【感想・ネタバレ】ふるのレビュー

あらすじ

池井戸花しす、二八歳。職業はAVのモザイクがけ。誰にも嫌われない「癒し」の存在であることに、こっそり全力をそそぐ毎日。だがそんな彼女に訪れる変化とは。日常の奇跡を祝福する「いのち」の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「今」自分だけに集中して生きている節はある。
花しすの、自分がオチでいたい気持ちすごくわかる。初めてこんなこと代弁してもらった。
みんなの、色んな声を思い出すところがすごく良かった。
わたしも、多分色んな声に囲まれて生きてきた。
それを憶えているかどうかでこれからの心持ちがすごく変わりそう。
愛に裏打ちされた言葉だったら、他人を傷つけてもいいっていうの、忘れないでいたい

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2025年05月18日

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ネタバレ

とくに全ての女性に読んでほしい一冊。通常グロテスクとされる「性器」をとおしてこんなにも心があったかくなるような物語があるんだな、と思った。
「ふる」というタイトルがつけられた理由は最後の最後でわかります

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2024年08月25日

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ネタバレ

 書く、というより描く、ことに近かった。イメージ、イメージ、イメージを、なんとか受け止めて言葉にしていった。(あとがきより)

 と、西さんがふわふわと書いたというこの物語、わたしもふわふわ、なんとなく、わかる。伝わってる。
 能動的に誰かと関わることは怖い。選ばれる側でいることは、関係性において責任を負わずに済む。そうして関わった人たちの前で、わたしはどんな顔をして、どんな言葉を発しているのだろう。
 誰もが抱いたことがある「わたしって誰?どういう人間?」という普遍的な問いを肯定してくれているかのような物語だった。

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2021年06月24日

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ネタバレ

私、若くないけど飴噛むよなー。しかも5秒くらいで。と思いながら読み始めました。

難しいなー。というのが正直な感想。

書く西さんも手探りだったけど読んでる私も手探りでした。着地点がなかなかみつからなくて。

でもあとがきを読んで西さんの思いがやっと、というかちゃんと伝わってきたのはやっぱり私が女だからかなー。

「全部が自分であり、自分は全部の一部に過ぎない」という言葉がすごく印象的。

そういえば荒川先生の「あるいは"全"あるいは"一"」と意味同じっぽいよなー。なんてことを思いつつ、西さんの描いた「いのち」に引き込まれた私なのでした。

人と人との出逢いって奇跡なんですね。

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2022年02月17日

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ネタバレ

うーん。なんだかよくわからなかった。結局しろいものはなんだったんだろう。それが落ちかと思って最後まで読んでたからもやっとした。その人のテンションとかそういう感じかな?たくさんでできた新田人生もとくに説明とかなく終わった。最後に伏線回収とかでてくるそういう物語ではなかったんだなあ。だとしたら新田人生は、今までであったけど思い出せない誰かを”新田人生”として一括りにしただけなのかなあと解釈。面白い仕掛けがあると思って読み進めてたからちょっと拍子抜けた。残念。

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2024年05月25日

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ネタバレ

私のお気に入りの一人の西さんの作品。
相変わらずぶっ飛んだ感じの作品でした。

・・・
タイトルからして「ふる」ってのは頭の中では「振る」?雪が? あるいはあだ名が「ふる」みたいな(古川とか古田)みたいな人が出てくるのかなと思いきやそうでもない。結局タイトルの所以は分からずじまいでした。

・・・
主人公はAVのモザイク掛けが仕事で、周囲の背後霊?というか後光?みたいな白いふわふわが見れるという池井戸花しす(いけいどかしす)。これまた漫才師の片割れみたいなウケ狙い的名前なのですが、物語では割とスルー気味。

関西弁で、周囲と緩く楽しくやってゆきたい花しす、人生の多くのところで新田人生なる人に出会っている。ある時は少年、ある時はタクシー運転手、ある時は同僚。ホラーかよって思うのですが、花しすに人生の道筋を指し示すかのようなちょっとした一言を残します。

ひょっとしたらこれは不思議ちゃんである花しすの自己暗示、幻影みたいなもの、とみなせるかもしれません。

・・・
ということで、西さんによる、つかみどころのない作品でした(淡泊な書きぶりですが、本当にそうなんですよぉ)。

相変わらず、元気な関西弁のなかに独特な美しい日本語表現が潜むのは西流でした。
今回学んだ表現は「香箱を作る」。 猫ちゃんが前足を折り曲げて停泊した船みたいに座るじゃないですか。あれのことを「香箱を作る」「香箱座りをする」というそうです。主人公花しすと同居する猫二匹のことですが、表紙の猫のイラストにも出ていますね。

