あらすじ
大ヒット作!2020年11月公開。
ヒーローだった兄ちゃんは、20歳4か月で死んだ。超美形の妹は、内に籠もった。母も肥満化し、酒に溺れた。僕も東京の大学に入った。あとは、「サクラ」となづけられた犬が一匹――。そんなある年の暮れ。家を出ていた父が戻ってきた…。
(底本 2007年12月発行作品)
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Posted by ブクログ
とても泣いた。
ミキの切ない恋心も、切なさも、家族の温かみも、一の絶望も、お母さん、お父さんの恋と、愛している人への、愛しているが故の反動の憎悪も、
全部全部、自分じゃ受け止めきれず、どうしようもなくて、泣くしかなかった。
サクラだけは誰に対しても平等で、いつもそこにいて、家族でいてくれる。
愛する気持ちや大切に思う気持ち、
愛しさがサクラというちいさなちいさな存在に詰まっている
西加奈子さんの作品は、本当に感情に色を付けてくれて、
読みながらぽかぽかしたり、切なくて悲しくて苦しくて胸がぎゅうっとなったり、
この本と向き合ってるときは自分も薫くんと全く同じ気持ちを味わった。
Posted by ブクログ
先に映画を見てしまっていたので楽しめないかな?
と、思いつつ読みはじめました。
いやいや、そんなことはなかったです。
三人兄妹の次男が語り続けています。
淡々と『長谷川家』の歴史を語っていきます。
やがて訪れる『神様からの悪送球』が長谷川家を襲います。
淡々と語られるているのにその哀しさは凄まじい。
やがて壊れる家族…。
その家族を再び繋げたのは愛犬サクラ。
ペットは家族。
その役割はとてもとても大きかったです。
映画よりずっと良かった!
読んで良かったです。
Posted by ブクログ
犬が出てくる話はつらいので何となく敬遠していたけど見事に泣かされてしまった。読んで良かった。人間もつらいのを忘れてた。
最後はまさかのお父さんが全てを持って行った。ただでさえ存在感が薄く、長男が亡くなって消え入りそうになっていたお父さんが、さくらのために管制室時代の熱い姿を取り戻す展開は興奮だったし、家の中でゆっくりと流れる時間や子供達の異質な記憶力が実はお父さんから貰った物だった事もとてもよかった。
お母さんは始終すばらしい人だった。夜、子供達にあの声を聞かれて「昨日なにしてたん?」と幼い娘に問い詰められても、「みきの目は誰に似てる?耳は?指は?」から始まり「生まれて来てくれてありがとう」で終わる話をした。本当に美しかった。
作中には社会で生きにくそうな人たちがたくさん登場していて、子供時代のお兄ちゃん達の嘲笑の的にされて、読んでいて暗い気持ちになっていたけど、やがてお兄ちゃんにその順番が回って来てもっと複雑で暗い気持ちになった。どこにいても人気者で人生イージーモードだったお兄ちゃんがある日突然ベリーハードモードになったら。想像もできない。
さくらがとても可愛い。人間達にはあんな残酷な人生を用意するのに、さくらには残忍になれない作者の犬好きが垣間見れてほっこり。
今回のオチ:
大学生の兄が交通事故で顔半分と下半身機能を失う。奇異の目で見られるようになり「ギブアップ」と遺書を残し、妹が贈った犬用のリードで首を吊った。一家はボロボロに。
超絶美人なのに全く恋愛して来なかった妹は兄が好きだった。兄が本気で好きだった子の手紙を隠したり、兄になりすまして拒絶したりしていた。兄が事故に遭った時も独占欲から安心していた。やがてその罪悪感等で潰れそうになった頃に、父がその手紙の入ったランドセルを持って蒸発。美しかった母は過食症とアルコール依存で激太りしていた。
散り散りだった4人が久々に集まった大晦日にさくらが息絶えそうになる。父が強引に全員を車に乗せ、病院を探して街を暴走する。日本中の道を記憶していそうな暴走。パトカーに止められ諦めムードの時にさくらがみきの上で下痢をしてケロっと治る。みきのランドセルは父が捨てたと言う。みきの憑き物が落ち、全員に明るい事が起きそう新年エンド。
Posted by ブクログ
西加奈子さんの物語はなんか吸い寄せられて、分厚い本でも読み切ってしまう魅力がある
家族の太陽的存在だった、長男の不運な事故、自殺により、家族はばらばらになってしまう
それぞれが、前を向けずにいる中で
犬のさくらがまた家族を繋いだ
すごい衝撃的なことばや出来事が起きるのに、最後はなんだか心があたたまる
最後のドタバタ劇だけまた読み返したくなる。
ずっと飽きずに先が気になる本だった
Posted by ブクログ
エッセイのような雰囲気を感じる家族小説です。成長していく薫の目線から描かれる家族の姿は、笑いあり涙ありの等身大の家族の姿そのものでした。絵が目に浮かぶ様な生き生きとした描写がこの家族は確かに存在すると思わせてくれます。誰からも人気のあったお兄ちゃんが変わってしまった身体に苦しみ、人生を終わらせる決断をした時の遺書に選んだ表現として「ギブアップ」はとても「らしい」表現だと感じました。時が過ぎるにつれて変わっていくもの、変わらないものがありますが、いつも身近にあるものの大切さを説いてくれる作品だと思います。
Posted by ブクログ
長谷川薫
長谷川家の次男。
薫の彼女
長谷川昭夫
長谷川家の父親。
サクラ
飼っている犬。
ミキ
長谷川美貴。長谷川家の長女。薫の妹。
長谷川一
長谷川家の長男。四年前に産まれて二十年と四ヵ月後に死んだ。
ばあちゃん
フェラーリ
恐怖の男。
難関
一に幼稚園から小学校の六年間恋をしていた。
湯川
矢嶋優子
一の彼女。
溝口サキコ
溝口先史。昭夫の高校の同級生。おかまバー「ラガーウーマン」。
リリー
妖怪
サクラを見てもらった病院の医者。
須々木原環
薫が童貞を失った相手。アメリカ帰りの帰国子女。
薫
中二の夏に転校してきた。薫のふたつ年下。ワイルドな女の子。
Posted by ブクログ
「大人になるというのは、一人で眠ることじゃなくて、眠れない夜を過ごすことなんだ。」
「女同士、同姓の悪口を言ってるときの醜い顔ったら無い。」
ところどころに挟まれるはっとする主人公の言葉。これは注目を浴びる兄妹の真ん中で色んな人たちを見てきたからなのかな。
ミキの一に対する恋という表現は些か軽すぎるように思える恋慕や、薫の密かに眠るミキへの恋心、湯川さんとの文通と再開、両親の恋と愛、一と矢嶋さんの恋。さくらが中心となって元には戻れなくても、新たな形を模索する長谷川家の話であると同時に、多様な恋の形、愛の形が丁寧に、偶に共感できる感情として描写されていて胸が苦しくなりながらも最後には温かさに包まれるお話だった。