あらすじ
子どもたちの遊び場が次々に消失し、体を使って外で遊ぶ子どもの姿を見なくなった。自殺する子どもも、後を絶たない。子どもは本来「自然」に近い存在だと論じる解剖学者が、都市化が進んだ現代の子どもを心配に思い、四人の識者と真摯に語り合う。医療少年院で非行少年の認知能力の低さに愕然とし、子どもの認知能力の向上に努めてきた宮口幸治氏。インターネットで「正しい育児法」を追いかける親を心配する、慶應義塾大学病院の小児科医、高橋孝雄氏。国産初の超電導MRIを開発し、子どもの脳の大規模研究を行なってきた小泉英明氏。生徒が自分で野菜を育て、机や椅子も作る学校、自由学園の高橋和也氏。子どもと本気で向き合ってきた経験から紡ぎ出される教育論。 (目次より)●自分に注意を向けると、行動変容が起こる ●少子化で問題なのは、人口が減ることではない ●「いま」の喜びを体感できず、幸福が先送りされてしまう ●何かに「夢中」になることと「依存」は違う ●中学受験の難点とは? ●子どもは「人材」ではない
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Posted by ブクログ
付箋を大量に貼った。
子供を育てる身として覚えておきたいことばかりだった。読んでよかった!また読み返したい。
■メモ:
・やみくもにほめるのはよくない。好きな先生からたまに褒められることのほうが子どもには響く。
・先生は子どもを誉めるより先に、子どもからか尊敬される、好かれる先生になるべき。好かれる先生になるにはまず子どものフルネームを覚えること。子どもを軽視せず、子どもをまともに向き合う。子どもの話を聞くことが大事。
・みんな違ってみんないいというが、子どもは皆と同じをのそんでいるもの。みんなと同じにできるが先に来て、その上に多様性が乗っかってくる。
・人が一番幸せを感じるのは、人の役に立つこと。
・大人が教えるのではなく、子ども達同士で教えさせてみる。
・親は「安心安全の土台」と「伴走者」になることが求められる。子どもを電気自動車に例えると、親は充電器に相当する。子どもが外でいろんな経験をすれば、当然、エネルギーが必要となる。そうしてなくなった分を、帰宅してから親に充電してもらう。親という充電してくれる存在が、「安心安全の土台」になる。
「伴走者」は、車の助手席に乗っているイメージ。
p60
認知機能をトレーニングするのにおすすめが虫取り。自然のなかを走り回ることが空間認知機能が高まり、小さな虫を見つけたり、鳥のさえずりを聴いたりして、様々な認知機能が向上する。
p89
成熟した大人とは、共感する力のある人のこと。
人間関係に関わるさまざまな実体験を経て、人は「自分がこういうことをすれば、相手はこんな風に感じる」ということを五感を通じて学習する。その過程で想像力が育まれれば、初めてのことや困難に直面した時も、想像力を働かせて解決しようとする姿勢が自然に身につく。
人間が一人で手に入れられる幸せなど、大したものではない。人の幸せを共に喜び、人の苦しみをちゃんと理解し、寄り添うことのできる人は成熟した大人だし、幸せになれる人。
p93
子ども達の日常の幸せをまず考えるべき。「いま」の喜びを先送りしない。
p95
正しい子育てなんてない。
よそ見したり、道草したり、カーナビにはないルートを進み、様々な体験を積み上げていくことが人生。
p96
教育や子育ての本質は、効果主義や成果主義の先にはない。無駄なことや遠回りした先に待っている。
p97
大事なことは相手は自分とは違うルールで動いていると認めること。そのためには相手と本気で向き合わないといけない。
p131
1,2歳くらいまでは褒めて育てるのがいい。(コホート研究より)
p132
乳幼児期は身体と脳神経系の土台が築かれる時期。とりわけ神経回路画作られるのには臨界期があり、一歳くらいまでの期間に、神経回路が発達することが分かっている。その時期に子どもにとっていい環境を整えることが大切。具体的には、身の回りのものや自然の造花など、様々なものに手で触れるのがいい。新しい動作ができるようになったり、新しい言葉を覚えたら心から褒めてあげるといい。赤ちゃんは喜んで、また褒められたいと、学習への意欲を一層高める。
生まれてからの数年間はしつけよりも愛情と関わりが大切。ー最初はこの世界に興味を持たせることから始まる。
p135
乳幼児期にはしつけは必要ない。
p152
勉強は自分の頭を整理すること。自分が見ている世界の見方を整理するために勉強する。
p159
幸せというのは物質的に満たされることより、いま置かれている状況に満たされ「自足」して生きることにある。
p211
国とか政治とかは「いつ、だれの役に立つかわからないこと」を長い目で見守り、応援していかなければならない。ー国の運営には、長い目で見ることが必要。
p214
子ども達は人間であり、自由な主体として生きる一人格である。
Posted by ブクログ
成熟した大人とは共感すること
やるきを引き出すための三つの要素
→見通し目的使命感
ネット社会の弊害
→無言化、孤立化、実体験の減少
死を悟ると子供は天使のようになる
幼少期は外に出て体を動かすこと
転ばぬ先の杖はしない
Posted by ブクログ
対談のお相手が興味のある分野の方々だったので、あっという間に読み終えてしまった。
タイトルにある“大事な三つの力”とは
「認知機能」
「共感する力」
「自分の頭で考える人になる」
のこと。
各分野のエキスパートの皆さんからの示唆に富んだ内容だった。