あらすじ
他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書館で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた-。
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Posted by ブクログ
本屋さんでたまたま出会った本。
主人公ほど重症ではないけれど周りの目を気にしすぎてしまって自由に好きなように自分のしたいことをする人には憧れを持っていたからとても共感できた。2人と出会ってから少しずつ心が解けていくところは読んでいて気持ちが良かった。
Posted by ブクログ
この作家の人はいつかの自分を投影して文章書いてるんやろか?と思うぐらいに心情描写が細かいしリアルだと思った。ゴルフカートで帰るとこはすごい楽しかった。ここだけ映像化してほしい。
Posted by ブクログ
百合は、常に他人の評価を軸に生きている。
他人の苛立ちや不快感を敏感に感じてしまう。
だから、学生時代から人から変に思われるような行動はとらないし、人から羨ましがられるような彼氏を作る。
しかし、そのせいで本当の「自分」がわからない。
百合がこんなにも他人の評価を気にする原因となったのは、「引きこもり」の姉の存在があった。
容姿も可愛く少女趣味で、いつも正しい姉はかつて人気者でみんなの憧れの的だったのだが、思春期になると相手にされなくなり、それでも「自分」を曲げなかったため社会に適合できなくなってしまったのだ。
ある日会社で小さなトラブルを起こしたことを気に病み、即座に仕事を辞め旅に出たが、その道中でも船で一緒になった人やホテルのフロントの人の顔色を伺い、疲れてしまう。
そんな中、ホテルへのシャトルバスに同乗したマティアス、ホテルのバーで働く坂崎と出会う。
他人にあまり興味がなく、自分がどう見えているかにも鈍感そうだが、それぞれに悩みを抱えて生きている二人と過ごすうちに百合は無意識に押さえ込んでいた「自分」と「姉」への気持ちに気づく。
旅行先で読みたい話。
内容は暗いし、大きな展開もないけれど、海に面したホテルで自分もゆったりと過ごした気分になれた。
百合の自意識過剰な性格にはとても共感する。
私も、複数の選択肢がある場合にそれぞれを選択した場合の周りの反応を考えてから選んでしまうので、実際に自分がやりたいのは何か、思ったことは何なのかわからなくなるときがある。
それ故に(百合ほどではないけれど)「自分」を貫いている人を憧れの反面疎ましく感じることがあるし、切羽詰まっている時は世界を性悪説でしか捉えられなくなる。
けれど、マティアスや坂崎の天真爛漫だったりマイペースだったりする様子に、百合が肩の力が抜けてがんじがらめだった価値観から少し解放されたように、私も少し楽になれた気がする。
考えすぎたり自己嫌悪したりしたときに読み返したい本。
Posted by ブクログ
ひとり旅したいなぁ。
読み始めは、わぁ主人公病んでる。かわいそう。と思いながら読んでいたけれど、上手くいかなくて疲れて悪いサイクルにハマってしまって…という時は誰にでもあるから、刺さる人は多いだろうなぁと思う。
私は、価値観を示していた人が突然いなくなって迷子になってしまっているマティアスの方に感情移入した。マイペースなところも自分に似ている。私もあの頃もがいていたけれど、もがくのをやめてフワフワしていたら少しづつ好きなものだけを選べるようになっていった気がする。
スッキリ解決!ではなくて、少しの光が見えてちょっと元気になって帰っていく終わり方がイイ。きっとまた鬱々とした気持ちに戻るに違いないけれど。
「自分で不幸になれる人は 自分で幸せにもなれる」