あらすじ
冒頭で犯人の視点から犯行の経緯を語り、その後捜査担当の福家警部補がいかにして事件の真相を手繰り寄せていくかを描く倒叙形式の本格ミステリ。本への愛ゆえに殺人も辞さない私設図書館長の献身「最後の一冊」、科警研主任として鳴らし退職後は大学講師に転じた“教授”が厭わしい過去を封じる「オッカムの剃刀」、二女優の長きにわたる冷戦がオーディションを機に火を噴く「愛情のシナリオ」、経営不振で大手に乗っ取られる寸前の酒造会社社長が犯す矜恃の殺人「月の雫」、以上四編を収録。刑事コロンボをこよなく愛する著者が渾身の力を注ぐ第一集。
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Posted by ブクログ
「さよならの手口」で出ていたので。
叙述ミステリフェアの目玉だった。
これはコロンボ警部を意識した小説だとすぐにわかったが、
後ろの解説によるとそれ以上で、
著者はコロンボ警部のノベライズを手掛けたらしい。
コロンボ警部自体は好きなドラマだし、
それを小柄な眼鏡をかけた若く見える女性に設定したことに
文句をつけるつもりはないが、
今一つ彼女のイメージが固まらない。
例えば、事情聴取に行った相手の金貸しが、
話している途中で急に福家警部補をあなどってはいけないと悟る場面があるが、
彼にそうさせた理由がよくわからなかった。
それは犯人側にも言える。
殺人シーンから始まるコロンボ警部の場合は、
ゲストスターがすでに持っている強烈な個性とイメージを持って登場してくるので、
説明するまでもないところを、もう少し説明してもらわないと。
とりあえず、福家警部補が死ぬほど酒に強いのは理解した。
Posted by ブクログ
倒叙形式ミステリは犯行がバレていく過程が
我が事の様に辛くて苦手である
本作品はコロンボシリーズに傾倒した二人の
作家の合作だと後書きに書いてあり驚く
著者名が一人だというところから岡島二人と
かエラリークイーンとか連想しつつ、だから
名作なのだなと妙な理屈が浮かんだ
Posted by ブクログ
2008年12月発行
「刑事コロンボ」のような倒叙ミステリ
・小柄な女性警部補→コロンボ的役割
(映画好きでお酒が凄く強い)
・専門知識があり
地位と名誉を手にした成功者→犯人
4つの話
見かけは子供みたいな福家警部補が
事件を切れ良く解決する
解説には
「大倉崇裕」
「町田暁雄」(コロンボの研究家)
の合作と書かれていた
一話完結のドラマ見ているようで
面白かった
このシリーズをまた買おうと思った
Posted by ブクログ
私は刑事コロンボが大好きです。高校生の頃から再放送
されるたびに何度も見てきました。旧シリーズといわれる
45話までが最高です。以降の新シリーズはレベル的には
ちょっと落ちますね。
ところで今回の福家警部補の挨拶です。
面白かったがちょっと露骨に刑事コロンボをリスペクト
し過ぎでは?と思った。セリフや設定などがコロンボの
エピソードを思わせるものだった。例えばオッカムの
剃刃では「あなた方、今の教授の行動を見たわね」は
コロンボの逆転の構図。月の雫は設定が別れのワイン。
福家警部補のキャラも面白いのですが、ここまで露骨に
似せるとちょっと興ざめする部分も。とはいえ次作も
読んでみるつもりです。