あらすじ
播磨の悪党の首魁には大きすぎる夢だった。おのが手で天下を決したい――楠木正成と出会った日から、大望が胸に宿った。軍資金を蓄え兵を鍛えて時を待ち、遂に兵を挙げた。目指すは京。倒幕を掲げた播磨の義軍は一路六波羅へと攻め上る。寡兵を率いて敗北を知らず、建武騒乱の行方を決した赤松円心則村の生涯を通じ人の生き方を問う感動巨篇。
第一章 遠い時
第二章 意 地
第三章 妖霊星
第四章 決 起
第五章 原野の風
第六章 遠き六波羅
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
R4.9.18~9.24
(感想)
鎌倉時代末期(南北朝)から室町時代への革命を牽引した赤松円心の物語。
赤松円心とは何者か、「悪党」とは何だったのか、赤松円心から見た楠木正成とは、悪党から見た足利尊氏とは…。そのあたりがわかるといいなと思って読み始めました。
上巻を読んだ上で、まず、「悪党」を他人に説明できるほどは理解できていない。
悪党とは、幕府側が、地方で組織的に野党や盗賊のような活動を始めた豪族をそう呼び始めた、ということか。(そこには「反幕」という思想的な定義はあったか?おそらくなかった)
悪党と呼ばれる立場の彼らは、幕府とその領地運営システムに不満を持っていた。そこで賄賂・野党・盗賊のような活動で財をため込みながら、革命を願っていた?というところか。そのよりどころとして朝廷の存在があったと。
しかし、赤松円心は朝廷の力を利用して倒幕を目的とし、楠木正成は朝廷の権威復活までを目的としていた?そう読み取れる。気がする。
ではどちらのタイプが正統な?「悪党」なのかがまだ理解できていない。
下巻に続く。
ただ、物語、人物描写は結構好きなタイプの歴史小説です。
吉川英治の私本太平記を読んだだけでは、足利尊氏がどの程度赤松円心を意識していたかが分からなかったが、この本では二人の関係性がより近く描かれそうで、期待してます。
Posted by ブクログ
主人公円心の生きざまともいえる「悪党」とは「悪党としての誇りを、人に自慢できるのか。誇りは、ひそかに抱くものよ。やはり、おのがため、としか言えぬな」と楠木正成に語っており、本書でも中々動かぬ円心は自分の手で時代を変える大きな野望を持っているようだ
故に近隣の情勢だとか誰かとの共闘等と言う目先の事では行動せず、ひたすら武器を集め・部下を鍛える下準備が徹底雄している
因みに現在の歴史研究でいうところの「悪党」とは、朝廷・幕府の訴訟において原告が被告を糾弾する際に使用する呼称が「悪党」であり、そんな生き方や階級・職業の存在が集団でいた訳ではない、いわゆるレッテル張りである