あらすじ
「待てません。あなたが好きでおかしくなりそうです」
美しすぎる社長の最初で最後の恋は……前途多難!?
妹の身代わりで婚活パーティに参加したら、勤務先の“美しすぎる”社長、瞬一郎と出会ってしまった鈴蘭。彼に鈴蘭の「双子の妹」だと勘違いされ、熱心に交際を申し込まれることに! 「俺にはどうしてもあなたが必要なんです」近寄りがたい美貌と生真面目な性格から女性と長続きしないという瞬一郎の素顔に接し、次第に彼に惹かれていく鈴蘭は……!?
感情タグBEST3
ホントに気づいていないの?
妹に頼まれて、イヤイヤ参加した婚活パーティ。
プロフィールが妹のままになっていたのに、訂正しなかったのが大きな間違い。
勤めている会社の社長が参加していて、そこで本人と気づいてもらえなくて、双子の妹としてのキャラが確立。
社長、ホントに気づいていないの?
Posted by ブクログ
妹の身代わりとして婚活パーティに参加した鈴蘭が、まさかの自社社長・瞬一郎と出会ってしまうところから始まる物語。彼は彼女を“妹”だと勘違いしながらも、誠実に、そして一途に想いを寄せてくる。近寄りがたい美貌と完璧な肩書きの裏に、不器用で真面目すぎる一面を持つ瞬一郎。彼の真っ直ぐで少しズレた愛情表現に、鈴蘭の心も少しずつ惹かれていく。
まず、ヒーロー・瞬一郎のキャラが強烈でした。
超美形で、誰もが憧れる完璧社長……のはずが、恋愛経験ゼロの純情青年。敬語キャラでグイグイくる真面目さ、カワウソ好きという意外なギャップ、そして愛情表現の“過剰さ”がすべて愛おしくて、読んでいて何度も笑ってしまいました。恋に不慣れで、思い詰めると一途を通り越して執着気味になってしまうところがなんとも人間味があって憎めない。
一方のヒロイン・鈴蘭も、妹を想う優しさから嘘をついてしまったことに葛藤しながらも、瞬一郎の誠実さに触れて惹かれていく姿が丁寧に描かれていて好感が持てました。嘘を抱えながらも彼を想う気持ちが真っ直ぐで、最後にはちゃんと幸せを掴む流れに胸が温かくなります。
全体的にテンポが良く、ユーモアと甘さのバランスが心地よい作品でした。
真面目すぎてズレた社長の愛情表現と、それに振り回されながらも惹かれていくヒロインのやり取りがとにかく微笑ましい。恋愛の駆け引きよりも、純粋な“初恋のような不器用さ”が際立っていて、読後には幸福感がじんわり広がります。
少し残念だったのは、ヒロインの妹の登場シーン。もう少し踏み込んで描かれていれば、姉妹の関係や鈴蘭の葛藤にも厚みが出たかもしれません。とはいえ、最後まで読めばすべてが“愛しすぎる不器用男子×真っ直ぐなヒロイン”の王道ラブとして綺麗に収まっていて、麻生ミカリ先生らしい甘くて優しい一冊でした。