あらすじ
旧知のNPO法人「フェロウシップ」から、民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が荒井尚人に舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤務先を「雇用差別」で訴えているという。かつて勤めていた警察で似た立場を経験した荒井の脳裏に苦い記憶が蘇る「法廷のさざめき」。何森刑事と共に、急死したろう者の男性の素性を探る旅路を描く、シリーズ随一の名編と名高い「静かな男」など、コーダである手話通訳士・荒井が関わる四つの事件。社会的弱者や、ろう者の置かれた厳しい現実を丁寧な筆致であぶり出した〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第3弾。/解説=池上冬樹
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Posted by ブクログ
相手に寄り添うためには、相手が今何を必要としているか、困っているかを想像する必要があるけれど、知識がなければ想像することも難しいと思う。
辛いこと、うまくいかないこと、心の中のことを話せる人がいることが、一番の救いということが、一つのテーマなのかとも思った。
最後に美和と栄知くんのつながりに救われる最後だった。
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
やはり障害者とその周りの環境について興味があるからか面白く読めた。
聾者として生まれた瞳美が手話を覚えた2歳になるまでが飛んだけど、文字の概念も分からぬうちにどうやって教えたのか気になる。
3作目なので新井とその家族の成長も一緒に追えて面白い。
「一人でも障害児を減らせるように」との言葉にみゆきは 障害児は減らさなきゃいけないものなのか、この子は変わらなきゃいけないものなのか と思ってたけども、障害児に関わる者としては 人工内耳のようにその子自身が大きく変わらなくても道具や環境を変えることで生きづらさがなくなればいい という思いなのかな〜とも思いつつ。
でも少なからず(人工内耳ならば手術など本人自身の努力でなくても)本人が変わった部分もあるか、とも思いつつ。正解がないから難しい。
Posted by ブクログ
Audibleにて。
デフボイスシリーズ3作目の連作小説。
最初の短編は妊娠中の妻をもつ自分には辛すぎる話だった。
続く民事裁判の話は、クライマックスで鳥肌が立った。
ろう者に限らず、自分で声をあげることが難しい人間は想像以上に多い。
なんで言わないんだ、ではなく、聴きにいけるだけの余裕をもちたい。
最後の短編では天真爛漫だった長女の成長を感じられ、このシリーズは引き続き読んでいきたいと思った。
Posted by ブクログ
自分が知らない世界が広がっている。
静かな男
の、親には心配かけまいと取り繕ってしまう優しさが泣けてしまう。
それでも報われないのが泣けてしまう。
ハンディキャップを持ってる人って、
生活か大変なんだ、
平等に生きやすくなるといいと思いつつ、
自分に余裕がない時に歩み寄ることがてきるのかと葛藤を抱いてしまった。
偽善っぽい自分の汚さを感じてしまった、、、
Posted by ブクログ
前に草彅君がやってたドラマの原作者でした。
最初はミステリーかと思って借りたのだけど、手話通訳として働く新井の手記というか「聞こえない」ことで日常生活に生じる聾唖者たちの苦労というか、不便さや健聴者との共存(大げさかな)の難しさなど書かれてました。
うーん。。。難しかった。ミステリーを読むつもりで借りたので、こういう社会問題提議的な話は予想外で少し読むのに時間がかかりました。
話は4話に分かれていて別の話だけど一貫性はありました。面白かったかというと。。。うーん。。難しかったとしか感想がでない。なんと言ってよいのか。。
3話のホームレスの話がよかったかな。
とある小さな島出身の聾唖のホームレスが、テレビ放送にわざと映り込み、田舎の母親へその土地でしか使われていない手話でメッセージを伝える。。しかし、母親の地域では放送していない番組で。。というなんともやりきれない話だったけど、最後には母親に希望を持たせて終わっててよかったです。