あらすじ
猫沢エミとパリに渡った一匹の猫の物語。
8年ぶり、待望の復刊。わらかな再生と新たな運命の出逢い・別れを加筆した心震える増補改訂版。
初版『猫と生きる』から8年の月日が経ち、猫沢エミも猫たちも生き物として成長した。そのひとつの集大成が、運命の猫・イオとの出逢いから別れまでに享受した“愛と命の教え”だった。
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保護猫と別れの話。幸せに死ねる子もいれば壮絶な環境の中息絶える子もいる。幸せになれるような子が増えるといいな。猫を飼おうか考え中の方には読んで欲しい。
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20年10ヶ月一緒に暮らした猫を看取り、やっと猫の本を読む気になった。愛猫を連れて海外へ引っ越した時のことや、一緒に帰国した時のこと、愛猫を看取った日のことなど、この本を読んでいろいろ思い出してしまった。
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本の醍醐味である、自分がしてきたこと以外の経験が感じられる本であった。
猫沢さんの猫を尊重する気持ち、猫との暮らしの喜び、儚くも美しいという気持ちが伝わってきた。
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ここにいるのは「ペットと飼い主」ではない。
ここにあるのは「猫との暮らし」ではない。
タイトルの通り「猫と生きる」のだ。
猫たちと死別のシーンにはもちろん号泣するけれど、この本はそれが終わりではない。
保護猫たちは元々身体が丈夫でない。しかし病に冒されても猫たちは気高く生きる。著者は全愛情を持ってその命をつなぎ、命の火が消えゆく時期には全霊でその生き様を見届け、彼らが旅立った後は、悲しみで全身をすり潰してしまうほどに悲嘆に暮れる。
そして血を吐くように少しずつ少しずつ、彼らのいない日常に慣れてゆく。
彼らの魂の在りように、言いようもなく心を鷲掴みにされる。本書は、命の尊厳を真正面から描き、それと向き合う覚悟を私たちに問う物語なのだ。
#読書好きな人と繋がりたい
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『彼らの存在は、人間の子どもに限りなく近いかもしれないが、それでもやはり別のもので、人間社会の疎ましさから離れた安らぎをくれる、代替えの利かない存在なのだ。言葉を介さない愛を一心に傾けてくれる彼らを亡くすことは、ほかのどの苦しみにもたとえようがない、特別な痛みがあるのだと私は思う。小さな体は、一緒に暮らした人間の愛で満たされている。』
ミュージシャン、文筆家の猫沢エミとパリに渡った一匹の猫の物語。新たな運命の猫との出逢い・別れの物語。
猫や動物が好きで、どんなニャンダフルライフを送っているのか覗かせてもらう軽い気持ちで手に取ったのだが、深く考えさせられてしまった。
一匹の猫との出会いからはじまり、著者の波乱万丈な人生を追いながら、看取りや出会いが真摯に綴られている。
著者の人生観には学ぶ部分も多く、心にとめておきたいフレーズがいくつもあった。
猫好きの猫アレルギーで動物不可の住まいなので、今のところ動物と一緒に暮らすことはできないが、将来動物と暮らしたら必ず経験する看取りや死生観を、読みながら体験させてもらった。
人間と動物の関わり合いは様々な考えがあるが、お互いひとつの生き物として尊敬し、尊重しながら付き合っていきたいと思う。
そして不幸な子が世界からいなくなりますように。
動物が好きなひと、家族に動物がいるひとは必読の1冊だ。
こんなひとにおすすめ .ᐟ.ᐟ
・猫好きなひと
・動物が好きなひと
・人生について考えたいひと
・フランスが好きなひと
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猫沢エミさんの存在を知らなかっだけれど、元はミュージシャンらしいです。そして、この本を読んで、彼女の虜になりました。これ程までに心をかき乱される本は初めてかもしれません。
ゴミ置き場に捨てられていた子猫ピキを拾った所から、彼女の猫人生は始まります。その猫を連れフランスへ渡ります。
そこで、言葉の通じない所から始まり、ピキを心の拠り所とし、彼女は成長していきます。日本とは違う、ペットとの関係性も肌で感じながら。
フランスで…
☆人はだれでも新しい世界を恐れるものだが、それは私も同じで、見合わない仕事が来ると、そのチャンスはピンチにしか思えなかった。何とか大きな仕事をやりこなすうちに分かった事は、チャンスはピンチの顔をしてやってくるというものだった。ピンチをピンチのまま受け止めてしまうのも、チャンスに変えるのも、同じ1人の人間の捉え方次第なのだと、私は考えるようになった。
