【感想・ネタバレ】プロジェクト・ヘイル・メアリー 下のレビュー

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Posted by ブクログ

最高に面白かった。SFってあまり読んだことがなかったけれど、そんな事問題じゃない。
難しい単語や科学のお話の部分は正直理解し切れていないし目も滑りに滑るけど、この物語を楽しむ上で完璧に理解することは必須ではないように思う。
文系人間の私でも十分面白かった。
でも、わたしが学生の頃この本に出会っていたら、
理転して科学や物理の世界に進む選択肢を手に入れていたかもしれないなとも思う。
少し悔しい。

上巻中盤の“うっそだろう!”の部分からもう本当に止まらなくなってしまって、
夜中まで読みふけった。
もちろん最初から面白いのだけど、このシーンから数段面白くなりワクワクが止まらず夜中に目が冴えまくった。

壮大なSFでありながらどこか少年漫画の友情・努力・勝利に通ずるところもある。熱い。
“彼ら”の成功、生還を祈りながら希望と絶望の間を何往復もした。
“彼ら”と一緒に興奮したり、悲しんだり、“皮肉”に笑ったり。

色んな終わり方を想像したが、少し意外なラストを迎える。


ネタバレを踏まずに読んで欲しい本なので何も言えないのだけど、
後味が悪い終わり方をしない作品なのもとても良かった。

実写映画化が決まっているとのことなので、本当に楽しみです。

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2024年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本当に面白かった。科学も物理もわからないけど、わからなくても楽しめた。
ライアン・ゴズリングさんで映画化が進行中との事だけれど、映像化されたロッキーに早く会いたい。そしたら、しあわせ!しあわせ!

ロッキーぃ…大好きすぎる!

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

SFは苦手なはずなのに。それでもやばかった。顔から水が洩れてくる…生涯忘れることのない本となりました。

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2024年05月13日

Posted by ブクログ

素晴らしいSF作品に出会えた。地球を救うことを目的に宇宙で悪戦苦闘する物語はかなり目にしてきたが、このパターンのエンディングは初めてだ。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

怒涛の展開でハラハラしつつ、科学的な内容は全くわからないので読むのに苦労しました。最後はスッキリハッピーエンド、多くの口コミは「面白かった!」なのですが、主人公が過ごした過酷な時間とその結末に私は切なさで涙が止まりませんでした。
とても感慨深い作品です。読んで良かった。

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2024年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ものすごい本を読んだ。
イヤー、すごかった。

上巻でロッキーと出会った。
下巻ではロッキーと一緒になってタウセチを探る。タウメーバがアストロファージが食べることがわかった。窒素の中でも生きられるよう世代厳選し、ロッキーがたくさん持っていた(相対性が考慮できなくて過剰な燃料を持っていた)アストロファージで地球へ帰還する。

ところが帰還中、タウメーバがキセノナイトを通り抜けることがわかった。ロッキーの船はほとんどがキセノナイト製。食料がないなか、ロッキーを助けに向かい、そのまま一緒にロッキーの星へ。

一年後、太陽の光が復活するところが観測できた。
主人公はロッキーの星で生徒に科学を教えているー。
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SFはあまり縁がなかったけどめっちゃ面白いことがわかった。まさか異星人まで出てくるとは。しかも異星人とこやりとりとか、科学を使っていろいろなことを解決する道筋が論理的すぎてみててめっちゃ面白かった。火星の人も読んでみたい。
読んで良かった〜〜〜〜


ロボットから鎮痛剤をもらうときにあと3時間はあげれませんって言われて、時間を4時間後にセットしたあとに鎮痛剤をもらって「まぬけめ」っていうところが好き笑

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

SFは普段読むことはないんですが最高に面白かった!
主人公の背景がやたらと小出しだな、と思ってたらじわじわと絶望の穴が深くなっているのを感じて、一気に来られるとここまで重く受け止められなかっただろうなと。
困難も多いけど、バディらの鬼強メンタルのおかげで陰鬱にはならなくて、始終少年みたいにわくわく応援しながらサクサク読めた。

