【感想・ネタバレ】感染症としての文学と哲学のレビュー

あらすじ

パンデミックに深く影響を受けたのはカミュの『ペスト』だけではない。ペスト、コレラ、結核、エイズ――紀元前の古代ギリシアの時代から現代にいたるまで、文学者や哲学者がいかに感染症=病のイメージを自らの思考に取り入れてきたか。病とは人にとって何なのか。病気とともに生きてきた人間の一側面を、文芸批評家の著者が圧倒的な知識と手際で鮮やかに切り取る病の文化史。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

そうそう、この3年くらい、こういう本を読みたかったんだった。
さらに映画も追記していきたい。ex.ヴェルナー・ヘルツォーク「ノスフェラトゥ」、ジョージ・A・ロメロ「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」etc...
さらに読み継ぐなら、平凡社ライブラリーの「病短編小説集」「疫病短編小説集」「医療短編小説集」。

@以下、コピペしたものに、目次に反映した人名のみを●で追記。

◎目次

序章 パンデミックには日付がない

第一章 治癒・宗教・健康
【1】癒すこと、患うこと
【2】疫病と宗教
【3】健康の哲学 ●イマニュエル・カント

第二章 哲学における病
【1】古代――プラトンからルクレティウスまで ●プラトン ルクレティウス ヒポクラテス 
【2】近代I――デカルトとその批判者 ●ルネ・デカルト パラケルスス アンドレアス・ヴェサリウス ウィリアム・ハーヴェイ
【3】近代II――カント・ヘーゲル・ニーチェ ●イマヌエル・カント ヴォルテール ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル フリードリヒ・ニーチェ
【4】近代III――フロイトの精神分析 ●ジークムント・フロイト アンドレ・ブルトン ジャック・ラカン

第三章 疫病と世界文学
【1】古代――ホメロス・ソフォクレス・ヒポクラテス ●ホメロス ソフォクレス ヒポクラテス
【2】ペスト――額縁・記録・啓示 ●ジョヴァンニ・ボッカッチョ ダンテ・アリギエーリ ダニエル・デフォー エドガー・アラン・ポー アルベール・カミュ
【3】コレラ――西洋を脅かす疫病 ●フョードル・ドストエフスキー ミハイル・バフチン ブラム・ストーカー トーマス・マン ギュスターヴ・フローベール ガブリエル・ガルシア=マルケス
【4】結核――ロマン主義の神話とその終焉 ●フランツ・カフカ トーマス・マン 梶井基次郎 堀辰雄
【5】エイズ以降――疫病と文学の分離 ●ドミニック・フェルナンデス

第四章 文学は医学をいかに描いたか
【1】小説は薬か? 毒か? ●ミシェル・ド・モンテーニュ フランソワ・ラブレー ジャン=ジャック・ルソー
【2】解剖学的想像力――ラブレーとフローベール ●フランソワ・ラブレー ギュスターヴ・フローベール
【3】解剖学的SF――H・G・ウェルズとJ・G・バラード ●クロード・ベルナール エミール・ゾラ メアリ・シェリー ハーバート・ジョージ・ウェルズ ジェームズ・グレアム・バラード
【4】病院としての社会 ●安部公房 ウィリアム・シェイクスピア イワン・ツルゲーネフ アントン・チェーホフ イワン・ソルジェニーツィン

終章 ソラリスとしての新型コロナウイルス
【1】感染モデルと衛生モデル ●エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン レフ・トルストイ
【2】ソラリスとしての新型コロナウイルス ●ジャン・ボードリヤール スタニスワフ・レム
【3】病という戦略

あとがき

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ペスト、コレラ、天然痘、結核、エイズなど。文学は疫病のイメージを利用し、変形し、哲学者も文学者も、疫病や医学のイメージを戦略的に操作してきた。個人的には、種痘に対する視点が興味深い。ヴォルテールは種痘を評価し、カントは道徳的に批判した。リスクや確率を基準にして推奨するのか、道徳を基準にして批判するのか。両方とも間違ってはいないだろうが、どちらか一方だけを重視することが最善とも思えない。

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2022年07月12日

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