美しい日本語、つかみどころのない純文学を味わいたい方にはお勧め。

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2023年09月13日

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ネタバレ

新田人生とは私の人生に関わってくれた、今となっては顔も思い出せない人たちの総称なのかもしれない。
時間軸が行き来する話は好きだし、日付が明確で親切設計だった。
西加奈子の本は今まで数冊読んでいるが、不思議なことがチラチラ起こり、最後にどわーっと一気にわけわからん感じになるのが好きだ。

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2022年10月13日

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ネタバレ



『今まであなたは、いろんな人と関わって、
いろんな人に影響を受けて、与えて、
生きてきて、そしてそのことを忘れてしまって、
でも尚、生きている』

『誰かを愛してるって、強い気持ちがあったら、
その人を傷つけることは、怖くなくなるはず
なんだ』


花しすの考え方や生き方共感できる部分もあった。

忘れてほしくない、けど深く関わって傷つくのも怖い。一方で知らぬ間に自分は誰かを忘れてしまっているし、きっと傷つけてもきたのに。

だからこそ時に相手の望む自分であることや、場の空気を察知して適した言葉や行動をとったり。

現代青年の対人関係の特徴である「ヤマアラシのジレンマ」に通ずるなと感じたし、きっと花しすのような子は沢山いると思う。

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2022年08月22日

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ネタバレ

前半は自分には合わなく読むのに時間がかかったが後半から「ふる」の世界に引き込まれ一気に読破した。

姿、性別、年齢、
それらを変えながらもなんども花しすの前に現れる人物。新田人生
人にとって、「人生」とはそんなものなのかな。と思った。
遠くから自分を見つめていて、その存在に時には気づき、時には忘れて、でも忘れたくなくて必死にしがみついている。きっと人生ってそういうもんなんだろうな。と、生きるとはそういうことなんだろうな。と。


P240
愛があれば、誰かを愛してるって、強い気持ちがあったら、その人を傷つけることは、怖くなくなるはずなんだ。

P179
自分たちがなんらかの奇跡の最中にいるような気がして、ならなかった。

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2022年01月27日

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ネタバレ

不思議な話でした。作者は「いのち」を描きたかったと後書きで語っていたけれど、私は動物でありながら社会性を高く持ってしまった「人間」という生き物についての話だと感じました。
周囲との軋轢を生むのを避け、オチとして、無害な存在としてあろうとしてしまう主人公。優しいと言われるが、それは責任を負いたくないからだと自己嫌悪に陥りつつ、でも心和む日常の瞬間をレコーダーで録音するのはやめられない。色恋からも遠くあろうとしながらも、仕事で女性器と向き合うことは避けられない。人間の女性も動物であるという事実に日々向き合いながら、社会の中でうまく生きていかなければならない自分。おっとりとした主人公が、その事実に気づき、後ろめたくない程よいバランスのあり方を獲得する兆しが描かれ、物語は終わります。
途中ホラーのように何度も同じ名前の人物が現れたり、ファンタジーのような白いふわふわした存在が描かれたりと、要素が散らかっている印象はありましたが、でも謎の真相や主人公の生い立ち、行く末が気になって、一気に読んでしまいました。それらの謎が明快に明かされたわけではありませんので、ミステリーの謎解きのようなスッキリさはありません。自分の在り方と主人公の在り方に重なる部分があって、途中から主人公がうまく行くよう、孤独を抜け出せるよう応援しながら読みました。ショッキングな描写もあるので、あらすじを確認されることをおすすめします。

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2020年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

言葉にすることが難しい繊細な気持ちを表現してくれる、これこそ西加奈子の作品だ
これを読み終わったとき、自分の人生で関わってきた人達を思い浮かべた
嬉しい気持ちにさせてくれた人、嫌な言葉を言ってきた人、傷つけてしまった人
関わりに深さはあれどなんと多くの人と関わっていたのか、記憶の中の彼らは私の頭の中の彼らでしかないのだが
人間は今を生きており、忘れるし忘れられる生き物

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2020年12月25日

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