途中までロッキー死ぬなロッキー死ぬなと念じまくっていた。愛おしいよ〜〜

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

母校の物理科の先生のおすすめの本で、ずーーーっと気になっていた作品でした。

ここ6年ほどほぼ読書週間のない生活をしていたのですが、とても久しぶりにこんな長編を読み切れました...! 話の長さが全く苦痛にならないほど、面白くとてもよかった。私は物理は基礎部分しか学習していないのですがある程度は理解と共に読み進めることができました、ガチガチに物理を勉強していたらもっと楽しめたんだろうなぁ。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

立ちはだかる問題に仮説検証を繰り返し解決していく過程でグッと物語に引き込まれ、主人公と一緒に宇宙を探検している気持ちになりました。
最後の最後までワクワクして楽しめました。
探検や冒険が好きな方にぜひ読んで欲しい一冊です。

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2024年03月31日

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ネタバレ

読み終わったあと色んなポジティブな感情になった!
SFが苦手な人も読んで欲しい。それほど面白い。
何の情報もなく読んだから、6章(くらい?)の衝撃は凄くて一回本を閉じた。
そこからは、宇宙人を知るための探究、頼りになるロッキーとのバディもの、未知のアストロファージとタウメーバスへの科学探索の冒険ものであり…続きが気になってしょうがない。
単なるSFとは感じずそして科学はわからないのにことの重大さ、よろこびを感じる不思議。
・アストロファージが地球へ危機を及ぼしている⇔貴重な燃料エネルギー源
・タウメーバは地球を救うもの⇔燃料エネルギー源(アストロファージ)を食い尽くしてしまうもの⇔食糧になりうるもの
このへんの多面性も面白かった。
ロッキーから燃料をもらってヘイルメアリーが地球に帰れる!タウメーバを見つけた!時のワクワクと、2つの惑星を救うためブリップAに引き返し再会した時の感動がたまらなかった。
グレースの偉業をどうか地球の人たちは知って欲しい。この物語は、本当によい、よい、よい!


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2024年03月30日

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このようなことは本はぜひ沢山の若い人に読んで欲しい。科学の面白さが満載。
科学者を目指すきっかけになればいいですね。

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2024年03月29日

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何と幸せな読書時間か。
地球の危機を救え。次第に明かされていく記憶、そして任務とは。
前半部こそ小難しい専門用語が多くて苦労したが、後半に至り、突然ギアが入る。
当方には科学の知識などないが、本作で描かれるSFがとんでもない傑作だというのはよく分かる。空想科学と、娯楽の見事な融合が互いに手を取り合ってダンスしている。素晴らしい一冊だ。これを読め!

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

異星人とコミュケーションを確立するためのやりとりや、
次から次に起こる予想外の展開を、へこたれずに工夫で乗り越える姿に
毎回納得させられて夢中になって読んでしまいました。

最近読んだ宇宙系SFでは最高の面白さです。

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

ぼくは悔しい…SF小説を読み慣れていなくて、科学も学生の頃から苦手だったぼくは、この素晴らしい物語を味わい尽くせてないんじゃないか…
それでも、そんなぼくにとっても、思いもしない展開に時に絶望し、希望を抱き、ワクワクし、ハラハラし、頭を悩ませ、笑い、涙したこの読書体験は唯一無二のモノだった、サイコーだったと思わせられた
特にラストの100ページ程は、ここからまだ加速するのか!と驚かされました

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2024年03月22日

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上巻とは雰囲気が打って変わって、どう展開するのか先が読めません。とても感動したし、おもしろかったです。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白かった。
太陽光が減少した原因については珍しい発想だったし、その後の展開も新鮮だった。
ラストのほうは大どんでん返しと言うような衝撃的なものではないが、友情を感じられて非常に感動してよかった。
火星の人と同じ著者と言うことで、文体はよく似ている、非常にくだけた軽いノリのラフな感じ。
私はこの文体書き方があまり好きではないので、その点はちょっと嫌だった。
また、この軽〜い雰囲気のせいで、シリアスな場面でも、いまいち緊張感がない。
主人公は目的地で様々な危機に陥るわけだが、その時に通常のSFなら、異星人の超絶技術で解決したり、地球のスーパーテクノロジーで解決したりと言うふうになるが火星の人の場合と同じで解決の方法は実にアナログ的で、すごい現実的にありそうな感じはする。
異星人との意思疎通も普通なら、脳内に直接語りかけてきたりして解決する問題が、ここでは通常の外国語を翻訳するのと同じような感じで実に地道。
ボリュームもそんなに超絶あるわけでは無いので、読みやすいと思う

