あらすじ
果てしない無限の宇宙の神秘を量り、一個の水玉である自分の生命を描きたい──。長野県の生家を飛びだし、1950年代に単身渡米。ニューヨークでの無名時代の生き地獄、襲いくる心の病にも負けず、社会の既成概念に挑み、芸術への尽きせぬ情熱を開花させた、日本が誇る天才アーティスト。その魂の軌跡と愛した人々、進化し続ける創作について、自らの言葉で綴った、勇気と感動の書。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
芸術家草間彌生の自伝。彼女の創作モチベーション、通ってきた道のり、感性に触れられる内容になっていた。彼女の展示を見たのは京都に観光の折、行く場所に困っていた自分がたまたまフォーエバー現代美術館に立ち寄った時のことだ。鮮やかな作品が立ち並び、水玉模様が彼女の死生観に深く結びついていることを知って感銘を受けた。
本の内容のなかでも、彼女が忌避しているものをあえて創作の対象にし、それにより克服するといった考え方、創作はとても驚いた。創作のモチベーションに何かしらのコンプレックスやくらい過去などがあることはよくあるが、彼女はそれを克服しようとし、対象を無限に生み出すことで打ち勝とうとしている。言うのは簡単だが、そこには大きな苦痛や苦しみが伴うとおもう。
調べてみると彼女は2020年9月時点でいまだに創作をしつづけていることも驚いた。自分も死ぬ間際まで創作活動をしたいと切実に思った。彼女が羨ましい。
彼女の美術館に行くにあたって何か彼女のことを知りたいと思いこの本を読んだが、彼女の作品作成のバックボーンや考え方を知ることができて本当によかった。