【感想・ネタバレ】漫画 サピエンス全史 文明の正体編のレビュー

あらすじ

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

何種ものヒトのなかで唯一生き延びたホモ・サピエンスは、世界各地に進出し、壮大な文明を築いた。その意外な影響とは? 世界的ベストセラーの公式漫画化、待望の続編! 全頁フルカラー。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

漫画を読みなれていないので、けっこう読むのに時間がかかったけど、「サピエンス全史」のおさらいをするのにはとても良いです。「文明の正体」編では、最初の方は、人間が麦の奴隷になっていく過程が描かれる。
これは、原作を読んで衝撃を受ける人が多い部分で、非常におもしろい。狩猟・採集をして暮らす人々から見れば、朝から晩まで畑で働いて、農耕をする人々は、全く自由がなく、不幸そうに見えるが、麦を手なずけた人々は「我々は素晴らしいことを成し遂げた!これからは豊かになる!」と信じている。中盤から後半にかけては、人類が築いてきた虚構(フィクション)は、人類が作ったものであって、決して生物学的に決定されたものではない、ということが語られる。
インドのカーストや、白人が黒人を劣った存在とみなすこと、男性が女性を劣っているとみなすことは、「文化」として創られたものであり、決して決定事項ではない。遺伝的に優劣が決まっているわけではない。

うーん、とうならされるのは、世界中のあらゆる人間社会で、男性優位になっている理由が「わからない」とされていること。男性が肉体的に強いからというわけでも、社交性があり統率力があるからというわけでもない。子宮があり、子どもを産み育てる能力がある代わりに、妊娠・産後・子育て中に男に頼らざるを得なかったから…という説もあるけど、サルやゾウの社会では同じ状況でもメスが優位に立つ。
しかし、この100年で人間の社会にも革命がおき、女性の地位は劇的に変わってきた。
これから、新しい虚構を生み出して、社会が変わる可能性はある。ただし、いくつか考えられる虚構があるが、どれか一つが絶対に正しいということはなく、出来上がった虚構を大勢の人がまた信じなければならない。
とりあえず、これまで当然とされていた虚構のことを「これは虚構であって絶対的な真実ではない!」ということを多くの人が知ることだ!

0
2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社会通念というものの一部は、集団秩序をつくるただのツールであり、一部の人たちが利益を獲得・保持するために在るもの。人類の歴史を概観しながら、解説してくれる。

「良い秩序」をもつ社会集団とはどんな状態なんだろう?
そのためにどんな「想像上の虚構」が必要になるのだろう?
との課題に誘う。

0
2023年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『漫画サピエンス全史』の第2弾。1万2000年前に農業革命が起こって以降の人類の歩み。

まず穀物(特に小麦)の栽培化をするようになり、狩猟採集をやめて定住が始まった。それにより集団で密集して暮らすようになり、食糧の貯蔵ができるようになった。それにより人口が増えたが増えた人口を養うためにさらに食べ物が必要に。貯蔵は財産の私有という考え方を生み、ヒエラルキーができる。下層の人間は常に過酷な農作業に明け暮れる。土地や財産をめぐり、集団どうしでの戦争も拡大していく。密集して生活することにより疫病も蔓延する。動物の家畜化も進む。

農業の成果を記録するために文字が発明され、そのデータを管理するために官僚制度ができた。

集団を統制し支配するために、物語を超えた共同主観(共同幻想)たる虚構が作られた。国家、法律、制度、宗教、お金、そういった皆が価値を認めるから存在するフィクションである。支配のためのフィクションによりヒエラルキーも固定化され強力になっていく。

作者の主張は「人々の統制のために物語、虚構を作る力(認知革命)」「定住し農耕すること(農業革命)」が人類を良くない方向に進めた、というもののようだ。

思想的に左寄りで偏りはあるものの、作品としての完成度は高く(本は大きくて読みづらいが……)、読んでよかった。

0
2024年01月01日

「学術・語学」ランキング