あらすじ
左腕に黒蜥蜴の刺青をした美貌の女賊。社交界の花形にして暗黒街の女王――変幻自在の黒衣婦人は、大阪の富豪岩瀬家の秘宝とその愛娘を狙って、大胆にも名探偵明智小五郎に挑戦状を叩きつけてきた! 日本一のダイヤ「エジプトの星」をめぐって、息づまるような死闘が繰り広げられる。三島由紀夫の脚色による映画・演劇によって、さらにその名を天下に知らしめた、妖しい女賊と名探偵との宿命的な恋を描く江戸川乱歩の長編推理。
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Posted by ブクログ
明智小五郎シリーズ
「黒蜥蜴」の刺青をいれた女。殺人を犯した男・雨宮を別人に仕立てあげ部下にする。大阪の富豪岩瀬氏の所有するダイヤ「エジプトの星」を狙う黒蜥蜴。「エジプトの星」を奪うために岩瀬氏の娘・早苗を誘拐しようとする黒蜥蜴。護に当たる明智小五郎。東京のホテルでの対決。緑川婦人として岩瀬氏に近づく黒蜥蜴。早苗の偽物をベットに寝かせて誘拐に成功したかと思われたが明智小五郎の勝ち。怪しい老人に仕事を依頼される桜山葉子。ある女性に変装して屋敷に入り込む。屋敷から早苗を誘拐する「黒蜥蜴」。屋敷に現れた酔っぱらい。長椅子に寝転び暴れる酔っぱらい。部屋から運び出された長椅子。明智小五郎の追跡。船上の対決。長椅子の中に閉じ込めれたまま水葬される明智小五郎。「黒蜥蜴」のアジトの剥製たち。監禁された早苗。黒蜥蜴一味の侵入者。水槽に入れられたはずの早苗が帰還したと報じる新聞。水槽に入れられた剥製。雨宮潤一の裏切りか?黒蜥蜴と明智小五郎の対決。
2010年12月12日再読
Posted by ブクログ
女賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎の対決を描いた小説。ご都合主義ばかりだけれど起伏に富む展開と、登場人物の魅力で一気に読ませてしまう。怪盗であり、猟奇趣味な殺人鬼であり、露出癖があり、1人称に「僕」と「あたし」とが混在するという黒蜥蜴の艶やかな妖しさが印象的。
舞台化された、三島由紀夫版も読んでみたい。
Posted by ブクログ
黒蜥蜴の人物像が凄く好み。悪事を働いてるはずなのに、登場人物達も読者もみんな彼女のことが好きだと思う。正に女王。「女王は奴隷の前に、どのような姿をさらそうとも、少しも悪びれも恥ずかしがりもしなかった。あまりの刺激に耐えかね、脂汗を流して悲鳴をあげるのはいつも奴隷の方なのだ。」という一文が印象に残ってる。彼女の妖艶な美しさ、時折見せる無邪気さ、賢さや大胆さに魅了された。一人称が「あたし」から時々「僕」になるとドキッとする。
序盤は黒蜥蜴の凄まじさにただただ感心したけれど、終盤はその黒蜥蜴をも明智小五郎が上回ったことに驚いた。でももう私は黒蜥蜴に惚れちゃってるから、彼女が負けて捕まるのは嫌だった。悪いことしてるのに不思議。だから彼女の尊厳が守られる終わり方で良かった。黒蜥蜴は圧倒的過ぎて彼女の前に立つ男の人をみんな奴隷や子分にしちゃうから、明智小五郎のような対等になりうる存在を求めていたのかもしれない。