あらすじ
某大手ハンバーガーチェーンに勤める草野哲也は、雨降る深夜の帰り道、轢き逃げ事故を目撃する。あわてた様子で黒っぽいスポーツカーが走り去り、道路に小柄な青年が倒れている! 疲れた体に鞭打って人工呼吸までしたのに、青年は息を吹き返さなかった。しかも雨に曝されてずぶ濡れの服のまま明け方まで警察の事情聴取を受けた草野は、みごとに風邪をひき熱まで出てきた。死んだ青年の姿が見えるなんて、かなりの重症だ・・・・・・。轢き逃げ犯捜しの顛末を、主人公・草野と幽霊のふたつの視点から瑞々しい筆致で描いた著者デビュー作。
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Posted by ブクログ
発売から長期間経過した旧作にテコ入れする際に用いられるボーナス・トラック。この本ではボーナス・トラックが、遊び心の愉悦とともに、忘れ難い記憶を聴き手の心に刻み込んだのだ。ハンバーガーショップの店員・草野が大雨の帰り道、轢き逃げ事件に遭遇する。轢死したのは大学生の亮太。亮太は幽霊となり、草野は亮太を認識でき、一緒に行動を共にすることになる。草野は亮太の明るい性格により仕事が好転する。亮太も自分を轢き殺した相手探しのため、草野に助けてもらう。人生では毎日、ボーナス・トラックを感じとれるように過ごしていたい。
Posted by ブクログ
息抜きのつもりで読んでみたら、ちょっと前向きになれました。また更に、これが全く実家の近所の出来事。そういえば学生時代に大型ショッピングモールでバイト(ドーナツ屋だけど)で夜から朝まで仕事してた。なんか身近に感じる一冊になりました。
Posted by ブクログ
草野哲也
多趣味で充実していたといえなくもない学生生活を送っていた。業界大手ハンバーガーチェーンに勤める。十月八日生まれの二十五歳。
横井亮太
埼玉の二流半の大学に通っていたが、六月九日午前二時二十分に車に跳ね飛ばされて死亡する。十九歳。武蔵学院大二年生。
南浩人
草野の勤め先にいる学生アルバイトの中でもっとも頼りになる男。一八四センチ九十七キロ。
柳井
草野より六つ年長の社員。中途採用でキャリアは三年足らずだが、前職がファミリーレストランでマネージメント能力が高い。
店長
草野が勤めるハンバーガー店の店長。四十手前。二十代のころはかなりの「トンパチ」で、女性客にしつこく絡むチンピラ二人を店から叩き出した代償に出世が大幅に遅れたという伝説を持つ。
荒井
アルバイトの一人。
高橋
アルバイトの一人。
南愛子
高校生のアルバイト。しょうちゃんと呼ばれている。南浩人の妹。
野尻明日香
高校生のアルバイト。首をコキコキ鳴らす。
横井順子
亮太の母親。
カズヨ
亮太の父の姉。
横井亮一
亮太の父親。
絵里子
亮太の従姉。
ハタケヤマユウコ
南浩人に見える幽霊。複合ショッピングセンターの駐車場にいる。
藪本
Sスタッフの一人。大学の二部に通っている。
森田
大学生の女子スタッフ。
Posted by ブクログ
幽霊とリアル人間がタッグを組んで悪者を探す、所謂バディもの。設定がそういうのだからファンタジーなんだが、一方で若者の日常生活描写がイキイキと?、描かれるリアル小説の部分もある不思議な小説。
幽霊側の主人公とリアル側の主人公が邂逅する前半部が少々しんどい。そりゃまぁ、ひき逃げされた幽霊と、その事故現場に巡り合った因果で風邪ひいてそれでも仕事をこなす人間側の主人公…なんて描写だからやむを得ないのだが。
その後、中だるみともとれる二人のグダグダ生活描写があるのだが、この中だるみ部分がなんとなくいいねんなぁ。もう一人の霊視者が出てきてからも、その良きウダウダが続く、良いなぁ。
後半は一転してスピードアップ、ひき逃げ犯を捕まえるクライマックスは読み応えありだが、ウダウダしてないので少々残念(おかしくなってる)
メリハリと言えばメリハリだが、その利かせ方にクセがある小説。ファンタジーとしてもミステリーとしても弱い部分があるが、そういうのは味付けで、この本の核心は若い男どものウダウダ描写を楽しませることなんだから、これで良し。
Posted by ブクログ
評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
草野哲也は、雨降る深夜の仕事からの帰り道、轢き逃げ事故を目撃する。雨にさらされ、濡れた服のまま警察からの事情聴取を受けた草野は、風邪をひき熱まで出てきた。事故で死んだ青年の姿が見えるなんて、かなりの重症だ…。幽霊との凸凹コンビで、ひき逃げ犯を追う主人公の姿を、ユーモアたっぷりの筆致で描く、第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞の著者デビュー作。
最後成仏できて良かった良かった・・・と言う前に20歳そこそこで死んでしまった亮平のご両親を思うと・・・成仏できて良かったね。とは終われなかったのが本音。しかも、親は見えないし・・・。
Posted by ブクログ
ある日ハンバーガーチェーン店で働く草野が仕事帰りに
ひき逃げを目撃したことで、そのひき逃げされた被害者が
幽霊になって草野の前に現れる・・・そして草野と
被害者である横井亮太の犯人探しが始まる。これだけ聞いたら
怖い話にもなりそうですが、とにかく明るい幽霊の横井亮太。
その二人を中心としたさまざまな話が展開されていきます。
個人的には最後は凄くしんみりしちゃいました。
タイトルになっている「ボーナス・トラック」の意味が
説明されていましたが、あぁ~そういうことか!
でもそれなら僕もそうなったときボーナス・トラックが
あればなんて思いました。
悲壮感なきミステリー小説そんな感じでしょうか。