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

最後の数行で久々にブワーッと鳥肌が立った。
本当に感動すると、頬に鳥肌立つの謎だけど、
今回はまさにその鳥肌だった。

グレイス博士、かっこよすぎ。

映画公開が待ち遠しい!

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ーオーケイ、地球を救うミッションだって?

〈あらすじ〉
僕は突然目を覚ました。真っ白な部屋、裸の自分、生きている人間が誰もいない空間、自分が誰かも分からない。さて、この状況、この空間、一体なんなんだ。だけど分かることもある。そう、ここの重力はいつもより重たい。なんということだ。ここは地球じゃない。オーケイ。さあ、何から始めよう。

〈感想〉
本当にめちゃくちゃ面白かったです。
SFこんなに面白いのか、、、。SF作品は映画ではよく見たりしていましたが、はじめて本で読んでみました。
初っ端から、重力だの質量だの計算式やら状況説明やら、結構難解です。
というか、これは物理選択してないと難しいのでは?と思う内容もたくさんあったのですが、それを超える展開の面白さ、、、。(物理選択者でも所々意味不明です)
最初が遅々としてしまう部分あって、読むのに時間はかかりましたが、最高にかっこよくて、最高にドラマチックで、最高に胸が熱くなります。
途中で出てくる相棒がとにかく最高です。
博士の「オーケイ」の口癖、うつっちゃいますし、相棒の「しあわせ!」もまた、うんうん!と頷きたくなります。
最後の展開もまた良いんですよね、、、。
とにかく壮大で、知的興奮が止まらなくて、ドキドキも止まらなくて、ほっこりまでしちゃえる作品です!

※上下巻同じ感想です。

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2024年02月23日

Posted by ブクログ

物理や科学の知識がゼロに等しいので、理解ってところを差し引いても、スピード感と、ワクワク、楽しい、そして、感動的な作品です。

そして、現在と過去の交互の場面転換、ラストに関しては、今と未来を想像させられました。

最後まで飽きることなく読み終えることができ、
苦手だった物理や科学に興味もすごく湧きました。

私のちっぽけな一瞬の人生の悩みなんて
素粒子よりもちっぽけなことです。
こんな本を書けるなんて、本当に尊敬します。

追記:私が一人なら、ここまでできただろうか?(知識があったとして)
勇気と好奇心、生きる希望、最後まで失わないでいられただろうか?
生きるとは、常に、勇気と好奇心と希望を持ち続けないといけないと感じた。

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2024年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「よい、よい、ぼくはとてもしあわせ!」

上巻の時点では判明していなかった「そもそもなぜグレースはヘイルメアリーに乗っているのか」「なぜ記憶が少しずつ戻ってくるのか(ご都合展開?)」といった疑問が一気に回収され、クライマックスへ向かう展開に手を止めることができなかった。

ストラットから他人との関わりを無意識に避けてきた臆病者と指摘されてしまっていたグレースが、異星人ロッキーと共に困難から逃げずに向き合い真の友情を育むことが出来て本当に嬉しく思う。

エンディングは多少好みが分かれるとは思うが、ペラペラと喋るロッキーを見ることができたので満足。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』上下巻
著:アンディ・ウィアー
訳:小野田和子
2021年 早川書房

これ、面白かった。
火星DASH村としてお馴染みの映画『オデッセイ』(火星に一人取り残されて芋育てる映画)の原作者、アンディ・ウィアーの作品。
宇宙もので、コールドスリープの事故から目覚めると他の乗員はトラブルで死亡していてまたしても宇宙空間に一人ぼっち。
記憶も混濁していて何も覚えていない中、少しずつ自分の使命を思い出す主人公。
読み手と共に状況を理解していく主人公に共感が深まる。

