【感想・ネタバレ】空気を読む人 読まない人 人格系と発達系のはなしのレビュー

あらすじ

【すべての人はどちらかに分けられる】
空気を読みすぎる〈人格系〉。
空気は読まない〈発達系〉。
あなたは、どちらのタイプですか?

人間関係が悪化するのも、心のなかがつらいのも、
【人格】×【発達】の二つの傾向が激突することから始まっています。
この心のしくみを知ることが、
生きづらさから解放される一番の近道です。

***

【人格系】とは?
空気を読みすぎるタイプ。周囲が気になり同調圧力に苦しみ、軽微な神経症的な状態でいる。
その傾向がよほど極端だと人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)と呼ばれるかもしれない。
そういう傾向が「人格系」です。

【発達系】とは?
空気を読まないタイプ。自由で正直で天真爛漫、後先を気にせず、いつも目の前のことに没頭しているユニークな人。
その傾向がよほど極端だと発達障害と呼ばれるかもしれない。
そういう傾向が「発達系」です。

空気を読むタイプは、空気を読みすぎて苦しみます。
空気を読まないタイプは、周囲と衝突して苦しみます。
どちらのタイプも結局は自分を押し殺して生きづらさを強くします。

そのうえ、どちらのタイプも、おたがいが嫌いになります。
人間どうしの不仲、争い、憎み合いは、たいてい二つのタイプの激突から発生しています。

二つのタイプは、どうして、わざわざ相手を嫌うのか?
人はどうして、必要以上に怒ったり、意味もわからないまま嫌われたり、必要以上に自分自身を苦しめてしまうのか?
その謎を解き明かし、人間関係と心のつらさを同時に改善する一冊です。


■本書の内容■

第1部 心と性格のしくみ
【第1章】 すべての人は人格系と発達系に分けられる
【第2章】 天真爛漫な発達系
【第3章】 周囲が気になる人格系
第2部 生きづらさから解放される
【第4章】 私のなかの「もうひとりの私」
【第5章】 自分と仲直りする方法

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Posted by ブクログ

■相手に気を使い、心の中であれこれ葛藤を抱えているのに、それを顔に出さないように気を付けながら毎日を過ごしている。こういう傾向の人は多数派を占めている、いわゆる「普通の人」でこのような人たちを(著者は)「人格系」と呼ぶ。
 反対に将来や過去にあまり興味がなく、今現在のことに心を奪われやすく、目の前のことに熱中すると、つい周りが見えなくなってしまう人。目の前に現れる新しいことに衝動的に飛びついてしまい、それまでやっていたことを放り出して、やっていたことさえ忘れてしまうことがある人。熱中し過ぎて、ほどほどでとどめられず、気が付くと周囲から浮いてしまう。このような人たちを「発達系」と呼ぶ。
■人の性格を構成する要素には様々なものがある。持って生まれた先天的な要素もあれば、成長する過程で加わった後天的な要素もある。そのうち先天的な要素でさえ人それぞれ異なり個性的であるが、そこにはすべての人に共通した要素もある。このすべての人に備わっている共通の要素が後から付け加わっていく多種多様な特徴の土台となる。人は後天的な出来事の影響でそれぞれ変化していく。それでも変遷を重ねる性格の奥の奥に最初からあって変わらない基盤。それを精神病理学では「中心気質」と呼ぶ。
■自己愛性人格障害に現れる二つの方向性のうち、過敏に見える現れ方は周囲の反応に敏感で極度に恥ずかしがりやであることに代表される。関心は他者に向き、注目の的になるのを意図的に避け、批判を懸念して人の話をよく聞く。傷つきやすく、後悔や罪悪感が強く、抑うつ的である。通常は目立たないことを好むが、時として自尊心や自分の価値を否定されるような侮辱に対して激しい憤怒で反応する。自己愛憤怒である。
 一方、鈍感に見える現れ方は周囲の反応に気づかず、傲慢で攻撃的になることに代表される。関心は自分自身に向き、注目の的になることを望む。周囲から称賛を浴びたい一心で自己顕示的で自己主張が強くなる。他者の傷つきに対して鈍感になり、自分が特別扱いされて当然と思い誇大になる。
 前者が自己愛性人格障害の基本形であるのに対し、後者はいわゆるナルシシストでありエゴイストである。一般に「自己愛の強い人」と呼ばれるのは誇大なタイプのこと。
■「躁的防衛」とは自分が大切にしていたものを失ったり、傷つけてしまったりしたときに心に浮かんだ不安や喪失感を打ち消すために行われる反応。現実に存在する自分の暗くてもい気持ちを否認して、少し高ぶったような躁的なふるまいをすることから「躁的防衛」という名称となった。
■アメリカでは自分こそリーダーに相応しいと主張する人が多くいるが日本には周りからリーダーをやってくれと頼まれてからでないと動き出さない人が多い。これは文化の違いが同じ人格系から違う面を引き出している好例。
■自己愛性人格障害の二つの方向性は一見正反対に見える。しかし、そうさせる心の仕組みは同じ。どちらも周囲の評価を過剰に気にしている点で共通している。
 日本で見られる自己愛性人格障害の現れ方はたいてい過敏で抑うつ的であるが、ときとして鈍感で誇大になるパターンが顔を見せるそれは人格系の特徴に関しても同じ。

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2022年07月27日

Posted by ブクログ

人はみな、空気を読む人格系と、空気を読まない発達系のブレンドでできているという。さらに、自分の中には「もう一人のわたし」がいて、誰かと対立しているときには、相手の中に「もう一人のわたし」を投影しているので、自分が「もう一人のわたし」と対話して認めることができれば、自分以外の人との対人関係はうまくいくという。人の心って面白い。

