あらすじ
寂しさを消すことができるなら、私は死んでもいい――
女が女になり、女でしかなくなる瞬間を描く問題作!
わたしの心が「寂しいの、なんとかして」と色目ならぬ物欲しげな瞳を駆使して、受動的に、男を付け狙っているわけです。(中略)
男に付け込まれるように、狙われるように、心がそういう風に巧みに振る舞っているわけです。
これがわたしの本性であるところの「受け身のストーカー」です。(本文より)
これは、性にまつわるあらゆる体験を味わい尽くす「女」の物語。
女という性をやめられず、女という性から逃れられない「生」の先には何が見えるのか?
太宰治の『人間失格』を下敷きに、「女性が女性であることで覗きこむ深淵」を照らし出す意欲作!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
これ絶対私好きだろうな〜と思っていたのですが、ほんとによかったです。
女性性にフォーカスした作品で、きちんと母性とか処女性との対比(違い)も意識して描かれていました。
たぶんこれあまり売れてない(流通してない)ような気がするのですが、なぜ!?と不思議なくらい。
若干、終わり方がふわっとしているような気がしますが、話の展開というよりは要素や描き方が面白い作品なので、個人的にはあまり気にならずでした。
------
すきなひとは、死にました。そうして、わたしだけ助かりました。
女にあるまじき女です。母親になれなかった、なろうともしなかった、出来損ないの、不完全な女です。女の恥。罪深き女。恥の女。
------
Posted by ブクログ
結婚について、「男と女が為すことですから、これはもう、過ち以外の何物でもないでしょう。」「人間同士が為すことだから、その行為自体が過ちである」という言葉がとても印象的でした。