あらすじ
夢も目標もあるのに決断に時間をかけて周りを苛立たせてばかりの僕。要領が良いのか悪いのか不明な男子が家族を得るまでを描く「されど私の可愛い檸檬」。さらに《理想》を体現する姉に慄く妹や、大きく揺らぐ小さな家族のために奔走する夫の姿を描く、理不尽で面倒だけれども愛するしかない戦慄含みの家族小説集。
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Posted by ブクログ
「愛」「哀しい・悲しい」という言葉の解釈を解釈にしては長い物語に載せて著している
舞城さんがこれらの言葉の意味をどのように噛み砕いて再構築しているのかがよくわかる作品。興味深かった。
『トロフィーワイフ』
愛情の捉え方の違い
あたかも善いように振る舞っている人の言動が受け手にとっては苦しいことなのかもしれない。しかし、拒絶する理由が明確にないことからその人の善意ありきの行動に染まった生活に沈んでいってしまう。
『ドナドナ不要論』
「悲しい」「哀しい」という言葉は一体どのような状況のことを表すのか。「ドナドナ」というかなしいと感じる曲をあえて聴く(自らかなしい思いをする)のはなぜかということについて、過去のかなしさはどんなことをしても取り返しがつかない。しかし、その出来事は全てが「悪い」でまとめられることではない。「かなしい」とは要らないけど悪いものではない。だからこそ、主体的にかなしみを感じる行為をすることがあるのだ。