【感想・ネタバレ】P+D BOOKS 故旧忘れ得べきのレビュー

あらすじ

左翼運動後の虚無感を描く転向文学の名作。

「僕なんぞ因循で自分ながら厭になる、英語の本屋に毎日勤めているんだけど、つまらない、つまらないと言いながらいつの間にか年とって死んでゆくのかと、時折考えて、くらーい気持になってしまうんですよ」
――小関の虚無的な気持、待てよ、それは俺のものでもある、同時に俺たちと同時代の青年の大半が現在陥っている暗さだ――
旧制高校時代、マルキシズムに傾倒していた小関健児と篠原辰也。一方は現在、安月給の雑誌社勤め、もう一方は羽振りのいい金持ちの息子と境遇は大きく違うが、ともに“転向”による虚無感を抱えながら生きていた――。
著者自身の体験に基づいた“転向文学”の傑作で、第1回芥川賞候補作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

000

これって

頭にロバートさんの英語詩が出てますが、
これって蛍の光のオリジナル歌詞。
蛍が光るのは6〜7月くらいなのに窓に雪が降るので、
なんかおかしな歌詞なのですが、オリジナルでは蛍(firefly)も出てくることはない。
芥川賞を受賞したのは石川達三さんの蒼氓(そうぼう)ですが、新潮から出てるのは3部構成で
ブラジル移民、いや棄民か、の話。船に乗るまでと、船旅で40日くらいかかる、とブラジルついてからの話だが、
船に乗るまでの話が評価されたみたい。
川端康成は蒼氓より本作を高く評価していたが、菊池寛が蒼氓でしょ、と言われたので蒼氓になった模様。
この賞を立ち上げた文藝春秋は菊池寛が作った会社ですしね。
ちなみに受賞者の石川さんと評価した側の誰一人として面識はなかったそうな。
評価者の佐藤春夫に泣きの手紙を送付した太宰さんとは大違い。
それはそれとして、川端さんが評価したのも頷ける出来ですね。
お好みで。

0
2025年10月30日

「小説」ランキング