【感想・ネタバレ】日本の問題は文系にある なぜ日本からイノベーションが消えたのかのレビュー

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Posted by ブクログ

本著の要諦は既存の知見を模倣、改善して新たな価値を想像する、
「持続的イノベーション」ではなく、
既存の常識を根底から覆す「破壊的イノベーション」が、
生まれない事に対して警笛を鳴らしている。
そして、その要因は「権威主義」に代表されるような、
「文系」特有の慣習やしがらみに起因しているというのが本著の要諦になる。
「問題は文系にある」というタイトルを見ると、
「文系の知」そのものを否定しているかのように見えるが決してそうではなく、
むしろ、技術的分野のみに影響が限定される「理系の知」と異なり、
社会全体の構造を覆す可能性のある「文系の知」に対する期待の裏返しと受け取りたい。
一応、「文系」の端くれとしては、「問題は文系にある」と言われないようにと、身の引き締まる想いがした。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

確かに!や、なるほど!という感情がたくさん自分から出てくる本の内容だった。
本のタイトルの内容だけではなく、その他の日本のヤバい性質を知れた。

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2022年05月15日

Posted by ブクログ

「日本の問題は文系にある」というのは、本書の主張の一つではあるけれど、若干「看板に偽りあり」という印象です。
とはいえ、イノベーションが日本から消えた理由としては、「そうかも」と思う部分が多々ありました。

日本の官僚、とくに文科省の官僚がイケてないのが、日本の大学がイケてない原因、といったことが書かれている部分があるのですが、これについては、文科省や他の省庁の官僚と仕事をした自分の経験を思い出し、「そう!そう!」と何度も首肯しました。

ちなみに、「破壊的イノベーション」という言葉が何度も出てくるのですが、いわゆるシュンペーターのいうところの「破壊的イノベーション」ではなく、「破壊的イノベーション」という言葉から連想されるイメージを狙って「破壊的イノベーション」という言葉を使っているようで、そこは気になりました(あえてそのような使い方をしているのならばよいのですが、「破壊的イノベーション」の本来の意味を理解していないまま使っているとすると、この本の内容が、根幹から揺らぐ気がしました)。

今後の日本のあり方については、まずは国として大きな絵を描き、そこに紐づくような施策の体系を考え、施策を実施していく中で、現実に合わせて施策をチューニングしつつ、大きな絵に近づいていくべきだと思うんですよね。
そういう政治家や官僚を生むような教育体系や、それらを受け入れる社会風土を形成していかないと、日本のこの先は危ういな、と思いながら、本書を読みました。

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

著者の経験に基づく偏見を通して考察された良書。破壊的イノベーションの必要性、日本学術会議の不要論、灘高の授業の面白さ、米国と日本の教育の違い、修士課程への助成制度の必要性など、興味深い。日本の文系がノーベル賞を取っていないなどの誤りが無ければもっと良かったし、もっと尖って議論を深めても良かった。文系が何故問題なのか。文系の何が問題なのか。

結局の所、文系には別に罪は無い。世の成り立ちを原理原則、構成要素で解明し、利活用しようとするのが理系ならば、世の成り立ちを人の営みで解明し、利活用しようとするのが文系。世の法則を記号化して相対的に理解・活用するのが理系、言語活動を記号化するのが文系、とも言えるだろうか。とにかく、残念ながら、文系という属性に日本をダメにするほどの力は無い。経済学や社会学はその仕組みを解説できても、例えばゲーム理論における最適解が必ずしも日本における全ての項目を良くする結果とはならないからだ。一部は良くなっても、一部は悪くなる。そこに関しては「日本の問題」を定義しないと、お話にならないではないか。未成熟というかお粗末な議論である。

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2022年05月30日

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