あらすじ
NSAで監視プログラムを作成するヘレーネは、脱走兵の恋人をこっそりかくまっていた。彼が当局に見つからないようNSAのデータに手を加えていくことに。全体主義に現代の監視技術を巧妙に外挿した、恐るべき歴史改変SF。
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Posted by ブクログ
ナチスがコンピュータ、ケータイを実用化してたら、って設定は荒唐無稽やし、展開も雑っちゃ雑やねんけど、その辺のアラも気にならんくらい強い。
以下ネタバレ
ナチスは勝つし主人公は不幸になるしめちゃくちゃバッドエンドやねんけど、そこまでのドライブ感はなかなか。
あと、感情移入するとこやないんやろうけど、ナチス上級幹部やのに妻に裏切られまくりのルドルフかわいそう。鎌倉殿の八重さんの旦那をちょっと思い出した。
Posted by ブクログ
後半、終盤はゾクゾクして手が止まらなくなった。ヘレーネが「無口」になってしまったときの独白がすべてを物語っているように思う。全体主義とインターネットは相性が良すぎる。その結果、自ら言葉を発することの無意味に気付いてしまうというのは非常に納得感のある恐怖だし、かなり現在進行形の問題とも重なってくる。
コンピュータを生業にしていることもあり、肝心の背景にある技術的な部分がほとんど語られていないのはどうしても気になってしまう。解説にも書かれていたとおり、そこをツッコむのは野暮なのかもしれないが、しかしこの時代のイギリスにはチューリングがいたし、アメリカにはノイマンもエッカートもいたんだぜ?ってつい言いたくなってしまう。そして計算機の発展は他のあらゆる学問の発展を進めるだろうに、その兆しがあまり見えないのもやはり気になる。この時代に仮に情報科学がこれほど発展していたとして、そこで天下を取るのがドイツになるという必然性は、どうにも見出せないのだ。