宇宙にハッピーを広めるために地球にやってきたハッピー星人のタコピー。
彷徨っていたところを助けてくれた小学四年生のしずかちゃんをハッピーにしたくて空飛ぶ道具を見せるも、彼女は全く興味を示してくれず…。
それもそのはず、しずかちゃんを取り巻く環境はそんな便利道具でどうにかなるようなものではないほど壮絶だったのです…。
物語はしずかちゃんや学校の同級生を中心とした小学生の世界を描いており、だからこそ、逃げ場のない限られた世界で行われるいじめ・ネグレクト・虐待は、彼女達を追い詰めてゆきます。
ただただしずかちゃんに笑って欲しいだけのタコピーですが、彼(?)の行動によって事態は坂を転がり落ちるように悪化の一途を辿ります。
主人公のしずかちゃんはクラスメイトの雲母坂(きららざか)まりなから壮絶ないじめを受けています。
ですがいじめという概念を知らないタコピーは理解ができず、「遊んでいる」と認識します。
更に「友達とケンカした」と言い痣だらけになっているしずかちゃんを見ても、タコピーは理解ができません。
「ケンカをすると顔の色が変わるんだっピね!」と無邪気に言い、便利道具の“仲直りリボン”を渡してしまうのです。
しかし本来の使い方とは違う使い方で自ら命を絶ってしまったしずかちゃん。
ショックを受けたタコピーはハッピーカメラで彼女が命を絶つ前まで時間を戻しますが…。
しずかちゃんを笑顔にすることはできるのでしょうか…。
しずかちゃんの親は(恐らくは)ネグレクト、しずかちゃんを執拗にいじめるまりなもまた、過酷な家庭環境で生きている虐待サバイバー。
そのほか、登場する子供たちは誰しも人には言えない闇を抱えています。
さらには、
子供の歯止めが効かない残酷さ。
大人の無関心さによる残酷さ。
悪意のない無垢ゆえの残酷さ。
ありとあらゆる残酷さが詰まっており、残酷のジェットコースター状態。
大人から見放され、断絶された残酷な世界で苦しむ子供たちの姿を見ると胸が苦しくなります。
無邪気さに恐怖を感じる方もいるのではないかと思うタコピーですが、この物語は彼のキャラクター性によって救われているのではないでしょうか。
いじめや虐待といったことが横行している世界を「歪んでいる」と言うことがありますが、この物語は悪意を知らない無垢なタコピーの視点で描かれているので、歪んだ世界が更に違う歪みをみせます。
タコピーによって彼女達の世界は今後どう変化していくのか…。
「原罪」は一体何を指しているのか。
色々な考察ができる本作、是非覚悟して読んでいただきたいです。
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Posted by ブクログ
こういうの読むと桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」を思い出すよ。ロリポップでは子供は世界と戦えない。タコピーが直接介入した世界が上手くいかなかったから、子どもたちが自分の手で自分を救う結末になるのは妥当だろうな。でも子どもは無力だから福祉の手が必要なんだよ!その手の差し伸べ方がムズいんだろうけど。現実は複雑で難しい。普段漫画あんま読まないから、小説とか映画だとできない漫画的表現を効果的に使っててしびれた!
Posted by ブクログ
小説のみと思ってましたが、まあ上巻と下巻しかないので許してください!
感動しました。こんな感動する漫画とは思わなかった。何年か前にすごく話題になり、その時に読めず、今更初めて読みましたがえぐかったです。
家庭環境がそれぞれ壊れた子ども達はタコピーと出会ってその無邪気さに色々狂わされてやり直してを繰り返して…
とてもハラハラする展開に、思わず息が止まりそうになりました!
この作品の辛いところはタコピーの純粋すぎる事のように感じます。タコピーはそこまで勘もいいようで悪いようで、なかなか自分の使命を全うできません。しかし、この作品で起こる展開全てにタコピーの悪意はなく、あるのは人間の子どもの純粋なエゴ。そんな子ども達に、タコピーという存在がどう映るのか、そんはお話でもあります。
本当に面白かったです!
