分の思想を再確認して安心するような本を百冊読むよりも、常識を揺るがしてくれる本と一冊でも出会えたほうが価値がある』
『他人の心がわからないというのは、人間に与えられた一番の贈り物』
『誰かの自由に干渉できるのは、自分に害が及びそうな時だけ』
『解釈の違いを許容するというのは、戦いを避ける一つの知恵』
『お金の貸し借りと違って、暴力に貸し借りなんてない』
国家の為に死ぬのは本望、そう心から願う愛国者の少年・勇二。
魔女と呼ばれていた女の子・涼子。歴史学者の娘であり、長い黒髪に大きくて彫りの深い瞳に狐のような尖った鼻、まるでギリシャ石膏像を彷彿させる彼女に勇二は惹かれていく。
しかし、涼子は大好きな兄・優一と恋仲であった。
昭和18年、戦争下の日本。思想、自由が統制され、夢を見ることさえ叶わない社会。
少年少女はどこへたどりつくのか…
『あなたの知らない誰かが始めた戦争に、あなたの未来を決められていいはずがありません。かなたの未来を決められるのは、あなただけです』
『生き残ることは罪じゃない』
推しの著者・古市憲寿さんの最新本格青春小説。
この作品が先に発表され、芥川賞のノミネートされていたらもしかしたら…そう個人的に思います。
早くも2022年最高の作品に出会えた予感