あらすじ
寛永十二年、熊本藩主・細川忠利の剣術指南役を務める松山主水大吉が暗殺された。主水の隠し子・十兵衛は父を襲った十五人の刺客を続けざまに斬り裂く。二階堂平法秘伝の技〈心の一方〉によって。僧形の鬼・大悲を連れ、父の暗殺を企てた者への復讐を誓う十兵衛。だが、金色の髪に深い海のような瞳をもつ少女と出会い……。時代伝奇小説の新たな傑作! 日本ファンタジーノベル大賞2018受賞作。(解説・前島賢)
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Posted by ブクログ
文庫化待っていました。
ようやく読めました。
待った甲斐があった面白さ!
師匠兼父親を殺された少年と、彼に憑いた鬼、そして声を失った金髪の美少女という変わった組み合わせ。
これだけ見るとラノベのボーイミーツガール系だが、でも読むとしっかり歴史もの。
そもそも史実から始まった物語なので(史実だったことに解説を読んで知ったタイプですが)
御方様の正体、紅絹ちゃんの正体、復讐の着地点。
気になる謎や展開も多いし、本格的なチャンバラシーンも見どころ。
十兵衛の成長も伏線も丁寧に張られているので、あの時の経験が今活きたか!と思える展開も熱い。
途中悲しい別れもあるけれども、最後はちゃんと救いもあって、とにかく見どころ・おいしいところ・燃えるところを丁寧に丁寧に踏まえた抜群のエンターテインメントでした。
絶望的な状況でも、存在してくれているだけで空気を柔らかく変えてくれる大悲さんの存在はありがたかったなあ。
特に彼の本領発揮な終盤戦はたまらなかったです。
と言うわけで、推しキャラは彼です。
Posted by ブクログ
紅絹〜〜!ちょっと泣けました。
文庫本p294の「黒っぽくうねりを帯びた冬の海は、南国の割に寒々しくって、」という文の響きが好きでした。寒々しくて、でなく寒々しくって、のところ。
宗教を名指しで批判するところはやり過ぎではと心配になったけど、しょうがないといえばしょうがない。天皇が地方を平定するのは咎めず古事記日本書紀の妖怪を悪く描くのもまあ、日本人だからそうだよな…色々考えてしまいました。主人公側含めてすべての物の怪が可哀想でもあり、愛も有り、でもおぞましくて罪深い、そして人間もまったく同じ。そういう、単純に物事に白黒つけないところがこの小説の魅力かなと思います。