Posted by ブクログ
驚きの展開でした。
無邪気なタコピーが最後の最後に力を使った時涙が止まりませんでした。
1人の視点から見ると悪に見えていた子も、その子から見ると自分は悪くなく環境や別の人が悪いと感じている。
多方向からの視点で見ることが大事だと学びました。
漫画の中の登場人物はほぼ小学生で、こんなに若い子たちがたくさん考えているのに、歳をとった私自身は頭を使わず逃げているのでもっと周りに目を向けようと思わされました。
Posted by ブクログ
最後の方での展開が
いろんな視点で入ってくるから
誰が悪で誰が善かわからなくなる感じが
考えさせらせて
自分の視点だけではダメなことを
突きつけられた気がした。
良かった
ハッピーエンドと言うよりかは、トゥルーエンドっていう感じ。
でも最終的に、タコピーが見たがっていた2人の笑顔を見ることが出来て良かった。
こういうタイプが真逆の2人こそ、きっとこの先ずっと仲良しで居てくれると思う。
Posted by ブクログ
同級生が死んだことに対して喜ぶしずかちゃん
酷いいじめを繰り返すまりなちゃん
頼られて死体を隠すのに極力する東くん
どれも一般的に見て異常ととも捉えられる行動だが
みんな大人の巻き添いになっていることから
なんとも言えないモヤモヤを感じました。
幼い登場人物達が、大人の都合により病み苦しむ中
一方で純粋に優しく助けたいと思うタコピー
だが彼女らを助けるにはあまりに無知だった。
最終的にはハッピーエンドのようになっていますが
賛否両郎な作品だと思います。
Posted by ブクログ
まりなの死亡がバレる
が、チャッピーを取り戻すことしか考えない歪んだ静
東に代わりに自首するよう頼む
追い詰められた東は兄との確執を絆に変えて、自首
一人になった静は一人で父の元へ会いに行くが、もはや別の家庭を築いており、チャッピーもいなかった
壊れゆく静、殺されるタコピー
そしてタコピーは思い出す
過去に高校生のまりなの元へ現れ一緒に過ごしていたこと
相変わらず静のことで悩むまりなはタコピーに静を殺すようにお願いする
タコピーはタイムスリップをして記憶を失い現代に至るのであった
己の使命を思い出したが、静はタコピーにパンをくれた優しい部分もある女の子であることで
彼女の二面性についてどうしたら良いのか悩む
東に二面性があるのが人間だと言われ納得する
自分自身の力そのものを使って静と出逢ったあの日に戻る
消失するタコピー
相変わらずいじめられるが、落書きのタコピーで親友となる二人の姿が。
Posted by ブクログ
この漫画は、鬱マンガのひとつの完成系である。読み終わった後のクソデカ感情を処理しきれない。
おはなしがハッピーを生む、このひとつのメッセージを届けるのにタコピーは消えることになる。これは何もしてあげられなかったタコピーが唯一してあげられることであり、原罪への贖罪でもあると思った。
あとコマ割り、余白の使い方が抜群に上手い。さよなら、バイバイのページとか。直樹くんが友達に呼ばれるシーンとか。兄のお前が○したんだろの見開きとか。アプリで読むのとマンガで読むのでは、感じ方がやはり異なる。
最後の2ページはハッピーエンドではあるものの、根本的な解決は何も為されていない。だがしかし、1人ではなくなった「きみたち」は健やかに大人になっていける。そういった解釈を私はした。心の涙が止まらない。電車の中じゃなければ、本当に泣いていたところだ。
毎週金曜日のTwitterが阿鼻叫喚だったのも、上巻発売前日の101回ループで精神に異常をきたしかけたのも、今ではいい思い出だ。
サンキュータッコ。
タコピーの原罪
想像しうる限りの最もハッピーな終わり方をしたと思います。
タコピーの原罪は対話をやめてしまったことなのでしょうか……。
謎のままでも十分楽しめました。
Posted by ブクログ
回を追う毎に高まりゆく不協和音、これでもかと振り下ろされる親からの痛打、そして幕が降りる「おはなし」。
夜空の表現が好き。
上下巻合わせて16話と短い尺であるが信じがたい程に濃密。
そしてなかなかどうして一筋縄ではいかない筋書き。最終話〈2016年のきみたちへ〉をどう読むか・受け取るかがとにかく肝だと思う。
タコピーの役割は「宇宙にハッピーを広めるため」であり、その対象は作中キャラばかりではなく読者も含められているのではないだろうか?
