あらすじ
「あなたは、この世界に生まれてきたいですか? この世界に生まれてきてくれますか?」子どもを産むためには、その子からの同意が必要となる世界を舞台にした衝撃作。『彼岸花が咲く島』で芥川賞を受賞した著者による、芥川賞受賞第1作。
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Posted by ブクログ
時代は今から50年後。「生の自己決定権」「生まれない権利」をめぐる物語。
コンファーム、いわゆる「生まれてきたいか?」の確認は、正当性があるのか。
「つまり、本当に大事なのは自分の意思で決めることそれ自体じゃなくて、それが自分の意思だと信じ込むことなのかもしれません」
大事なのは、生を選んできたという事実ではなく、「自ら選んだ」と、自らを後押しする意思。
生まれて幸せかどうかなんて、周囲の環境だけじゃ決められない。でも、幸せになるために生まれてきたんだと自分に暗示をかけること。ブラックボックスに入っているものが、「幸せ」であると信じること。
だからこそ、ラストは衝撃でした!
Posted by ブクログ
産まれてくる子供の意思を確認しなくてはいけない合意出生制度
設定が珍しくて、しかも読みやすいので一気読み必須
主人公は合意出生制度賛成派だったのに、実際に自分の子供に拒否(リジェクト)されて、反対派に変わりかける。自分の信じたいものしか信じられないのって分かる。結果的に堕胎することを決めるけど、揺れ動く感情の変化が痛くて良き。
Posted by ブクログ
人間が完璧じゃない以上、どんな制度にも欠陥が存在する。
親からしたら、子どもがこの世に生まれることを望んでいるのか、産む前に知れたら安心できる。子どもにとっても自分の意思で生まれてきたことは生涯支えになる。私自身、生まれてこなければ…と考えたことがあるが、それは自分で決めたことだと知っていれば納得できるし救われる。
でもまだ生まれていない、世界のことを何も知らない子どもに数字だけで生まれたいですか?って聞くのは…しかもそれは記憶には残らず、1枚の書類の有無でわかる。なんだか、うまくいえないもやもやがある。
この物語の登場人物はなんというか、単純で、よく言えば素直だなと思った。合意出生制度は善だと信じ疑わない。それが当たり前の世界で生きているからかもしれないが、それにしても単純すぎないかな。
彩華は、自分の子どもがリジェクトになり初めて、その制度を疑った。しかし、最後は自分が信じてきたことを信じて、生まない決断をした。何を信じるかは自由だが、以前のように合意出生制度が完全な善だとは思わないでほしいなと思った。生まれた時点で何かを奪われている、呪いをかけたくないという気持ちは共感できた。
「生」について考えさせられる作品だった。
Posted by ブクログ
死の選択は議論されることがあるし、自分でも考えたことがあるけれど、生の選択とは。衝撃的です。
そして、それが確認できるのは産まれる直前。
生まれたくないって判断されたら。。怖い。
実際、どんな親なのか、環境とか身体的条件とか事前に知ってたら、生まれてきたくなかったよ、っていう人もいるかもしれない。子供の時って無力でどうすることもできないことばかりだ。
Posted by ブクログ
テーマは重たいが、設定はライトなためすんなり読めた。
・子供の頃に考えたことのある「望んでないのに生まれてきた」という不公平感と、娘ができてわかった何がなんでも幸せに生きてほしいという願望のどちらもわかる。
・戦時中、制度や時代の流れに逆らえなかった特攻隊の方達も、ある種似た気持ちを抱いたのでは?現代人も重なる部分があるのでは?と考えさせられた。
・現代社会を前時代だと否定する物語を俯瞰で見たとしても、合意出生制度の抜け道を探すリジェクトされた親心に共感してしまう。
・子供の生存難易度を下げたいと考えるならば、親は自らの価値観を見直さなければならない。と言う一文は、子育てしている身としては刺さった。