【感想・ネタバレ】聖なるズーのレビュー

あらすじ

犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。大型犬を「僕の妻だよ」と紹介する男性。七匹のねずみと「群れ」となって生活する男性。馬に恋する男性。彼らはときに動物とセックスし、深い愛情を持って生活する。過去に十年間にわたってパートナーから身体的、肉体的DVを受け続けた経験を持つ著者は、愛と性を捉えなおしたいという強い動機から、大学院で動物性愛を研究対象に選び、さらにズーたちと寝食をともにしながら、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か考察を重ね、人間の深淵に迫る。性にタブーはあるのか? 第17回開高健ノンフィクション賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

愛の意味、所在を考えさせられる本だった。特にクルトという人物が出てくる章は深く共感した。そして、意外と日本のアニメは自由度が高いんだなと感じた。

愛は、自己嫌悪を紛らわすための麻酔なのかもしれないし、たとえそれが人ではなくても、その手を取り合うための通行手形なのかもしれない。

愛を使う人によって、その定義が変わるのが興味深かった。

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2025年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たしかTwitterでおすすめのような形で気になっており、たまたま書店で見つけたので一読。

今まで「動物性愛」について考えてきたことはなかった中で、日常生活でも溢れるペットの性欲の視点は今までになかった。
動物との対等な関係性を考えることは自分自身の他者へ関係の仕方を改めて考えるトリガーになりました。
すぐには答えが出ないし、考え続けるべきものであることは間違えない。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初にこの本について知った時、正直言って気持ち悪かった。
本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされたからには読まなくては、とは思いつつ、気が重かった。
動物性愛者なんて、小児性愛者と同じくらい許せないと思った。

マイノリティの性癖だから気持ちが悪いと排除するわけではない、と思いたい。
許せないのは、合意を得ることのできない相手に、一方的に自分の性癖を押し付け、さらには相手に痛みや苦痛をを与え身体を損なうような行為を強要してまで、自己の快楽を優先するという心理。

ところがこの本を読んで、それは全くの思い込みであったことがわかる。
「動物性愛者」という言葉が呼び起こすイメージが、「性」の押し付けを思わせるのがそもそも違っていたのだ。
「ズー」と言われる彼らは、特定の一匹(一人)の相手をパートナーとし、お互いをかけがえのない相手と認識し、決して性行為を強要しない。
たまたま彼らのパートナーは人間ではなかっただけ、なのかもしれない。

それにしても、最初に感じた「気持ち悪い」という感情は、私だけが感じるものではなく、著者も「ズー」の人たちも、世間のそういう目にさらされる。
しかし、ヨーロッパに限って言えば、それはキリスト教によって戒められている行為であることも大きいらしい。

『旧約聖書』に、「近親相姦をするな、月経中の女性とセックスするな、姦通するな、男性同士でセックスするな」と並んで「動物とセックスするな」と定められているのだそうだ。
しかし、ということは、それ以前はさほど珍しいことではなかったということなのか。
石器時代の遺跡の中にも、そのような絵が残されているらしいので、古来人間と動物の間にそれほどのタブーはなかったということなのか。

性行為を伴わない「ズー」の人も最近は増えているようなので、「動物性愛者」という呼び方は、もっと現実に即したものにした方がいいような気はする。
私には理解のできない性的志向ではあるけれど、それはそれで尊重はする。
そこまでしか、今の私には言えないなあ。
でも、読んでよかった。

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2025年06月27日

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