あらすじ
人気絶頂のシンガーソングライター・上条梨乃はある朝、渋谷のゴミ捨て場で目を覚ます。昨夜からの記憶がなく、素顔をさらしているのに誰からも上条梨乃と認識されない状況に戸惑う。さらに街頭ビジョンには、上条梨乃が自殺したというニュースが流れており……。梨乃は自分を上条梨乃と認識できる青年・優斗らの力を借り、自らの死について調べだす。『このミス』大賞優秀賞受賞作!
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Posted by ブクログ
最近嵌まっている辻堂作品、今回は最初から特殊設定。主人公・上条梨乃は超人気歌手。彼女はある日、目が覚めると裏通りのゴミ捨て場で目を覚ます。電光掲示板で自分が飛び降り自殺で死んだとのニュースが。梨乃のことを上条梨乃だということを理解する人はいない。街で出会った佐伯優斗だけは梨乃を認識する。さらに梨乃の飛び降りの際に小5年の樹は同じ時間に自動車でひき殺されるが、彼も生きている?この3人の不思議な関係、さらに梨乃を巡る憎悪がリアル~家族、友人に認識されない寂しさとそれを乗り越える3人の健気な姿に胸打たれた。⑤
Posted by ブクログ
【あらすじ】
1918年、ある英国人はインド北部の近代文明とは無縁の集落近くで直径2mほどで深さのある泉を見つける。現世において輪廻転生を繰り返させる泉。リーフィーと呼んで親しくしていた少年(泉に落ちて死んでしまうが別人になって生き返る→周囲に信じてもらえず自殺)が触れてしまった泉の魔力を解明するために、その水を持ち出した英国人はスペイン風邪にかかり日本で命をおとす。
~現代~
その「輪廻の泉」を信仰しているカルト集団が日本にある。1度死んでも魔力のある水に触れると記憶もそのままに現世に生き返ってしまう。しかし誰にも自分だと分かってもらえない。その魔力を教団は知らないが、信者達はガラス玉に水を入れ幸運を呼ぶアクセサリーとして使用していた。
人気絶頂のシンガーソングライター上条梨乃が目を覚ますと昨日からの記憶がなく、周りに認識されない状況に戸惑う。ニュースでは上条梨乃が自殺したと報道されているが、同じ事務所の先輩で輪廻の泉の信者である国定美波にマンションから突き落とされたのだった。大学生の佐伯優斗と10歳の少年立川樹にだけ上条梨乃だと認識される。それはみな同じ教団に殺されていて輪廻で現世を生きている仲間だったから。ピアニストとして幼い頃から有名だった佐伯優斗はライバルの父親(信者)から妬まれ指を砕かれ殺されてしまう。上条梨乃の亡くなった現場に居合わせた立川樹は信者にひき逃げされてしまう。
ロックバンド『エヴァーロード』のボーカル十文字智仁は上条梨乃にも田代実加(上条梨乃の生まれ変わり)にも告白するが、十文字を好きな国定美波が嫉妬から梨乃を殺してしまうのだった。実加として殺されかけるも間一髪
優斗が自分が殺された場所を思いだし、警察に連絡し助かる。
優斗が生まれ変わったことに家族が気づかなかったのは、父親が全盲で母親が若年性アルツハイマー、姉のなつみは働くために早くに家を出て7年間弟の優斗に会っていなかったから。
田代実加は上条梨乃がいた芸能事務所の事務として働きながら、優斗と同じバンドサークルでギターとコーラスを担当していた。事件後、文化祭でメンバー達と数曲演奏するが、最後にボーカル皐月の計らいで上条梨乃の『夢のトビラ』を優斗のキーボード演奏をバックに田代実加が歌うことになった。優斗の家族、樹、梨乃の両親に見守られながら。
【感想】
引き込まれる文章力とありえなくもない話にどんどん読み進めてしまい、悲しい事件ながらも家族愛や仲間愛に泣けました。
輪廻はあると思うし興味深いテーマ。
やっぱり一番怖いのは欲深い人間。
Posted by ブクログ
「このミステリーがすごい」大賞というので読んでみれば、ミステリーではなくファンタジーでした。
ミステリーと思うと物足りない感じですが、とても面白い内容でした。
特に優斗が実は梨乃と同じく死んでしまっていたということが明かされた時は、そういうことか!と驚かされました。
最後はハッピーエンド的な感じですが、実際問題として梨乃やいっくんは戸籍が無くてどうやって生きていくのだろうかと疑問が残る終わり方でした。
物語だから、そこまで心配しなくてもいいのか。
Posted by ブクログ
このミス大賞作品ということで、ミステリーだと思って読み始めたのもあり、始まりが既に、ん?という印象で。
迷信とかカルトとか、芸能人とか、なんだか訳が分からない展開に、ん?ん?となりながら。
三分の二くらい読み進めると、ある程度の展開の予想がつき始める感じでした。
輪廻転生が主軸になっているので、ミステリーよりはファンタジー寄りだと私も思います。
正直、納得いくような、いかないような読後感ではありますが、3人が新しい人生を歩き始められることにはホッとしました。
優人と実加、2人だけの演奏になんだか救われる気分になりました。
Posted by ブクログ
ミステリーというかファンタジー的な要素が強かった。真相も予想はしやすい。
けど、難しい用語とかはなく、すらすらハイペースで読むことはできた。音楽小説でもあるが文章だけでは十分伝わらず映像でも見たい気がした。
Posted by ブクログ
辻堂ゆめののデビュー作品。辻堂ミステリーという思い込みがハードルとなってしまったので、星が少々辛めだが、デビュー作でここまで書けるというのはさすがだと思う。
インドかどこかの探検家回想録的な序章が終わると物語が始まる。アイドル系シンガーソングライター上条梨乃はある日、都会のごみだまりで意識を取り戻すが、誰も彼女を上条だと認識してくれない…。
その後2人だけ自分を認識してくれる人と出会い、彼らとともに上条に何があったのか?を探っていく物語。伏線とその回収、謎解き3段飛びの構成などは見事。
ただファンタジー要素とミステリー要素の乖離がザラついていて残念。戸籍の無い人間がこんなに簡単に生きて行けるか?救急車で担ぎ込まれるシーンも当然警察も関与するだろう。子供が見舞いに来たら事情聴取もされるだろう、その時氏素性を調べられるだろうし…とか。
ラストのライブシーン、ドラマにすれば盛り上がるんだろうけど、ここもっと淡白でもいいから、細部のツメをもう少しきめ細やかにしてくれたら…ってのが正直な感想。