少なくともラストシーンまで読んだら多かれ少なかれ誰もが「ハッピー」を受け取るのではないだろうか。しずかちゃんの爪綺麗。
また、p196でのしずかの目線が完全に’こちら’を向いている。つまり呼び掛けたタコピーの役割は’読者’が担っており、’タコピー=読者’がここまでページを運んできたからしずか・まりな・直樹の元へハッピーが届いたのだ!「わったっし〜はサザエさん、あなたもサザエさん〜♪」的な思考法ですね。
…という解釈に私は落ち着きました。
少なくとも〈おまけ5〉の絵はハッピーに満ち満ち溢れているように感じられた。それは’読者=タコピー’がそこまでページを運んだから届いた、という受け取り方もアリかな、と。
これはリアルタイムで追っていたら超楽しかったでしょうね。
色んな感想がありそうな漫画ですが、私は良かったと思います。
1刷
2022.4.11
さらなる事件が!
とにかくメインキャラが泣く! そこに至る組み立てが上手い。
当初はいじめっ子殺人事件をどう隠蔽するかという流れだったが、どんどんしずかちゃんの黒化が進み、東京でハードモードに。
ブラックしずかがまた美人です。ラストはタコピーの献身にジンとくる名作。
すごい作品....
流行ってるからで見た作品でしたが、とてもすごい作品でした。
心情や情景が二巻と短い尺の中に詰まっていました。少し理解や納得が出来ていない部分も有りますが最終的には丸くハッピーエンド?で終わり良かったです。
一度ではわからない部分も有るため、何度も読み直してみたいと思います。素晴らしい作品をありがとうございました!!
しずかちゃん可愛かった。
ハッピーエンドでよかったッピ
タコピーとは真逆のドロドロした登場人物ばかりですが、最後にタコピーのハッピーが届いてよかった;;
上下巻と短い話ながら、内容が濃く、一生忘れられないストーリーでした。
みんなハッピースマイルエンドの挿絵(?)も、余韻がよく、本当に好印象でした。
連載追えて良かった
過去編の「一体どうなるんだ!?」ってドキドキは最近の漫画でもトップクラス
しずかちゃんとチャッピーが笑顔になれてよかった さらばタコピー
同じ作者さんの読み切り「キスしたい男」もオススメです
Posted by ブクログ
【あらすじ】
まりなの遺体が見つかってしまった。警察から事情を聞かれても夏休みの計画に余念がないしずかに対し、東は何とか上手く切り抜けようとする。そして夏休み、しずかはタコピーと二人だけで東京に向かうが…!? 衝撃の小学生ドラマ、完結!!
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
月イチの読書会で話題になり、昨晩就寝前にジャンプ+で読んでみました。 …正直、寝る直前に読むべきではなかった。登場人物の置かれている環境の壮絶さと、最終的に何が良く、何が悪かったのかを考えることにのめりこんでしまい、寝不足になってしまいました。
いじめられっこでどこか1本ネジが外れサイコパス感もある「しずかちゃん」、いじめっこだけれど家庭環境が壊滅的で同情もできる「まりなちゃん」、親からの期待とプレッシャーから満たされない人生を送る「東くん」、そして優しいけれど無知すぎる「タコピー」。誰もが不完全で、何がきっかけで誰が壊れてしまうのかもわからない世界で私たちは生きているのだと、改めて思いました。全ての人が満たされる完璧な幸せなど存在せず、誰かが幸福になるということは、一方で誰かが不幸になってしまうことにもつながるのだ。
その中で、少しでも互いに分かり合うために「おはなし」、つまり対話が必要なのだとこの物語は説いていると理解しました。腹が立つ相手でも、その相手がどのような境遇に置かれているのか、少しでも理解できれば、少しは相手に歩み寄ってあげられるかもしれない。それを積み重ねていけば、不完全ではあるもののみんながハッピーな世界に近づけはするのだと思います。それが「人間としての優しさ」なのかなぁ。