やがて、「太陽熱を奪うバクテリアから地球を救う」ために宇宙に出た事が明らかになり、そこからは使命に邁進!
と思いきや、未知の生物と宇宙で出くわし、もっぱらその生態に夢中に…。

上下巻の本書は、上巻の途中辺りから趣がガラッと変わる。孤独でないことの喜び、異文化とのコミュニケーション。
そこから宇宙を救うバディものの展開へと目が離せない、夢中で読む。

ラスト近く、究極の選択を迫られた主人公の迷いのない選択に、思わず喝采。

映画化も決定してるようなので、SF好きな方、是非。

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2024年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地球滅亡の危機を救うヒーロー譚であると同時に、異星人とのファーストコンタクト、コミュニケーション、コラボレーション、「コハビット」(cohabit、同棲)の実験小説でもある。異郷の地で天職にも恵まれ、老境に差し掛かって故郷に帰るという困難な選択をせずに永住しそうなものだが、異星人との遭遇ならびに未来に向けたより多くの可能性、交流の機会について地球の同胞に伝えずには済まされないだろう。きっとロッキーが連れて行ってくれるに違いない。

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2024年03月31日

購入済み

ただただ傑作

本作上巻を読んだ人なら迷わず買うだろう。下巻のこのコメントを読んだ人は本作の購入を強く強くおすすめしたい!

#笑える #癒やされる #泣ける

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2023年11月22日

購入済み

上巻に続くワクワク感

下巻もよいテンポで読み進められて、隙間時間でも少しずつ読めてしまう、すてきな作品です。

偶然にもこの作品に出会えて、ここ数週間はとてもよいSF心地に浸れました。

内容は伏せますが、あとがきにもあるように、ページ数が少なくなっても油断せず読み進めてください。

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2022年10月11日

購入済み

今までのSFからもう一歩

今までのSFではなかなかなかった展開の小説だと思った。
科学や物理の話も濃いが、そこにファンタジーが混じってきたような感覚で新しかった。

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2022年06月25日

Nk

購入済み

心が震えるヒューマンSF

結構なボリュームだったと思うけど、あっという間に読み終えました。SFでエンターテイメント性抜群のストーリー、なのに心にグッとくるこの感じ。火星の人もそうでした。読み進める程に本当にワクワクさせてくれます。
アンディウィアー氏と翻訳家の小野田和子氏、素晴らしい作品をありがとうございます。

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2021年12月24日

Posted by ブクログ

映画向きのワクワクするようなストーリー展開の、胸熱な友情物語。
久しぶりにこういう作品を読んだ気がする。

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2024年05月10日

Posted by ブクログ

上巻と比べ、読みにくさはかなり軽減された。

飽きない展開で事件が起こり、推論と科学で解決するので面白かった。

ロッキーを助けに行くところは、現実ではあり得ないだろうと思いながら、やはりグッと来るものがあった。美しい収束。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語の大枠が理解できた下巻はロッキーとのバディもの。凸凹バディモノが好きな自分にとってはこれ以上ない設定だったんだけど上巻ほどのミステリ要素はなく。
ただラスト50ページくらいの地球に戻る、戻らないを天秤にかけたときのシーンは良かった。
地球でなくても後世にバトンをつなごうとする主人公は科学者でありつつもやはり根本は教育者、教師なんだなと感じた。映画でもラストシーンはここなんじゃないだろうか。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

上巻より段違いに面白い。オデッセイが大好きだったこともあって本書を読んだけどオデッセイと同じくどんなトラブルや難題があっても神に祈ったり不貞腐れたりせず持ち得る全ての知識や経験を生かして邁進する主人公の姿が共通していて最高だった。
努力、友情、勝利という王道ジャンプみたいな要素もありワクワクさせられた。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