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2022年12月28日

Posted by ブクログ

文章が分かりやすくて読みやすい。
僕は自分が人格者の割合が多いと思っている。
発達系の人が羨ましい。でも嫌いなとこもある。

僕の中に潜んでいる発達系の部分をもっと前に押し出してあげたい。

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

「生きづらさを解消するための本」としての冒頭での紹介。従来の切り口とは違っていて、新鮮かつ明瞭で、興味を持って読めた。後半の「もうひとりの私」について、腹落ちのために再読が必要かなと。

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2021年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

空気が読めるから同調圧力に苦しむ人格系。
自由で正直だから人を怒らせやすい発達系。
どちらのタイプも心のなかでは、両方の傾向がせめぎあっている。
心のしくみを知ることで、生きづらさから解放される。

わたしはもろ人格系ですね。人格系すぎるがゆえに、生きづらさを感じやすいのかもしれません。
中盤くらいまでは、分かりやすくて読みやすいのに終盤一気に分かりにくくなったのが残念。アクティヴ・イマジネーションの説明自分にはよく分からず。この説明でスッとできる人おるんか?むずすぎ。


以下付箋貼ったとこ。

人格系の人は、自分の意見を表明することはあまりありません。むしろ、意見などないと涼しい顔をしています。ほんとうは、強すぎるくらいの主張を持っている場合も少なくありませんが、おくびにも出しません。
それどころか、意見を持っていることに気づかれないかという懸念から、対人不安が高まることさえあります。ときには、それが対人恐怖にまで発展してしまうこともあるのでやっかいです。
意見や主張や要求などないかのような涼しい顔は、人格系の仮面です。仮面の下には憤懣やるかたない素顔があります。
だから、自分は人格系だと感じる方々には注意していただきたいことがあります。
人格系は、自分が素顔を隠していること、隠された素顔があることをきちんと自覚していなければなりません。仮面をつけている時間が長いほど、素顔を見失ってしまうことがあるからです。

人格系はこう考えます。不自由を抱えて生きるのはつらいものですが、あえてそのように生きるべきだと考えるのです。
確かに自由は素晴らしい。しかし常識から逸脱すれば責任を問われます。自由は常識と両立しません。自由に生きて周りから目をつけられたらどうなるでしょうか。またもや見捨てられるかもしれません。あてもなく彷徨う勇気はもう湧いてきません。
不自由な幸福のほうが自由な不幸よりもまし。人格系はとにかく安全第一なのです。
人格系は普通だからこそ生きづらいと言われます。
人格系の普通とは鎧で身を固めた姿です。鎧は守りにはよいのですが、しなやかな行動を妨げます。人格系の人はそれでかまわないと思っていますが、本音の部分では変われる機会が訪れるのをどこかで待ち望んでいます。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

生活上や金科玉条 世の中の諍いを観察していると 表向きの説明と実態がかけ離れていたり 大きな声では言えない暗黙の了解です その裾野は大変広く 南方熊楠くず 状況に応じて千変万化せんぺんばんか となると「寄らば大樹の陰」路線しかありません 殆ど生殺与奪の権を握られていると感じています 仮面の下には憤懣やる方ない素顔があります 同病相憐れみ 多数派の人格系が少数派の発達系をスケープゴートにするのが最もよく見られるケースです 激しい羨望や切ない希求 不自由な幸福のほうが自由な不幸よりまし。人格系は兎に角安全第一なのです。 ロールシャッハテストは、投影という働きが錯覚に現れ出るのを応用した心理テストです。 リーダー格の者もそうでない者も些細な空気の読み違いで失脚したり排斥されたりします 圧力鍋の蓋を時期尚早に開けると 「もう一人の私」は、「私」がこれまで生きてきた過程で意識せず、選んでこなかった全ての選択肢が集まって出来ています。つまり、そこには、まだ選んだことのないすべての可能性が保存されているのです。 社内での自分のプレゼンス(存在感)を確保する為の活動を優先していると語るのはには違和感を覚えます。 深層心理学では「もう一人の私」との対話を方法化しています。それは、思い浮かんだやりとりを口にしたり書き出したりして形を与える作業をコツコツ積み重ねることによって少しずつ行います。 敬意を払う、尊重するということは、流さない、無視しないということなのです。 心の奥底にいる「もう一人の私」とどうしたら仲直り出来そうか、様々な可能性を模索する姿勢にこそ敬意の有無が現れます。だから、模索することそのものに意味があるのです。 人格系特有の自己愛憤怒 ハプニングやアクシデントが膠着状態に風穴を開けてくれる可能性があります 想像の奥行きは深く、広い。それは「もう一人の私」がいる心の奥底に射し込む一条の光となって、閉ざされた扉を開け放つ力を持っています。 100%恣意的な創作で綴るというのは容易に出来るものではないのです 茅葺き屋根の古い民家と田圃が描かれた田舎の風景画からイマジネーションを始めたとします 選択は常に「何ができるか」という現実的な観点から考えるようにしてください 折衝 ちゃんと対話が成立している時は、浮かぶイメージに驚きがあって退屈しません。 アクティヴ・イマジネーションのような深層心理学の技法的枠組みがあることを知っていたら それは「もう一人の私」との仲直りに資する為でした 私達が、更なる自己実現を望んでいる限り、「もう一人の私」はそれを助けるメッセージを投げかけてきます。 微に入り細を穿って原稿をブラッシュアップして戴きました

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2022年01月25日

Posted by ブクログ

優しい語り口ながら、骨太な内容であった。わたしにはむずかしいと感じたが、世の中は「繊細な人VS天真爛漫な人」という簡単な構図ではないということ、自分ともう1人の自分がいること、これがわかっただけでもためになったと思う。

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2021年11月03日

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