あらすじ
なんという希有な響きだろう/音は聞こえるけれど、言葉は聞こえない――物語が消え、そこに遺る、痛いほど純粋な言葉たち。森博嗣、唯一の詩集。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
森博嗣(もり ひろし)唯一の詩集。
もともと、森博嗣の小説は詩的な要素が滲み出ているように思う。
僕の森博嗣のイメージは、ほぼ「スカイ・クロラ」で固定されている。
純粋で静かで、無駄がなく飾りがない。心にスッと這入り込んでくる感じだ。
中原中也のイメージもそうなんだけど、詩的に類似した匂いがする。
森博嗣らしいコトバとテーマ
対象の観察、自己の観察…広がってゆく感じと、収束してゆく感じと。
お気に入りの一冊に登録だな。
Posted by ブクログ
森博嗣の作品は、ミステリ要素よりも詩的表現が好きだったりするのですが、納得しました。
言葉だけの文庫の方がわたし好みです。
心に残る言葉たち。
良いです。
Posted by ブクログ
森先生の理論が最後までなかなか捉えられず、何を言わんとしている詩なのか分からないものがあった。しかし、生への切迫感を終始漂わせつつも、何か生への安堵感を感じる構成になっていた気がする。まだ感覚的にしか分からないが、読むと恥美的で、命を題材にした刹那的な美しさを感じた。スカイクロラシリーズのセリフの断片が、数編の詩に入ってたのが、学生時代ファンだった自分としては嬉しかった。この詩集をさらに「大人」になった数年後の自分が読んで理解が深まるかは謎だ。極めて限定的な層のみに理解できる作品な気がした。
Posted by ブクログ
森博嗣で初めて読んだんが詩集て。
銀色夏生の詩集ぐらいしか日本人のものはまともに読んだことないです。
詩集出すような作風だと思ってなかったから、むしろ興味本意の冷やかし読書。
だけど後半の作品の盛り上がり方すごい。詩集や短編はどう考えても作品の順番が評価に大きく繋がるけど、これは成功してる。畳み掛けて、ちゃんと落ちる。強いて言うなら助走がながい、かなあ。
でもぜひ小説も読みたいと思いました。
「胸のうえに手をのせていると悪い夢をみるよ」
「海の向こうにはなにがある?」「夜と粉と髭と泥」
Posted by ブクログ
『いつも通る道でも
違うところを踏んで歩くことができる
いつも通る道だからって
景色は同じじゃない
それだけでは、いけないのか?
それだけでは、不満か?』
『後悔エトセトラ
思慕コンパクタ
逡巡パラメータ
憂鬱ストラクチャ』
『胸の上に手をのせていると
悪い夢を見るよ』
『飛べないことを
知らない連中が
飛んでいるのだよ
生きられない理由を
知らない連中が
生きているように』
『かすかな奇跡と軽やかな予感と
生きているという呪文にかかった君と』
Posted by ブクログ
綺麗な詩集。言葉の選び方、や連なりに響き。そういうものが味わえるシャープさ。
激しい内的衝動よりも周りの世界と相対する人間を切り取っているようなイメージ。私は美しい言葉の連なりが好きなので結構好きですが、その反面そのさらりとした感触はとっかかりがないようにも思えます。
ただよく引用される「ハウリングする思考」は特別。
Posted by ブクログ
森博嗣の詩に決定的に足りないのは、
苦悩とか悲しみとかそういう負の感情。
ここに収録されている詩もきっと、
さらりと書いてしまったのだろう。
それが悪いというのではなく、
そういう時代なのかな。
嫌いだという意味ではない。
Posted by ブクログ
森博嗣の詩集
所々に森博嗣っぽさを感じる
何の原石かツッコむところとか、世間でありふれた表現へのアンチテーゼというか何というか
他にも独特の解釈をしているところあるなぁ
まぁ、森博嗣に慣れた人にとってはそんなに奇抜には感じないけどね
あと、他の小説のシーンを思い浮かべたものがいくつか
主に真賀田先生に関するものだけど、やはり森博嗣は真賀田四季という壮大な一つのストーリーを書いてるんだなぁと勝手に妄想
Posted by ブクログ
森博嗣の唯一の詩集。著者曰く「小説よりも詩集の方が好き」だった時期があったそうだ。自身、彼の作品は詩的な文章が多い。全篇、新作ではなく過去の作品からの言い回しを変えたり、シリーズの該当部分から発想を得たもの、ノベルス版(文庫版では栞)の右カバーに記載されている詩だったりと新鮮さを感じない部分があったのが惜しい。
Posted by ブクログ
作者のノベルスカバーそでや文庫栞で見なれた詩がまとめて編まれており、手頃である。ただイラストが無いのが残念。作品的には冷たさや慧敏さを与えるような言葉の多用によるイメージの一辺倒が見られる(詩の初出がそういうものだから仕方がないとはいえ)、ファン向けに徹した一冊かと。