あらすじ
モノの時代から、アイデアやサービスの時代へ。
人々の生活や働き方、企業の投資や生産体制は
どう変わるのか?
<ロングセラー『コンテナ物語』著者がひもとく世界経済200年史>
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
正確にこの本を表すなら「グローバリゼーションの歴史」あたりが適切だと思うんだけど、まぁ原題が「Outside the Box: How Globalization Changed from Moving Stuff to Spreading Ideas(アウトサイド・ザ・ボックス グローバリゼーションはいかにして「モノの移動」から「アイデアの拡散」へと変化したのか?)」と、同作者の『コンテナ物語』を強く意識したものになっているので、知らない読者と知っている読者のいいとこ取りをするためにこのタイトルにしたのかもしれない。
いや、誤解を招くとは思うけどさ…。
グローバル化が当たり前になった今から見ると不思議なことだけど、昔は主に運送などの点からグローバル化することのデメリットが多かった。発想としてないわけではないんだけど、コストとリターンがあってなかったんだな。
ただ、そこからメリットが上回ってくると、サプライチェーンという形で企業は一気に発達しだす。
それはある程度まで上手くいっていて(日中韓とかね)いたけど、消費のカタチが「モノ」から「情報」へ移ったことで、これまでの見え方だと見えにくくなってしまったものもある…というあたりかな。GDPが当てにならないのはこういったケースで、国主導で見ること、あるいはビジネスを補助金なんかでコントロールすることはどこまで通用するのかなぁ、という。
主題ではないけど、EUなどのグローバルの枠組みが、世界戦争を防ぐ役割を担っているというのは気付かなかったので良い指摘だった。
世界は複雑化してくけど、それは誰かが暴走しないようにする安全弁が多くなっている結果かもしれないね。
Posted by ブクログ
物流革命が今日のグローバル化を進化させた。
第1のグローバル化は19世紀のヨーロッパ主導で始まった。世界の貿易取引の内、40%近くがヨーロッパを主体とする取引であった。しかしながら、グローバル化が各国に与える影響は限定的であった。
第2のグローバル化は第二次世界大戦後、製造先進国であった日欧米間での取引が主体であった。発展途上国は、先進国に対して原燃料を供給する形で参加した。
第3のグローバル化は、関税引き下げ、輸送手段の信頼性向上・低価格化、及び通信費の低下で進化した。ECは1969年に関税を撤廃し、コンテナ輸送は1956年に実用化された。関税引き下げは、1992年NAFTA、2000年以降も同様の経済連携協定の締結が加速し、コンテナ輸送の拡大に合わせて、第3のグローバル化が進化した。一方、第3のグローバル化による弊害も生まれ、二国間での貿易摩擦、先進国における製造業の衰退、所得格差などの諸問題を招いた。
第4のグローバル化では、テクノロジーの進化や、モノからサービスへの転換によって研究開発、エンジニアリング、デザインがグローバル化される(第3のグローバル化では先進国で製品を考案し、低賃金の国で製造したものを世界中で販売していた)。第4のグローバル化の結果は、従来、各国が重視していた貿易収支には現れず、生活水準が豊になったか否かに反映される
【感想】
・マースクのメガシップ戦略は、輸送効率化を期待していたにも関わらず、荷役作業や、鉄道輸送キャパの問題によって、結果的に非効率的な戦略であったのは意外であった。
・韓進の破綻は、マースクを中心とした海運会社に加えて各国政府主導の過当競争という構造的問題を背景としていることを学べた。
・トヨタの「カンバン方式」の考えは、国際物流が正常に動いていることを大前提としていることに気づけた。いくら効率的な運用であっても、災害・港湾ストライキが発生し、生産や物流に遅れが出た場合には、大損害を被る可能性がある点は考えないといけない。
【Todo】
・アメリカ、日本、中国、ドイツ、イギリスの貿易収支を調べる。
・海運会社(マースク、日本郵船、Evergreen、現代)の財務分析をする。