あらすじ
東京の大宝石商の一家を恐怖のどん底へと突き落とす無気味な数字の通信。日一日と減っていくその数は、いったい何を意味しているのか。一家に異常なまでの復讐心を抱く怪人〈魔術師〉とは何者? 玉村家からの依頼を受けて保養先から帰京するなり、賊の手にかかって誘拐された名探偵明智小五郎の運命やいかに!~ 壮絶な結末に至るまで息つく間もなく展開される波乱万丈の物語。
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Posted by ブクログ
乱歩の通俗スリラーはこれで何冊目だろう、毎度手を替え品を替え楽しませてくれますね。最近読んだポオのネタもあって嬉しい。
今回は殺人現場に巨人の影、怪しい笛の音、厳重な監視下における密室殺人と謎めくアイテムの目白押しです。犯人の予想はついてしまいますが、あちらの方はなかなか盲点。ところで、結局あのサイズの手形はどうやって付けたんだよ。がんばって書いた?
Posted by ブクログ
面白かったけど、ラストが腑に落ちない。
妙子が実は魔術師の娘でも育ちは、中村家なんだからそう簡単に復讐に手を貸すかしら?
それに、文代が中村家の本当の子供と分かって、兄たちは素直に手のひら返しみたいに受け入れられるのか。。
全然共感できないし、単純すぎん?と思った。
Posted by ブクログ
夏なので血が欲しい! 悪趣味が欲しい!
…ということで自己満足の乱歩です。
『魔術師』で特筆すべきは、それまで月下氷人であった明智に、ついに愛慕の人が…! という展開ですね。探偵の明智はホームズのような、「推理一点張りの鋼鉄製機械人形」ではないのだと。なるほどそう言われてみればD坂の時からそうなのかもしれないですね。本作のヒロイン枠の文代さんは、『黒蜥蜴』とはまた違って、どちらかと言えば『陰獣』のヒロインに近い感じになっています。しかしまぁ今回の一連の事件に関しては正直、文代さんが偉大すぎる…!彼女のあまりの有能ぶりにご都合主義的に見えてきてしまうこともしばしば。でもいいのです、面白いから。
リズム良く進んでいく展開と悪趣味極まりない描写はやはり乱歩の真骨頂! どんどん読んでしまいます。真犯人はまぁかなり序盤から予想はできてしまいますが、血と戦慄の疾風怒濤がよみたかったので、やはり自己満足です。次は『盲獣』あたりを読みましょうか…