あらすじ
私も,物語を書いてみようかな――入江駒子のつぶやきは「じゃあ書いてごらんよ」の声にあっさりと迎え入れられた。幾つも名前を持っている不可解な女の子との遭遇,美容院で耳にした噂に端を発する幽霊の一件,学園祭で出逢った〈魔法の飛行〉のエピソード,クリスマス・イブを駆け抜けた大事件……近況報告をするように綴られていく駒子自身の物語は,日々の驚きや悲しみ,喜びや痛みを湛え,謎めいた雰囲気に満ちている。ややあって届く“感想文”には,駒子の首を傾げさせた出来事に対する絵解きが。第三回鮎川哲也賞を受賞した『ななつのこ』に続く,会心の連作長編ミステリ。
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Posted by ブクログ
「ななつのこ」続編。
1 秋、りん・りん・りん
茜さん、とあだ名をつけた謎の女性の話。授業の出席表にいろいろな名前を使っている。彼女は誰?
2 クロス・ロード
ひき逃げで死んでしまった小学生の男の子。その子の父が描いた少年の絵が、骸骨の絵になってしまう話。
3 魔法飛行
文化祭の受付を友人の野枝としていた駒子。野枝の幼馴染が離れた場所での意思の疎通(テレパシー)をやってのける、という。子供達の協力を得て、野枝にその意思の疎通を納得させる話。
4 ハロー・エンデバー
1で登場した茜さんが再登場。駒子に意味深な手紙を送ってきていた人は誰なのか。その人、坂口亮は駒子とどういう関係か?
再読になるのだが、「ななつのこ」より覚えていなかった。
クロス・ロードのトリックだけは何となく覚えていたけれど、他はいまいち覚えていない。すこしぼんやりとした印象しかなかったかなあ。
Posted by ブクログ
連作短編4篇でもあり最後1篇は全編を通じての謎の手紙を纏める物語。出席簿、十字路の幽霊、風船とUFOなどの謎をいとも簡単に解く瀬尾さんの名探偵ぶりも駒子のおっとりしつつも行動力のあるところも好ましい。
Posted by ブクログ
「マルク・シャガールの<魔法の飛行>に描かれているように、軽々と飛び越えていけるよ、きっと」このセリフ、駒子さんの年齢の時に出会いたかった。でも、その頃、意味がわかったでしょうか。
解説にあるように、男性は「魔法を見せて、と望まれていることを忘れてはならない」。女性は、「愛する男性の魔法を信じて欲しい」きっと、その通りだと思う。それが、私たちは、魔法使いになれる自信を過信してしまったり、「魔法」を最後まで演じきれなかったりする。そして、最後に「魔法」を信じ切れなかったり、時計の鐘が「魔法」を解いてしまったりすることに気づく。
大人になることは、めんどくさいことを抱えることかもしれない。
きっと、<魔法の飛行>は、悩んだり考えたりしなくても…、若いっていいなぁ。くよくよしてもダメ。思い切って、エイヤッ。
ミステリというより、駒子さんの成長物語でしょうか。心の動きや感情、恋愛情緒が綴られている、群像劇。危うさや愚かさ、切なさやあどけなさが哀しい。魔法にかかっているだけ…、かもと。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
妙な振る舞いをする女の子、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付嬢に売り子に奮闘した学園祭、クリスマス・イブの大事件……文章修業を始めた駒子が近況報告のように綴る物語は、謎めいた雰囲気に満ちている。ややあって届く返信には、物語が投げかける謎に対する明快な答えが! デビュー作『ななつのこ』に続く会心の連作長編ミステリ。
【感想】
Posted by ブクログ
日常ミステリとしてもそうですが、どちらかといえば悲しい話が多いはずなのに、温かい気持ちになれる。
登場人物たちの周りを思いやる気持ちが伝わってくるからな気がします。
有栖川さんの解説も良かったです。
Posted by ブクログ
入江駒子
駒ちゃん。イリゴマ。短大に通う。姉、駒子、弟が年子、ひとつおいて妹。英文タイプ部。
瀬尾さん
駒子が手紙を送る相手。
愛ちゃん
駒子の友人。宇佐美愛。見た目ははかなげな、純和風の容貌をしている。大和撫子的要素はかけらもなく、飽きっぽいし、資産家の娘らしいわがままをしばしば発揮する。遅刻魔。
たまちゃん
駒子の友人。美大に通う芸術家の卵。
ふみさん
駒子の友人。高瀬ふみ。自分の足で、しゃんと地面に立っている人間。真っ黒いボブ・ヘアー。
茜さん
茜色のシャツを着た長い髪の女の子。井上美佐子。田川恵理。江中茜。坂口恭子。
マキちゃん
美容師。
中年の美容師
店の主任格。おむかない先生。
シゲ
先生の息子。
宇佐美潤
愛ちゃんの弟で、中学一年生。
塚原景太
交通事故で死んだ。潤が小学校の時のクラスメート。
塚原修太
画家。
野坂野枝
駒子と同じ短大。英文タイプ部。
卓見
野枝の幼馴染。UFOオタクの大学生。
大八木
ふみさんの婚約者。少年少女合唱団の指揮者。
伸也
少年少女合唱団のソリスト。
藤村
少年少女合唱団のピアノの伴奏。
坂口亮
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【収録作品】一 秋、りん・りん・りん/誰かから届いた最初の手紙/二 クロス・ロード/誰かから届いた二番目の手紙/三 魔法飛行/誰かから届いた最後の手紙/四 ハロー、エンデバー
駒子シリーズ第2作。
一 出席した学生の名前を書く紙に違う名前が書かれている謎。
二 ひき逃げで死んだ小学生男児を描いた絵が残された交差点。その絵が変化した謎。
三 学園祭に訪れた小学生たち。その中にいた双子が離れた場所で意志疎通ができたように見えた謎。
四 これまでの各話のあとに挟まれていた、正体不明の差出人からの手紙の謎。切迫感を抱いた駒子は行動する。
Posted by ブクログ
第2弾
主人公が好きになれないシリーズって、必ず素敵な子が周りにいる。このシリーズのふみさんとか、たまちゃんとか。 駒子が書く物語を読んでいく。感想と、手紙と、途中混乱もするのだけど、最終話でその伏線たちが回収されていく。 ちょっと無理やりで、最後がダッシュみたいだったのが残念。ひき逃げの謎と、お父さんの現状も欲しかった。
Posted by ブクログ
有栖川有栖氏解説。
続編。4つの短編から。
前作とは違い、実際瀬尾さんと会う仲だけれど、物語→手紙、の手法は変わらず。
今回はさらに差出人不明の手紙を挟んでいるが
ラストに全ての謎が解ける。
最近名短篇シリーズを読んで、解釈や他の人の感想を読むとこうも見える風景が変わるのかと驚いたが
このシリーズではそれが物語として読めるのが面白い。
瀬尾さんの思考の深さには驚くが。
(正直、交通事故の壁絵の少年2人の行動に非難めいた感情を持ってしまった。。。)
ラストの兄妹、彼等との関係はどうなるのだろうか。
個人的に兄と主人公、この関係に瀬尾さんはどんな感情をもつのだろう、と思ってしまったところが
妻子持ちの円紫さんとは違う構成ならでは??
また続きがあるそうなので読み進めたい。