あらすじ
キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙――。ラブレター、礼状、公式文書、メモ……、「手紙」だけが物語る笑いと哀しみがいっぱいの12の人生ドラマ。
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Posted by ブクログ
キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙など、手紙だけが物語る笑いと哀しみがいっぱいの人生ドラマ。
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プロローグ 悪魔
葬送歌
赤い手
ペンフレンド
第三十番善楽寺
隣からの声
鍵
桃
シンデレラの死
玉の輿
里親
泥と雪
エピローグ 人質
帯にあったどんでん返しの見本市に心底納得。役所の書類で物語が進む手法(赤い手)に驚き、(里親)のオチも、はっとしました。エピローグでは、前に戻って人物確認したり読書の楽しさを再確認しました!いつか再読するのでそっと本棚へ。
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Posted by ブクログ
手紙形式で綴られた12の短編からなる連作小説です。各話は独立していますが、最終章で登場人物たちが交錯し、全体として巧妙な構成が明らかになります。以下、各短編の詳細なあらすじを紹介します。
1.プロローグ:悪魔:上京した柏木幸子は、就職先の社長・船山太一と不倫関係に陥ります。彼の「妻と別れる」という言葉を信じていましたが、それが嘘であると知り、絶望の末、社長の娘を殺害してしまいます。拘置所からの最後の手紙で、彼女の悲劇的な運命が描かれます。
2.葬送歌:劇作家志望の女子大生・小林文子は、自作の脚本を恩師の中野慶一郎に送り、批評を求めます。しかし、彼からの返信には意外な事実が綴られており、彼女の期待は裏切られる形となります。
3.赤い手:出生届や死亡届など、公式書類のみで構成された異色の作品です。これらの書類を通じて、一人の女性・前沢良子の波乱に満ちた人生が浮かび上がります。最後に本人からの手紙が添えられ、物語の深みを増しています。
4.ペンフレンド:文具会社に勤める本宮弘子は、北海道旅行の案内役を雑誌で募集し、数名の男性と文通を始めます。最終的に一人の男性に決めますが、同僚の西村からの指摘で、思わぬ真相に気づかされます。
5.第三十番 善楽寺:「赤い手」に登場した吉川俊夫のその後が描かれます。飲酒運転事故を起こした彼は、自らに課した贖罪のため、ある寺院で新たな人生を歩み始めます。
6.隣からの声:新婚早々、夫の長期出張で一人暮らしを始めた妻・水戸博子。彼女は隣人との交流を手紙で夫に報告しますが、次第に隣人の話ばかりになり、彼女の精神状態に異変が生じていることが示唆されます。
7.鍵:画家の夫・鹿見木堂が山に籠る中、妻・貴子は自宅で強盗被害に遭ったと手紙で報告します。しかし、夫は手紙の矛盾を指摘し、事件の真相を明らかにします。この作品は、手紙の文面に隠されたトリックが秀逸です。
8.桃:セレブの婦人団体が養護施設にボランティアを申し出ますが、施設長・小原純子からの返信には、ある小説に沿った形で丁重に断られる内容が綴られています。有難迷惑の典型を描いた作品です。
9.シンデレラの死:家庭環境から逃れるため家出し、女優を目指すも挫折した女性・塩沢加代子。彼女は高校時代の恩師に宛てた手紙で、自身の過去と向き合いますが、手紙の真相と宛先の意外な事実が明らかになります。
10.玉の輿:病身の父のために裕福な男性と結婚した長田美保子。しかし、結婚生活は上手くいかず、元恋人への手紙で心情を吐露します。引用された手紙の内容が、物語に深みを与えています。
11.里親:バーで働く甲田和子は、作家志望の青年・藤木英夫に好意を抱きます。彼は師匠を殺したと告白しますが、和子は手紙のやり取りを通じて、事件の真相と彼の誤解に気づきます。
12.泥と雪:夫の浮気に悩む津野真佐子の元に、学生時代の友人・佐伯孝之から手紙が届きます。彼との文通を通じて、彼女は離婚への考えを深めますが、これらの手紙にはある人物の策略が隠されています。
13.エピローグ:人質
これまでの物語の登場人物たちが、ホテルでの人質事件で再登場します。犯人は柏木幸子の弟・弘で、彼の要求や事件の展開を通じて、各キャラクターのその後が描かれ、物語は大団円を迎えます。
『十二人の手紙』は、手紙という形式を巧みに活用し、各人物の内面や人間関係を深く描写しています。各短編の結末には意外性があり、読者を引き込む構成となっています。最終章での登場人物たちの交錯は、全体の物語に統一感を与え、読後感をより豊かなものにしています。
Posted by ブクログ
これは新しい。
手紙だけで構成されている短編集ミステリー。
特に、役所の書類だけで1人の女の半生が分かる「赤い手」が印象的だった。
全部別々の話のように見えて、同じ登場人物がひょっこり他の話にも出てきたり(古川俊夫)、エピローグはオールスター感謝祭みたいになってたりなかなか面白味があった。
ただ短編集ということもあり、どんでん返しの衝撃度は軽め。
Posted by ブクログ
手紙形式という珍しい形式をとった短編ミステリ集。
最後に全体通しての伏線回収も。
後書きにもあったが、
手紙形式という形が、より親密な印象、切迫感、などが伝わりやすく、受け手としての臨場感を持ちながら読むことができる。
面白かった。
書店の触れ込みから本書を読んだが、
その際記載されていたほどの驚き/感動はなかったため、星は三つ。
ただ、短編ごとに予想を裏切られるので、ジェットコースターの少し落ちる感覚を何度も味わえるような作品。