【感想・ネタバレ】言語が消滅する前にのレビュー

あらすじ

人間が言語に規定された存在であることは二〇世紀の哲学の前提だった。二一世紀に入って二〇年が過ぎたいま、コミュニケーションにおける言葉の価値は低下し、〈言語を使う存在〉という人間の定義も有効性を失いつつある。確かに人間は言語というくびきから解き放たれた。だが、それは「人間らしさ」の喪失ではなかろうか?――情動・ポピュリズム・エビデンス中心主義の台頭、右・左ではない新たな分断。コロナ禍で加速した世界の根本変化について、いま最も注目される二人の哲学者が、深く自由に精緻に語り合う。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今をときめく國分さんと千葉さんの過去からの対談をまとめた本。ご本人たちも述べられていたが、別々に企画されたとは思えないほどに一貫性のある対話になっている。後から編集したこともあるだろうけど、筋は通っている。
そこで語られているのは、エビデンス主義というか、責任と主体の問題というか、言語なき透明なコミュニケーションの問題というか、抽象的な個人を想定した上でのコミュニケーション、責任の問題なのだと思う。要はそんな個人であり続けることができる人はいない、極めて少ないにもかかわらず、そんな個人であることが要請され続けているということ。
そんな状況を脱するために複数の時間性の確保とか、文学的な言説とかの話が交わされている訳で、透明なコミュニケーションが全面化した社会に対抗する全面的に強度のあるコミュニケーションの達成は全体主義に陥るので、複数に個々の拠点で別の時間を確保していくしかないということなんだろうけど、そういう時間を確保するためのモメンタムは共同して作りあげていかないと、それぞれの拠点が個別撃破されてしまうということなのだと思う。

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2021年12月30日

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