☆日本ならばどの分野でも、何も知らない新人が入ってくれば先輩が気遣って手取り足取り教えてくれるものだが、ここフランスでは自分から何を知りたいか申し出なければ、何時間でもそのまま放って置かれた。自分の立ち位置を決めるのが、周りの人の反応であることが多い日本とは真逆の発想。私は「自分の存在理由は、自分で決めて良いのだ」そう解釈した。
言葉を実地で学んでいく過程で必ず発見する思想の違いは、感情だけで捉えれば、ただの辛い出来事で終わってしまうが、論理的に自分の中に落とし込むことによって、新しい価値観へと生まれ変わる。
その後、ピキを見送り、新しい猫を2匹迎えて穏やかに生活していたころ、道路に痩せ細ってほとんど動かずにいたメス猫イオと出会う。酷い状態で保護したイオは、何とか命を繋ぎ、幸せな時間を過ごす。しかし、それはほんのひと時で、間もなく深刻な病、扁平上皮がんが発覚。その病はあっという間に広がり、余命はわずか。
弱っていくイオと残された大切な時間を過ごす作者。
一番感動した場面です…
☆イオはいつものように私の右腕の中で丸くなりながら、深遠な眼差しでじっと私を見つめた。そしてほっそりとした白い手をふっと私の胸元へと差し入れた。その手は、実際に私の皮膚を貫いて、心臓のあたりに入ってくる感触があった。「イオちゃん…もしかして、天国に行ってしまったあと、私のここに宿ろうとしている?それなら心配ないよ。イオちゃんと出逢ったあのとき、ママは魂の一部をイオちゃんに預けた。だからここは空いているし、あの日からイオちゃんの場所なんだよ」
作者の溢れる猫愛や、愛するが故の葛藤、強さと弱さなどが、手に取るように伝わってきて、幸せや辛さを共感して、その大きな振れ幅が心の中でバインバインと大きく弛んで、息苦しくなる。
作者の、何事にも身を削って懸命な様子に、私は日々なんて怠惰に何もせず過ごしているんだろうとあきれたりもしたけれど、作者と猫との濃密な世界に圧倒され、身体は硬直、心は大荒れだった。
心からの猫好きな方には是非読んで欲しい一冊でした。猫はそれほど…という方は、今ひとつ共感できない部分はあるかもしれないけれど、作者の生き様には心を動かされると思います。表紙の絵も文字も素敵ですね。
Posted by ブクログ
ーー異文化を柔軟に取り入れる心のキャパシティを広げてゆくのと同時に「私は日本人であり、何よりもまず私である」という価値観をぶらさずーーー
著者のこの部分の言葉は、私には「あなたは猫であり、何よりもまず私と同じように生きている命である」とも聞こえる。
この本は巷に多い「猫って可愛い 面白い 楽しい オシャレだし 犬より飼うのが簡単」的な物とは大きく一線を画す。
私自身、愛猫の死を何度か経験し、著者と同じように、実母を病気で亡くすとほぼ同時にその頃飼っていた保護猫も亡くし、人生の様々な岐路や苦難の際にいつも傍には猫がいてくれた。真っ直ぐに美しい眼で私を見つめ、言葉ではないもので心を溶かし暖めてくれた。それらはまごうかたなき命であるからこそ、一つの命につき必ず一つの死がやってきて、その度に私を前に押し進めてくれた。
ペットロス直後にはの本は手強すぎるが、何年か後に読むのにはきっと一番ふさわしい猫生と人生の書である。
Posted by ブクログ
タイトルと装丁に惹かれて購入。
「猫と生きる。」というタイトルな為、ほのぼのとした日常が描かれているんだろうなと考えていたが、半分正解で半分不正解だった。生きるということには死が付き物であり、この「猫と生きる。」にも愛猫を見送るシーンが出てくる。
死生観、種族ごとの倫理観など、生きる上で考えなくてはいけない事をこの本は考えさせてくれる。
日本人は宗教を熱心に信仰する人があまり多く無い為、この類の話をする事は少ない。そのため、この本の内容は現代の我々に必要なものだと感じた。
また時間が空いたら読み返したいなと思える作品でした。
Posted by ブクログ
猫(それぞれ名前はあるが)という家族と暮らす軌跡が描かれている。
筆者のキャラクターと相まって、読みやすく喜ばしいことも綺麗事ではないことも書かれているが、読んで考えさせてくれる。
猫沢家の話の後に、少し対談や雑誌で出てくるような紹介記事が出てくる。相性などもあるだろうから全員において「正解」ではないだろうけど、エッセイを読んだ後にすぐ読める贅沢さを感じることができた。
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猫と生きる
いつぶりかな
こんなに泣いたのは。
一昨年の11月に愛猫ルナを亡くした以来かな。
こんなにも猫を愛し、
気持ちが心に響く文を綴る
猫沢エミさん
私の猫への想いをたくさん表現してくださってるみたいで、
とても嬉しかった、っていうのかな?
