あらすじ
阿波の守護細川氏に仕え、主家に従い畿内に進出した三好氏。全盛期の当主長慶は有能な弟たちや重臣松永久秀と覇業に邁進し、主家を凌ぐ勢力となる。やがて足利将軍家の権威に拠らない政権を樹立し、最初の「天下人」と目された。政権が短命で終わった後も、織田信長の子や羽柴秀吉の甥を養子に迎えるなど名門の存在感は保たれ、その血脈は江戸時代になっても旗本として存続する。信長に先駆けて天下に号令した一族の軌跡。
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三好一族は興味がある。『足利将軍たちの戦国乱世』と時代が被っている部分もあるので、読みやすかった。 でもやっぱり敵味方入り乱れ、くっついたり離れたり複雑。
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巻頭の略系図を見返しながら読んで行ったが、まぁ複雑。特にパッと見それほど入り組んでいない筈の細川氏の内情が複雑。三好氏単体で考えるのではなく、かつて主君であった細川氏とセットで考えないと理解出来ないと思う。
2022年は長慶生誕500年、という事で関西では(ちょっとだけ)三好一族で盛り上がった。関西は大阪や兵庫を中心にゆかりの地が多く、本貫の徳島や香川と共に、西瀬戸内海社会圏を感じさせる最たる題材となってもいい一族だと思う。
高久書店にて購入。
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ちょうど織田信長やら武田信玄やらの、有名な「戦国時代」の前日譚を、三好一族に焦点を当てて解説した本。三好長慶が地元にゆかりのある人物って所から手に取っただけだったけれど、応仁の乱から戦国大名が群雄割拠するまでの間の殆ど知らなかった穴が埋められて良かった。室町時代後期って思っていた以上にしっちゃかめっちゃか。前まで敵対していた勢力と手を結んで前まで味方だった勢力と対立したりしたみたいで、かなり面白い時代だなって思った。三好長慶はその評価が見直されて、最近の戦国シミュレーションゲームとかだと、能力値がかなり高く設定されているらしいのだけれど、その理由が良くわかった。
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三好一族と松永親子、足利将軍家のイメージが変わる本。通史なのでサクサク進み読みやすい。畿内の地名が次々に登場するので、巻頭の地図を適宜見返すと良い。
以下、印象
・ドラマやゲームと異なり、合従連衡激しい戦国時代では単純な君臣や敵味方で括れない関係性が多々ある。三好長慶がまさにそれで、親の仇である細川晴元に従ったり見限ったり、足利将軍を追い出したり戴いたり。
・松永親子は基本的に三好家に忠実で、信長離反についてもライバル筒井順慶の風下に立てないプライドが原因との分析。後世であれほど嫌われるポイントがどこにあったのかが気になった。
・三好松永を評価する本なので仕方ないが、足利義輝の評価が低い。他の将軍と比較しても責務を怠った云々。しかし無気力という訳でもない。大名たちに必要とされない焦りがあったのかと妄想。
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信長以前の畿内において最初の「天下人」とも目される勢力を築いた三好一族の事績を、本宗家滅亡後の動向までを含めて辿る内容。三好氏の視点から見る長慶没後の情勢が新鮮。戦国時代の終焉に向かう嚆矢としての位置付けがよく分かる。
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戦国三好氏の軌跡を丁寧に描いたもの。
細川氏の被官として畿内を転戦しつつ、足利将軍家の権威に服さない秩序を作り出した。
三好長慶の没後も畿内から四国では大きな勢力であり続け、信長の前に大きく立ちはだかっていた。
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16世紀において日本では天下とは畿内を意味していた。その前提で、確かに三好一族はサブタイトル通り戦国最初の「天下人」言えるかもしれない。でも詭弁だよね。そうとも言えるよねっていうレベルだと思う。単に地理的に畿内を掌握していただけだし、畿内を中央集権的に治めていたわけでもない。それよりも応仁の乱にケリをつけたのが三好一族なんだと思う。
