あらすじ
本書は、新発見の、あるいはこれまで省みられなかった資料を利用し、おざなりの(リベラル歴史家に都合の良い)解釈で終わっている重要事件の深掘を試みるものである。たとえば、第二次世界大戦の前哨戦ともいわれるスペイン内戦だが、その実質は共産主義政府(スペイン共和国人民戦線政府)に対する反共産主義勢力(フランコ反乱軍)の戦いであった。しかし、一般書ではスペイン政府を「共和国」と記述するばかりで、当時の共和国が実質「スペイン社会主義共和国」であったことを書かない。また、第二次世界大戦期およびそれに続く冷戦期において、米民主党政権(ルーズベルト政権およびトルーマン政権)内に多くのソビエトスパイが潜入していたことを示すヴェノナ文書が発表されており、ソビエト崩壊後の1990年代から多くのソビエト側資料も出ている。これにより、一般歴史書の記述の修正が必要だが、リベラル歴史家による積極的な解釈の見直しの動きはない。本書によって、読者の歴史観は少なからず立体化し、合理的歴史解釈醸成の一助となるだろう。
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Posted by ブクログ
著者の渡辺さんによると、本書は第二次世界大戦の流れが頭に入っている人向けとのこと。チャーチルやフランクリン・ルーズベルト、スターリンなど歴史の表舞台の政治家らとその家族、関係者らの心情を人間ドラマとして開戦直前から終戦まで浮き上がらせている。
確かに教科書にない情報満載なので新しい視点を与えてはくれるが、どうも頭に入ってこなかった。史実を解説するとも異なるし、かと言って歴史小説というにも程遠く(渡辺さんは小説家じゃないし、本書にその趣旨もないわけだが)歴史の裏方で活躍してた政治家家族やスパイなどの初耳人物らに感情移入ができなかったのがその理由だろう。昼間のワイドショー賑わす愛憎劇の類が頭に入ってこないのに似てる(芸能人に興味がない)。
それにしても日本だけでなく全参戦国に問題はあったが、中でもチャーチルは戦禍に油を注いで全世界まで拡大させてしまったという意味で罪が重い。敗戦国だけが裁判にかけられるのも納得がいかない。