あらすじ
江戸歌舞伎の大作者、三代目桜木治助の孫で現在は大学に奉職する桜木治郎は、その知識と審美眼で役者や裏方から厚い信頼を集めていた。昭和八年四月。女優となった姪・澪子と陸軍軍人・磯田との見合いの席が木挽座で設けられた。舞台では歌舞伎界の「女帝」荻野沢之丞が舞う中、澪子は真向いの席の男女に違和感を抱く。その翌日、木挽座そばで右翼結社「征西会」大幹部・小宮山正憲と芸妓・照世美の惨殺死体が発見された。治郎は警察から協力を要請され、澪子も自身が目撃した二人の奇妙な様子を治郎と磯田に打ち明け、それぞれの立場から事件の真相に迫っていく。歴史の歯車が戦争へと大きく動いた昭和八年を鮮烈に描く圧巻の歌舞伎ミステリー!
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Posted by ブクログ
木挽座シリーズ第二弾。今度も歌舞伎役者絡みの事件が発生し、戯作者の孫が解決に奔走する。単に殺人事件が起こったというだけでなく、昭和初期の雰囲気(軍人や特高の横暴が目立ったり、貧富の差が拡大しつつあったり、社会主義活動が活発だったり)がよく伝わってくる描写で、リアリティを感じる。一方で、この手の権力の横暴と、人間の欲望と、非力な人たちが追い詰められる場面というのは現代も同じ。事件は解決するが、なんとなく無力感を感じる。小説自体はとても面白く、第三部が楽しみ。
Posted by ブクログ
満州事変後のざわざわとした雰囲気の中で、歌舞伎の劇場が絡んだ殺人事件が起きる。
戦争前という時代背景と伝統芸能の場という対比。
そしていつの時代も変わらない人間の情念。
それらが混ざり合った独特な雰囲気に、魅せられる。
Posted by ブクログ
#芙蓉の干城 #松井今朝子 #読書記録
時代物は苦手、というと母が、松井今朝子なら読める、とのご推薦を受けて。
とはいえ手に取った1冊目は昭和。
歌舞伎劇場を舞台とした劇場時代ミステリー。三部作の二作目らしい。
歌舞伎を先日見たこともあり、選んでみた。
なるほどその時代を思いつつ。
時代物、とは思わず読めました(昭和だしね。)
これははまる!ほどではなかったが。
次は、江戸ものを読んでみよう。