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三好長慶に代表される三好一族の興亡を描いているが、三好氏や松永久秀に対する印象がガラリと変わる好著。足利将軍を擁さない初の政権という位置づけに驚かされる。「信長の野望」的なイメージが一新されて、戦国時代史をさらに楽しめそう。
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最近の中公新書は、歴史好きにはたまらないラインナップが続いている。2021年10月刊の一冊は、近年織田信長の先駆けといった評価もされている三好長慶を始めとする三好一族を扱った、タイトルもそのものずばり『三好一族』。
明応の政変以降の足利将軍家の分裂、加えて細川政元暗殺後の細川京兆家の後継者を巡る争い、敵味方が入れ替わり、信長登場以前のこの時代の歴史は人名を追うのに精一杯で、あまり良く分かっていなかった。
本書は、細川家の家来として台頭してきた、三好之長(長慶の曽祖父)、元長(長慶の父)、長慶とつながる三好本宗家を軸に、三好一族の動向を叙述していく。
将軍義輝を京から追い、将軍不在の中、将軍になり代わって禁裏の修理費用や改元費用を負担したり天皇の直轄領を回復したり、明使へ対応するなど、正に「天下」を制した長慶の時代、本書120ページに「最盛期の三好氏領国」の地図が載せられているが、大阪湾を挟んで近畿側の摂津・山城・河内・和泉・大和・丹波・淡路・播磨東部と、四国側の阿波・讃岐・伊予東部に及んでいる。
こうして地図で見ると、近畿と四国とが距離的に近いし、実は繋がりが深いことを感じさせられた。
長慶がもう少し長命であったならば歴史はまた違っていたかもしれないが、長慶死後、将軍義輝が三好三人衆によって殺害される(永禄の変)。なぜ義輝を殺したのか?将軍側近の排除を求める御所巻だったとする説があるが、著者はこれを排し、長慶の家督継承者、養子の義継が将軍家にとって代わろうとしたことが目的だったとする。長慶から家督を譲られた子の義興が長慶に先立って亡くなり、甥に当たる義継が本宗家を継承したのだが、将軍を討つことでその存在にふさわしいと主張したかったのではないかと言う。義継の存在はこれまであまり焦点が当たってこなかったのではないだろうか、興味深い説である。
三好三人衆と松永久秀の対立、義昭を擁した信長の畿内進出。この辺りからは信長包囲網と、関係者間の足並みの乱れ等、お馴染みの話となってくる。結局、三好氏は大名としては残れなかったが、一部は名族として旗本として残った者もいた。
終章は「先駆者としての三好一族」という標題で、足利将軍家の軛をいち早く断ち切ったこと、山城を居城とし、城下町を設けなかったことが城郭の発展段階として遅れた段階とのマイナス評価もあったが、大阪平野全体での発展を志向していたことなどの見解が語られる。
著者の捉え方自体も一つの見方だろうが、とても面白い考え方だ。
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三好は三好であろうとした。十河や安宅などは利用したが、三好の上位になろうとはしなかった。その後の信長や秀吉は三好の名を用いた。江戸時代も浅野家の家臣などとして残ったことで事績が語り継がれた。三好の立場から見る歴史は非常に新鮮。
足利義輝の印象もだいぶ違ってみえた。
※評価はすべて3にしています
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織田信長が主役となる歴史においては、三好一族は近畿地方の土豪で足利義輝を殺害した三好三人衆が印象にあるくらいだが、本書によれば三好一族は信長や秀吉に先んじて京の都を含む畿内を統一し、将軍の責を果たさない義輝に成り代わって征夷大将軍の役目を果たしていたという。
いわば室町幕府後の世界を先取りした、当時の政治状況を踏まえると極めて先進的な勢力だったらしい。
楽市楽座や馬揃えといった信長の実績として知られる事柄も、実は三好政権が先んじて実施していたものが大半という。
本書は応仁の乱以後の複雑怪奇、有為転変な政治状況を追うのに忙しく、三好一族の先進性についてはごく控えめに総括されているに留まる。
三好も織田も豊臣も内紛や不運で敗れる中、徳川が天下を取ったのは示唆的。
奸物とされる松永久秀も本書によれば一貫した行動原理を貫いたように思える。