あらすじ
育ちがいいお嬢様には、秘密があったのです。
日本橋にある将軍家御用達の扇店・善喜堂の娘である千秋は、方々の大店から「是非うちの嫁に……」と声がかかるほどの人気者。
ただ、どんな良縁が持ち込まれても、どこか物足りなさを感じ首を縦には振らなかった。
そんなある日、千秋は常磐津の師匠の家に向かう道中で、八丁堀同心である芦川柳之助と出会い、その凛々しさに一目惚れをしてしまう。
こうして心の底から恋うる相手にようやく出会えたのだったが、千秋には柳之助に絶対に言えない、ある秘密があり――。
「取次屋栄三」「居酒屋お夏」の大人気作家が描く、涙あり笑いありの新たな夫婦捕物帳、開幕!
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Posted by ブクログ
岡本さとるさん、夫婦捕物帳シリーズのスタートです。「八丁堀強妻物語」、2022.2発行。八丁堀の同心、芦川柳之助24歳に嫁いだのは、千秋19歳。表向きは扇店、善喜堂(大店)の娘、実体は将軍家影武芸指南役の娘。千秋は付き添いのお花16歳をそのまま連れて芦川家に。船宿を営む叔父の勘兵衛40手前がいい味を。千秋、お花、勘兵衛の強いこと、強いことw。次巻が待ちどおしいです!
Posted by ブクログ
Tさんのお勧め。
幕府の”将軍家影武芸指南役”である扇屋の善喜堂。
そもそもこの設定が無茶だが、
その主人の娘である千秋が兄をもしのぐ武芸の達人、
だが隠密の仕事で路地の板塀の間に挟まれてしまった、
というのも無理やりな話。
その千秋が(本当は全く危うくない)危ういところを
町同心に助けられ一目ぼれ、と奇想天外な、いや、ありがちな話に転がっていく。
老中の「下心」もあって、無事夫婦となれた千秋と柳之助だが、
もちろんそれだけで済むわけはなく、
千秋は潜入捜査を行う柳之助を助けることに。
面白かった。
無茶苦茶な設定だが、主人公千秋の一途な思いが核となって、
うまくまとまっている感じ。
千秋付きの女中お花が、柳之助のことをいらいらすると言っていたのに、
千秋が思いを寄せていると判ったとたん、
思いの外お似合いかもしれない、と思うところや、
柳之助が潜入捜査の途中、
千秋の登場で「おれの妻はいったい何者なのだ」と驚くところとか。
強妻というタイトルから勝手に想像していた、
たぶん、必殺シリーズのような話ではなくてよかった。