あらすじ
深い森に閉ざされた国ファーシタル。
その森を管理する精霊に仕えてきた公爵家の令嬢ディアは、幼い頃に家族を殺され、王家に保護されたのち第一王子リカルドと婚約する。
しかし、彼が他に愛する女性を得たことで婚約は解消される。
円満な婚約解消に思えたが、ディアは知っていた。
かねてより精霊との繋がりを危惧していた王家がこの婚約解消を機に、数日後の舞踏会で自身を手にかけることを。そして自分の家族を殺したのが王家だということも――。
全てを失いひとりぼっちで生きてきたディアは、最後に奪い続けてきた者達への復讐を決意する。
そんな彼女をずっと見ていたのは、美しく残忍な精霊ノイン。彼こそディアの一族が仕えてきた精霊で、ディアが殺される理由だった。
気まぐれに現れるノインとともに、残されたわずかな日々を過ごすディアは、最後の舞踏会に向けて歩み始める――。
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Posted by ブクログ
“小説家になろう”で発表された作品の加筆修正+書き下ろしSS2本の書籍版。
婚約破棄された公爵令嬢による復讐劇、と聞くと、当事者達による恋愛絡みの愛憎劇を想像されるかもしれませんが、違います。
このお話は、国策により家族を奪われ一人生き残ってしまった公爵令嬢ディアが、自身の最後となる舞踏会で国を……国民全てを道連れにして成す、命懸けの復讐劇の物語です。
もちろん、復讐劇なので恨みつらみもあるのですが、ディアとしては自由になる為の手段であり、復讐を終えた後の死後の観光地巡りの予定立てに余念がありません。
……そう、この世界は死後が目に見えて存在する世界なのです。
幻想的で美しい情景描写に美味しそうな料理、精霊、妖精等の魅力的な人ならざる隣人達や不思議な生物が実在する世界観に、想像力を刺激される事請け合いです。
様々な人達の思惑が交差する王宮で、復讐を誓うひとりぼっちの元公爵令嬢ディアと、そんなディアの言動に呆れつつも甲斐甲斐しく世話を焼く夜の国の王…真夜中の精霊ノインの、小気味良い応酬と素敵な手料理、そしてすれ違う恋模様を是非お楽しみください。