あらすじ
「あなたは、この世界に生まれてきたいですか? この世界に生まれてきてくれますか?」子どもを産むためには、その子からの同意が必要となる世界を舞台にした衝撃作。『彼岸花が咲く島』で芥川賞を受賞した著者による、芥川賞受賞第1作。
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Posted by ブクログ
産まれてくる子供の意思を確認しなくてはいけない合意出生制度
設定が珍しくて、しかも読みやすいので一気読み必須
主人公は合意出生制度賛成派だったのに、実際に自分の子供に拒否(リジェクト)されて、反対派に変わりかける。自分の信じたいものしか信じられないのって分かる。結果的に堕胎することを決めるけど、揺れ動く感情の変化が痛くて良き。
Posted by ブクログ
人間が完璧じゃない以上、どんな制度にも欠陥が存在する。
親からしたら、子どもがこの世に生まれることを望んでいるのか、産む前に知れたら安心できる。子どもにとっても自分の意思で生まれてきたことは生涯支えになる。私自身、生まれてこなければ…と考えたことがあるが、それは自分で決めたことだと知っていれば納得できるし救われる。
でもまだ生まれていない、世界のことを何も知らない子どもに数字だけで生まれたいですか?って聞くのは…しかもそれは記憶には残らず、1枚の書類の有無でわかる。なんだか、うまくいえないもやもやがある。
この物語の登場人物はなんというか、単純で、よく言えば素直だなと思った。合意出生制度は善だと信じ疑わない。それが当たり前の世界で生きているからかもしれないが、それにしても単純すぎないかな。
彩華は、自分の子どもがリジェクトになり初めて、その制度を疑った。しかし、最後は自分が信じてきたことを信じて、生まない決断をした。何を信じるかは自由だが、以前のように合意出生制度が完全な善だとは思わないでほしいなと思った。生まれた時点で何かを奪われている、呪いをかけたくないという気持ちは共感できた。
「生」について考えさせられる作品だった。
Posted by ブクログ
テーマは重たいが、設定はライトなためすんなり読めた。
・子供の頃に考えたことのある「望んでないのに生まれてきた」という不公平感と、娘ができてわかった何がなんでも幸せに生きてほしいという願望のどちらもわかる。
・戦時中、制度や時代の流れに逆らえなかった特攻隊の方達も、ある種似た気持ちを抱いたのでは?現代人も重なる部分があるのでは?と考えさせられた。
・現代社会を前時代だと否定する物語を俯瞰で見たとしても、合意出生制度の抜け道を探すリジェクトされた親心に共感してしまう。
・子供の生存難易度を下げたいと考えるならば、親は自らの価値観を見直さなければならない。と言う一文は、子育てしている身としては刺さった。
Posted by ブクログ
読むに至ったきっかけは、YouTubeでこの本を紹介していた人がいたから。テーマ設定としては今の時代にとても合っているしある程度のリアリティもあるけど、個人的には全員想像力無さすぎないかな、、と言う気持ち。
そういう制度が生まれた頃からあったのなら、それが彼らにとっての「常識」だから疑うには至れないのか、、。
読みながらだいぶ初めの段階で
「この環境に生まれてくることは自分で選択した結果だ」と責任を持つ・自認をすることとその安心感が生まれてくる子にとっては大事であり、親は親で「こんな制度がなくともうまれてきてよかったと思わせてやる」みたいな覚悟を常に持って育てるべきだろとも思っちゃってたので着地点がなんか想像通りではあった。
ていうか、こんな制度あると親によっては「あんたが生まれてくるって決めたくせに」と言う人もいるだろうし。どうなんかな〜
まあファンタジーですしね、って感じです。
当事者じゃないし、現代の社会問題に添いすぎててあざとく感じるからこんな斜に構えた見方しちゃうのかも、、なんだか勿体無いことしたなぁ。