あらすじ
父・井上光晴、母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、逃れようもなく交じり合う3人の〈特別な関係〉を、長女である著者が描ききる。愛とは、〈書くこと〉とは何か。各誌で話題沸騰となった問題作、いよいよ文庫化!
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Posted by ブクログ
瀬戸内寂聴さんの過去についてテレビでみて、驚き、本書を読んだ。
生き様を垣間見れて良かった。(どこまで事実かはわからないが)
やっていることに賛否両論あると思うが、人を惹きつける力のある方には変わりがない。性格やセンスの良さ。女として魅力的なのだと思う。
Posted by ブクログ
ひとりの男を取り巻く女ふたりの話。
主眼は妻の方かな
前評判では瀬戸内寂聴さんの話って聞いてたけれど、話題が落ち着いてから読んだからそんなにあの人を思い出すことなく、小説として読めた。ここ大事だったかも。だって、娘が書いてるのを心に浮かべながら読むなんて、ねぇ。
男に対して本当に思うところはたくさんあるけれど、それがあっても惹き付ける人っていると思うし、それに惹かれて愛着を持ってしまったふたりの思いや決断が興味深く読めた。その辺りが私は好き。
最後まで読んでから改めてタイトルをみると、なんとも毒っけがありつつ、突き放してもいないいい感じ。
出家という、自分にも世間にも相手の男にも家族にも有無を言わせない頑とした方法をとった女と一生側で支え続けた女。
同じ女としてどちらの気持ちも感情もわかる。
そして、私個人としてこの妻の行動は『妻』という立場に期待しているものだと思った。自分がこうなりたいと思うかとは別で『妻』ならこうしてほしいという勝手な思い。
まぁ、女たちの行動の基盤には男への愛があって、それ故にこうなっていると思うんだけれど、やっぱりこの男はずるい。
本心はどうなのか、考えても分からないことだけれどふたりとも大事で、なおかつ、ひとりじゃだめだったんだろう。そして女にちょっかいを出すのが好きだったんだろうと思うけれどこればっかりはなんともね。そういう性質なんでしょう。
愛に生きたいと思う私にとって、この小説にあることはそれぞれが愛を体現してるように思えた。綺麗事かもしれない、こんなの本当の愛じゃないっていう意見もあるかもしれない。ただ、各々が傷を負いつつ、自分の信念に沿って生きた姿が見えた。
Posted by ブクログ
なんとなく瀬戸内寂聴が関わっていることが仄めかされてるのだけ知って読み始める。
白木という小説家の男と妻の笙子、愛人の長内みはるを軸に広がっていく物語。
女性二人の視点から展開されていくストーリーはおよそ50年というとても長期にわたる時間軸をまとめていながら、その実ですごくゆったりとした時間が流れているように感じた。人生の大半はただの時間に過ぎないってきっとこういう事なのだろうな。
長内みはるも笙子も、白木を介した複雑な関係性がゆえに繋がってるような繋がってないような絶妙な距離感。
果たしてタイトルの鬼とはなんのことだったのか。