あらすじ
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町の食堂から三ツ星レストランまで、幅広く食べつづける平野紗季子ファン待望初エッセイ集。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
平野紗希子、ポッドキャストしか聴いてなかったけどはじめて読んだ。おもしろい。言葉選びが上手い。詩的だったりばっさり言い切ったり。たのしい。小学生のときの食日記すばらしい。確実に今に繋がってる。
◎「腐敗は優しさだ」
→本文: 「食べものには、旬がある。秋には秋刀魚が食べたいし、冬には上海蟹が食べたい。ただし、その一寸先には腐敗が待っている。食べものは始まる前から"終わり”をしっかりと示してくれている。おかげで私たちは「腐っちゃうから、早く食べよう」とか「腐っちゃったからしょうがない」とか、すがすがしく目の前の輝きを享受したり、切り捨てたりすることができるようになっている。これは素晴らしいことだ。世の中には惰性の恋人関係や情の移った不要物が溢れているというのに。」
→最後の一文のしんどさかつ真実さ。なにしてんだろわたし
◎「心にいつもきらいな食べものを」
→いいね、人の幸せを想像する猶予のあること。
◎「露骨にエロイ食べ物」
→dancyu切り抜き圧倒された
「男と女と味噌汁と」ってすげえな
Posted by ブクログ
食べるって、こんなにエモいことだったんだ…!と読んでると何度もそう思わされる、五感と記憶がぎゅっと詰まったエッセイです。
平野紗希子さんは、子どものころから味覚がちょっとだけ鋭かった(食中毒と表現w)らしく、給食、レストラン、おやつ、家庭の食卓……その一つひとつの“味の記憶”を、まるで宝物のように拾い上げて描いてくれます。
何か特別な料理の話をしてるわけじゃないのに、そこにある感情や空気の温度まで伝わってきて、「あ、わかる…」と静かに共鳴してしまう。たとえば「冷蔵庫、いつもは真っ暗なんだと思うと寂しい。寒いし。」なんて一文、もう最高にエモい。
「きらいな味があれば、想像力に終わりが来ないので楽しいです」これはもう、“嫌い”というネガティブな感覚を、創造の余白として肯定する逆転の美学ですね。味覚って普通、「好き」に向かうものなのに、あえて「嫌い」を大事にする。エモすぎる。
この本は、グルメ本というよりも、“食べることを通して自分を知っていく本”です。
読むうちに、自分の“記憶のなかの味”がどんどん呼び起こされて、なんだかちょっときゅんとする瞬間すらある。
美味しさの描写に浸るもよし、自分の思い出と重ねるもよし。食べることが好きな人、感性を言葉にしてみたい人、ちょっと生きづらさを抱えたことのある人には、すごく刺さると思います。
サクッと読めるけど、余韻がじんわり長く残る一冊。
エッセイというより、これは“味の詩集”かもしれません。