うおおお〜おもしろかったですね〜。
途中から完全に世界に引き込まれて一気読みしてしまいました。
専門的な科学の話が大量に出てきますが、そのあたりは雰囲気の理解のみで問題なく読み進められます。
SF小説苦手な方にも強くオススメできます。

とはいえ、単なる異星人との友情物語と思ってしまう自分もいて、少し物足りなさを感じる部分もありました。
(科学的な考証の凄さが全く分からないという私の不足は非常に大きいと思いますが。。)
主人公と異星人以外の登場人物も魅力的なだけに、広げた風呂敷がそのまま放置されている感が否めず、もったいないなあと感じます。
高すぎる前評判だっただけに、あえて星4としましたが、、、、

やっぱりめちゃくちゃおもしろかったです。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

宇宙空間を舞台とした冒険
幾度となく襲ってくる危機
主人公の軽妙な表現

エンターテイメントとして面白かった

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夢のある物語だった…!いや作中は地球の滅亡の危機なんだけども!
グレース博士とエリディアンロッキーとの交流はわくわくした。
相変わらずアストロファージもキセノナイトもタウメーバもふんわりとした理解の中読んでしまったんだけど…
でもどうして広い宇宙の中でロッキーという異星人に会えたのか、アストロファージの被害からちゃんと説明されてて、教師であるグレースがこの片道切符のヘイルメアリーに搭乗する理由も解明されたおかげで終盤ロッキーの元へ戻る気持ちも理解できたし、すごくよく練られた物語だなあと思った…
ふたりとも賢すぎる…

ちなみにわたしは宇宙戦艦ヤマトを思い描きながら読んだ。イスカンダル…

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

特に説明もナビもないので、流しながらだと今何をしているのかすら分からなくなる。ただ、文字数がそれほど無いこともあるが上下巻とも意外に短期間で読めたのでやっぱり読みやすかったのか。
やはりぞれぞれのアイデアは素晴らしいが、本質的な面白さと結びついていないように感じた。アイデア自体は物凄いエネルギーを貯蔵しているのだが、そのアストロファージは待機状態のまま終わった印象をうける。
これはもはや神話の詳細なので、そして伝説へ・・・みたいな後日談があれば良かったのにそれは読者に委ねられる・・・非常に惜しい。

本編内容はもはや異星種族の有能の頂点がタッグを組んだ様相を呈している。特にロッキーの理解力とDIY力は異常であり、一部を覗きほぼ全てのパラメータがカンストしている感じだ。
主人公も分析/解析が速く、難航しそうなEVAを短時間でこなすなど超人ぶりを発揮している。とにかく思い立ったら即提案し実行する部分は両者共通で、その様相は難攻不落の障害物レースを次々突破していく走者を思わせる。
更に万能材料キセノナイトが組み合わさることで、もう何が起きてもどうにかなりそうに見える。そのため実際どうにもならなくなっても、なにか作為的に感じてしまった。専門の研究者が一番最初の手順にしそうな隔離をしかも漏洩した場合の危険性が明確な環境下で忘れたとかありそうもないがどうなのか?メンタルが切迫してたとはいえ、たとえば溶接作業者がアースを取らず作業するようなものではないのか。やはりそのへんの描写がやや弱い。

結局、過去は強制出発のあと中途半端に途切れてしまい、散々前人未到の快挙を達成したあとぼくは臆病者だとか言われても説得力は薄味で、もう少し補完エピソードが欲しかった。
最後は一応ハッピーエンドっぽいものの、大団円とはいかず、不穏さを残しているのは何か引っ掛かる。「家に帰る」の意味は何なのか…考えるほどラストの展開は重く靄がかかっている。
結論としてはこれこそ真の正義ということなのだろう。正義と大義は相反していて両方貫く人はそれほど報われない。昨今、権謀術数や奸計の巧妙さを賛美し、成り上がるような話が逆張り的な真実であると量産されているふしがあるが、一方でこのような普遍的な道徳観を直球で打ち出す作品も浮上しているのは興味深い。

