あらすじ
第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作として、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラー。脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。
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Posted by ブクログ
フィクションだが、グングン話に引き込まれる。文章も読みやすく、表現が素晴らしかった。
真理子の心情や、彼女を思う周りの人たちの気持ちを思うととても泣けた。
Posted by ブクログ
ミステリー大賞とのことで、推理モノかと思ったが、壮大なファンタジーであり、音楽・脳化学・宗教と、色んな観点から真面目に考えさせられる長編だった。
ベートーベンの月光ソナタは好きな曲なので、読んでいる途中からずっと頭の中を流れている。最後、礼拝堂で弾いている場面は鳥肌が立った。
キリストの描写があったが、真理子は「聖人」だなと思った。子どもが出来ない身体だけれども、沢山の人が彼女によって救われ、寿命を永らえている。例えば千織ちゃんの成長とか、和枝夫人の回復とか、未来さんの結婚(たぶん子供は出来るだろう)とか、これらは真理子によって残された命である、本人は自分が存在した意義を最後に実感し、納得して旅立ったのだろう。彼女に助けられた人たちも、彼女のことをずっと語り継いでいくわけである。
子孫を残すことが使命である動物とは異なり、血の繋がっていない他人に自己犠牲の愛情を示し、影響を与え、何かを受け継いでいくという、人間らしさを感じさせる生きざまだった。
心に残ったセリフとしては、倉野医師の放った一言である。
「信じるということは、人間の脳に与えられた偉大な力」
Posted by ブクログ
このミス大賞受賞作
真理子さんと千織の心が入れ替わるという面白い展開だった。
実際には起こり得ないことだからこそ、起こるべく未来が変わってほしいと思った。
ちょっとページが長い気もするが、その分臨場感も味わえる。
ミステリーと言われると難しい気もするが、明るい未来へ着実に進んで終わるのは気持ちよかった。
Posted by ブクログ
少し話が唐突な感じがしたけれど引き込まれる内容だった
切ない心情や嫉妬などたくさんの感情が余白から読み取れる文章で想像力を働かせて読むべき本
Posted by ブクログ
SFっぽいのが少し苦手ということもあって、星三つ。
サクサク読めるのでレモンティーみたいな本だった。
最後がきちっとハッピーエンドでよかった。
Posted by ブクログ
読み終わって、音楽を聴き終えたような感じ。礼拝堂でのコンサート。ピアノの音が耳に残る。この、親しい人を取り上げてしまうこの著者のやり口は、汚いんだけど、まあそういう側面もあるのだからと思えなくはない。
ただ、なんとなくタイトルがまとっている雰囲気のとおりの、まったくきれいな奇跡の物語ではないよね、と思う。あと女子のテンションがちょっと、リアルではないという気もする。会話とか。それからファンタジーというかファンタジーというより、不思議な展開は確かにあるけど、それまでファンタジー感もまったくないところに出現し、かつそのあとの登場人物たちがすんなりと受け入れて今まで通りに話を進めすぎていると感じ、心情についていけないところがあった。
あとは無理やり恋愛にしなくてもいいというか、恋愛ごっこを描くのがあまり得意ではないように思えた。曲の描写力がうまく、知らない曲でも聴いてみたいなと思わせるのがすごいし、脳の話もきちんと分かりやすいように解説しているのとか、そういう文章力はすごいと思った。ラストの礼拝堂のシーンはとてもよかった。