あらすじ
東京都中野区で、若い女性の遺体が相次いで発見された。二人とも射殺だった。フリーの事件記者の木部美智子は、かねてから追っていた企業恐喝事件と、この連続殺人事件の間に意外なつながりがあることに気がつく。やがて、第三の殺人を予告する脅迫状が届き、事件は大きく動き出す……。貧困の連鎖と崩壊した家族、目をそむけたくなる社会の暗部を、周到な仕掛けでえぐり出す傑作ノワール。(解説・大森望)
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Posted by ブクログ
俺は視聴者の脳に酒を流し込んでいるんだ。犯人は、吉沢未男か長谷川翼のどちらかだ。どちらかが芝居を打っている。そして逃げ損ねた方は死刑なんだよ
重くて暗くて、こういうのがノワールっていうらしい。社会派でサスペンス。翼が犯人だったらいいと願いつつも、荷が重すぎる。
社会から、死んでようやく人権が与えられる、というのが刺さる。逃れられない環境の中で、自分たちが社会の底にいることも、歪に育っていることも気づかず生きている人の方が多数派なのか。それともぬかるみの中で陸地を探している人の方が多数派なのか。
事件はフィクション感が強いけど、テーマとしているところはそこまでファンタジーものではないのが重たい。
展開やモノローグが、時々ループしているような気がして、ちょっと疲れた。
Posted by ブクログ
若い女性二人が殺された事件を追うフリーの事件記者・木部美智子。貧困ゆえに犯罪を繰り返してきた男が、医者の家庭に生まれながらちょいワルに過ごす医大生を殺人犯にしてしまうという話。貧困、崩壊した家庭が、筆者らしいタッチでドロドロと描かれる。木部さんの推理力が凄すぎ。
Posted by ブクログ
初めての作家さん。
こういう文体を読むのは初めてかも?
淡々と事実や状況が並べられていて、読みにくいと感じる人もいそう。
でもわかりにくい感じはしませんでした。
事件自体はわりと複雑と言うか、登場人物が多い。
巻頭に登場人物一覧があるので助かります。
それを見返しながら本編を読みました。
視点が変わるのが複雑化している要因かと思いますが
最後にすべて繋がるのですっきりします。
蟻の棲み家に関しては、犯人の意外性がなかったかな?
この人?って思ってた人が、途中犯人じゃないっぽくて、え?
ってなりつつ、やっぱり最後には犯人だったって言う。
共犯者のほうにびっくりしたお話でした。
「相手が自分と同じようにクズでないと気にいらないのがクズな人間の特徴なんだ」
って一文が好きですね。