あらすじ
日本人は、どうやって音楽を語ってきたのか。
その歴史を、名著100冊を抱えてひたすら読み解く!
ペリー来航から軍楽隊、クラシック、「リンゴの唄」、戦後ジャズ、各種音楽雑誌、ビートルズ来日、ニューミュージック、歌詞論、プレイリスト、サブスク、そして未来まで----。
音楽にまつわる150年分のブックガイドも掲載!
明治初年前後から令和初頭までのおよそ150年のあいだに、日本において「音楽」がどのように記述され、語られてきたのか。音楽そのものではなく、音楽を巡る言述について確認し、ニッポンの音楽批評の歴史的変遷を楽しく辿ってみた。
1876年から2025年までを30年ずつに区切り、それぞれの時代の音楽を取り巻く言説の配置を語る「通史」と、その時代に出版された代表的な「音楽の本」を20冊選んで解説する「ブックガイド」によって構成される、圧巻の1冊!
巻末には音楽雑誌リストも掲載。
カバーイラスト:山本祥子
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Posted by ブクログ
ペリー来航からストリーミング・メディアに至るまでの、ニッポンの音楽が歩んだ150年を振り返るのが今回の本だ。
これだけ見ると学者によるアカデミックな本に思うがそうではない。評論家と批評・音楽活動をしている2人があるトークイベントで「最近は良い音楽批評の本がたくさん出ているよね」という会話から始まった本だ。
洋楽との出会いは幕末のペリーが1853年に来航したことがきっかけだった。久里浜に上陸したとき、軍楽隊による演奏が行われたそうだ。
演奏された曲は「ヘイル・コロンビア」や「ヤンキー・ドゥードゥル」などだそうだ。日本において初めて洋楽が演奏された瞬間だ。
今ではおなじみの「ドレミ」だが、導入しようとした明治時代には賛否があった。反対派をかわすために西洋の音律は日本のものと基本的に変わらないとアメリカ帰りの文部省・音楽取調掛で仕事をしていた伊沢修二が、1884年に「音楽取調成績申報書」を文部省に提出した。
NHK朝のドラマでジャズが流れている。その中には現在も現役サックス奏者として活躍している渡辺貞夫がいる。渡辺が影響を受けたものとして、FEN(Far East Network)という進駐軍のラジオ放送を取り上げている。
僕がジャズミュージシャンを志したのは、なんといっても宇都宮の少年時代に受けたアメリカのポピュラーソングとアメリカ映画の影響がものすごく大きかったと思います。(中略)特にラジオから流れてきたFEN放送(進駐軍放送)のジャズミュージックは、その中でも一番ヒップだったしね。
ちなみに当時、よくかけられていた曲は「ビギン・ザ・ビギン」、「センチメンタル・ジャーニー」だった。特に「センチメンタル・ジャーニー」は、インストゥルメンタルばかりで珍しいボーカルだったので、日本人の間で流行したそうだ。
レビューの役割について、音楽に限らず、評論の対象が分からなくなってきているし、読めないつまらないと2人は語っている。
SNSの普及で1億総評論家になる時代なので無理もない。
これから先の音楽がどうなっていくのか気になるなあ。
Posted by ブクログ
労作だとは思ふけど
いやね労作だとは思ふけど、1章までの大谷能生の文体が気になる。おしゃれに気どってゐて少し読みづらいのである。メソッドやヒアリング、バックラッシュ、ヘゲモニーといったカタカナや、常体と敬体が混ざってゐるのも違和感。いはゆる評論的な書き方もある。読みづらい。