共感できて安らげた、っていうのかな?
なんだかわからないけど、
胸が熱くなりました。
今この時を幸せに、
ニャンコ達を幸せにしてあげたい。
また読みたいなぁって思いました。
猫沢エミさん
ねぇピキ
ねぇイオ
幸せだったね
ねぇルナも
幸せだったよね
favorite sentence
ピキは、猫生の最後を飾る、贈り物のような素晴らしい人生観を私に与えてくれた。
4匹の命のバトンリレーが見せてくれた愛と尊重は、そのままイオが私にくれた大いなる死生観そのものだった。
世界でたったひとつの命と向き合い、生きて見送ることはいつも"生"という光の中にある。
セ・ラ・ヴィ 「これが人生(だからしかたがない)」
チャンスはピンチの顔をしてやってくる。
人はなぜ、動物と暮らしたがるのか?それは、日々、人間同士が言葉を介して交流し、深く理解し合う反面、ときにその言葉で傷つき誤解が生まれる疲労感を、言葉なしでコミュニケーションする動物の存在が癒してくれるからなのだと思う。
愛したぶんだけ哀しいのなら、涙の量はピキの生涯の意義そのものなのではないか?そう考えられるようになった。
自信とは、人に見せびらかすためにあるものではなく、誰も自分など見てくれないどん底の時期に、どれだけ自分を信じられるかを指すものだと私は思っていた。
Posted by ブクログ
タイトルに偽りなし。第1章から第3章まではミュージシャン、文筆家などの肩書きを持つ猫沢さんの活動と、常に共にいたピキとの記録である。第4章からはピキを亡くした後出会った2匹の猫ピガとユピのその後と、新宿で保護したイオとの短いが濃密な日々が描かれる。本書は2013年に発売された同タイトルの復刻版で、第4章は丸々追加されたものらしい。
ぼくは2年前に母を、昨年秋にピノ(猫)を亡くした。本書を読みながらいろいろなことを思い出し号泣した。
Posted by ブクログ
私自身猫好きなので思わず取ってみた本
軽い気持ちで読み始めたら予想に反して深く考えさせられるものだった…
ねこを看取った経験のある人が読むと辛い気持ちを思い出すかもしれない
"この愛しい小さな生き物たちが寿命の長さでは測れない、命の価値について教えてくれること"
"個々の種族に合わせた倫理観があることを認め、きちんと線引することが大切であること"
といった、著者がねことの共生、パリでの生活を経て実感したことを本を通して訴えかけている
宗教が強く根付いている海外と違って日本では死生観について誰かと議論を交わすことがほとんどない
種族を超えた死生観については尚更
考えずに生きていても困ることはきっとないけど、それは人間のもつ特権に依存していて傲慢な気もする
私自身もここまで深く考えたことはなかったのでこの本が改めて考え直すきっかけになった
✏C’est la vie=セ・ラ・ヴィとは、どうしようもないことが起きたときフランス人がよく使う、悲劇をさっさと終わりにする魔法の言葉で、「これが人生(だからしかたがない)」という意味だ。
✏不思議なもので人の魅力というのは、実は言葉を介さない。その人のセンス、知性、志から発せられる魅力は、仕草や呼吸を通してトータルの印象になり、相手に伝わる。そこに言葉が加わることで「何か」がより明確に現れる。たとえるならば、言葉は人の内面を形にするため、ふちどりに使われる金の糸なのだ。
✏足りないのは愛情ではなく、システムです
✏親に見捨てられたヒナは飛ぶことを覚えず、短命に終わるという自然淘汰の掟があるんです。それを人間の尺度で「かわいそう」と捉えるのは、ラインを越えた介入になるわけです。