それにしても、なぜ存在価値をゆるがし、特異性を強調するようなラストにしたのだろう。最後もその後の凶兆を匂わしているようにみえなくもない。
ふたりの対面は囚人との面会のようだ。口調も賢くなって(理由は分かるけど)なにかドライで、もしかしてロッキーは相当な無理をしていたのでは?と思わせる。
金のためだけに執筆したのではないと作者が最後に意地をみせたと取るのはひねくれ過ぎだろうか。

厳しい環境に1人耐える描写は、売らなければならないプレッシャーと孤独に戦う著者の姿にも見える。
考えてみればSF作家というのは他と違って過酷なジャンルだ。どんなに爆発力を秘めたアイデアも一回使ったら終わりで、研究や意匠などと違って成果を盗まれても通常は何もできない。
完全に人類と決別しているこのラストにこそ大化けする作家のポテンシャルを感じるし、重要なのは、この作品がジャンルの歴史に配置されるのかということだが、それは疑わしい。余計なお世話だが最初から売れてしまったことが駄目なのか。

この時代に絶対的な英雄や勇者はいるのか。思考実験として興味深い。主人公は確実に英雄だろう。
しかしそれがどうした?と、考えさせられる。老齢となった主人公が地球へ帰還して本当になんになるのだろうか。あまりに度を越した偉業の前では豪華なモニュメントも栄誉ある賞も髪の毛一本ほどの価値もないだろう。
はたしてこれはかの美味たる自己犠牲の話なのか?
人類側は主人公の苦闘を伝聞程度でしか知り得ないので事後に語られる伝説は全て勝手な妄想だろう。
主人公も十数光年も離れた星系にコールドスリープからの復帰で突然出現したことで、地球に対する危機感は弱まっていて、しょうがないからついでに知恵を授けて人類を助けてやったという感じだ。
双方に意志の疎通はない。
未来の子供たちのためという理由は一応言っている。が、少なくとも内部的な前向きな動機を持ち自ら積極的に行動してはいないようにみえる。
主人公の自由意志は介在せず、実は一つしかない選択肢へと追い込まれているのは決定論的である。
しかし最後の正義をとる選択は決定論を否定しているとも言える。
さりとてできるかぎり最善の選択した形にもなっているが、それすらもストレステストのような苦行というのは辛い。
今できる限り最善のことをする、その場所があるべき居場所なのであり、その足元はどこだって地球なのだとポジティブに解釈することもできる。

動機はなんであるだろう?もはや主人公が動機そのものとなり存在と一体化しているのではないか。
明確に作中で描いてるわけではないし勝手な考察になるが、はっきりしているのは主人公にはこれといった理由は特にないということだけだ。だからこそロッキーを救うという正義を優先する。
これは道徳的な行為に理由はいらないという真実を示しているように思う。
能力、場所、機会が揃うと勝手に英雄は誕生する。それ以前のことに道徳的な理屈は無関係なのである。必然的にそうなるのだ。
主人公は神にも悪魔にもなれる瞬間を持っていたのに何もしない。それらは無関係だからだ。
道徳に理由は必要なく、条件が揃えば唯一絶対の正義の存在となる。だから自己の活動について、方針についてあれこれ理由を付けたがるというのは偽善の可能性が高いと予想できる。
例えば慈善活動を金のためにやっているとういうのは結構真摯な方なんじゃないかと思えてくる(しかしだからこそ必然性のない――あるいはあると主張する――その他の理由があるという点で確実に否定でき排除可能である)。
これらの点を考慮してこの小説をひとことで表すなら究極のエッセンシャルワーカーを描いた話だと言えるだろう。
エッセンシャルワーカーとは神になれる条件なのである。神が遍在しているとはこういうことではないのか。
自己犠牲ではあるが、特攻隊などとは全く別の観点の話なのであった。
しかし、やはりこういったことは外部からの無理矢理な邪推でしかなく、描かれている構図以外ははっきりわからず、冷静に考えると理不尽に押し付けられた責任から発生した責任感のみで成立している(だからこそ最高のパフォーマンスを発揮したのかもしれない)かなり荒唐無稽な内容で求心力を欠き、実際は過大評価気味の作品だったなというのが正直な感想だ。

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2024年04月28日

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