【感想・ネタバレ】BCG「最強(グレート)」を超える戦略 不確実な時代を勝ち抜く9原則のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年03月08日

経営環境が急速に変わりつつある中、企業が高業績を維持するにはどうすればいいのか?BCGが、不確実な時代を勝ち抜くための戦略を説く書籍。

「グローバリゼーションは死んだ」とする見方があるが、研究調査によれば、実際にはグローバル統合は加速している。ただし、ルールは根本的に変化している。
グローバルビジ...続きを読むネスの本質を変容させたのは、次の3つの力である。
①自然環境保全と資本主義への不満
②経済ナショナリズムの激化
③テクノロジー革命

これからの時代に持続的に高業績を上げ、さらに成長する。そんな企業をつくるための戦略は、次のようなものだ。
・社会的価値を高めて成長する
善い行いを中核事業に統合できる企業は、従業員や市民社会、政府などのステークホルダーにプラスの影響を与え、長期的により高い株主利益をもたらす。
・柔軟な生産・供給網をつくる
破壊的変化が進む中、グローバルなデリバリー・モデルには、コスト抑制だけでなく、スピード、対応力、レジリエンス(回復力)が求められている。
・データをフル活用する
今日、データは将来のパフォーマンスや消費者行動の予測に利用するためだけでなく、グローバル顧客の心をつかむバリュープロポジションを推進するための原動力となる。
・顧客起点、スピード、フラットの展開
組織形態がマトリクス構造では、官僚主義に陥り顧客ニーズの変化への対応が遅れてしまう。より柔軟で流動的な体制へと変革しなくてはならない。

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Posted by ブクログ 2022年01月08日

■グレートカンパニーを超えるための9つの戦略
①社会的インパクトを中核事業とは異なる領域の活動と見なすのではなく、社会的インパクトを及ぼすことで長期的かつ持続的なTSRを実現するために、中核事業を再構想する。善い行いをコア戦略やオペレーションに思慮深く統合できる企業は、すべてのステークホルダーにプラ...続きを読むスの影響を与えながら、持続的に高い株主利益をもたらすだろう。
②物理的製品・サービスだけでなく、魅力的なデジタル・ソリューションと体験を提供する。今日の最先端企業は、顧客にとっての成果と体験を完全に掌握している。デジタルテクノロジーを活用して、満たされていないニーズを充足するためにユーザーの利用ライフサイクルに深く入り込み、物理的製品・サービスに新しいソリューションを結びつけるか、物理的製品・サービスを完全に置き換えようとしている。
③すべての地域で一斉にではなく、選択的に(つまり、利益を出しながら市場シェアを獲得できる地域で)現地の環境に適したやり方で成長する。最先端企業は、アセットライト(資産保有を最小限にすること)、デジタル、EC中心のビジネスモデルを用いて、新市場に参入し急拡大している。また、参入先の市場を決めるときにより選択的にもなっており、逆説的だが、選定した市場には関与を深めている。
④顧客が強く求めるソリューション、成果、体験をつくり出し提供できる新しいダイナミックなバリューウェブで、従来のバリューチェーンを補完する。こうしたバリューウェブやエコシステムはメディアで盛んに取り上げられてきた。しかし、最先端企業が気づきつつあるように、他よりもうまく機能しているエコシステムもある。
⑤複数地域のハイテク工場や物流センターに投資を行い、低コストのキャパシティと組み合わせて、商品をカスタマイズして素早く届けられるようにする。今日のデリバリーモデルは、低コストであることに加えて、破壊的出来事に直面した際にも、スピ ード、対応力、レジリエンスを備えていなければならない。 ⑥他の8つの戦略を支えるために、グローバルなデータ・アーキテクチャと分析能力を構築する。最先端企業は、グローバルデータを、将来の業績や消費者行動を予測するだけでなく、勝てるバリュープロポジションを推進するための大事な動力源と見なしている。
⑦従来のマトリクス型組織モデルから脱却し、プラットフォームの組織能力で支えられた顧客起点のアジャイル・チームを導入する。変動の激しい時代において、官僚主義や顧客との距離の遠さは致命傷だ。今日の最先端企業はそのことを心得ている。
⑧デジタルに精通した意欲の高い人材を獲得し、再訓練し、動機づけ、権限と力を与える。企業は今日、新世代の従業員が希求し必要としていることにもっと注意を向けな くてはならない。21世紀の人材に対して探し方、動機づけ、育成方法を根本的に変える必要がある。
⑨従来の1回限りの変革プロジェクトではなく、常時継続のトランスフォーメーションを進める。この戦略は、他の8つの戦略で成功するために不可欠だ。不安定で急速に進化する事業環境の中で競争に勝つために、グローバル企業は継続的に複数の変革を進めることに熟達しなくてはならない。

■最先端企業は今日、物理的製品に驚くようなサービスのレイヤーを重ねて、多くの場合、物理的製品をサービスとして販売している。
 ワールプールの元戦略責任者のラッセル・ストークスによると、同社は家電製品経由で提供する新しいデジタルサービスを展開しているそうだ。「我が社ではすでにソフトウェアのレイヤーを追加した製品のサービタイゼーションを始めている。Wi-Fi経由で食洗器を修理したり、リモートで更新ソフトをダウンロードしたりできるとしたら、あるいは、レシピをダウンロードしてオーブンに表示できるとしたら、どうだろうか」と彼は言う。

■買い物体験が高度にパーソナライズされると、カートに品目を追加する可能性は110%高まり、予定よりも支出が増える可能性は40%高まる。

■ユニリーバの取り組み
 対応力をさらに高めるために、ユニリーバの経営陣はさらに2つの打ち手をとってきた。第1は組織のフラット化だ。CEOから現場までの管理職の階層を13からわずか6に減らした。…
 第2に、ユニリーバは主要機能の一部を分散化させてきた。これは、こうした機能が現地のチームや消費者とより緊密に接触できるようにする動きだ。…
 …以前は、グローバル本社に置かれていたECやマーケティングなどの一部機能については、その機能にとって組織内で最も重要な地域に移転することも戦略的に進めてきた。
 移転によって、その機能のオペレーションを大規模に展開しつつ、遠く離れた本社の考え方から機能担当の従業員を解放することができた。イノベーションやサプライチェーンなどの機能はグローバルカテゴリーチームに統合され、現地の事業や市場により近づくことを認めた。マトリクスモデルから脱却し、各国に研究開発予算の一部の正式な管理権限が与えられて、現地の消費者が望む製品・サービスを速やかに市場に投入できるようになった。データやガバナンスなどのグローバル機能でさえ、「現地市場にどう役立つかという考え方で構築しなくてはならない」と、パランジェは指摘する。

■カルチャーに注入すべき重要な5つの要素
・社内プロセスを優先するのではなく、顧客への共感と理解を徹底的に重視する。
・マイクロマネジメント、指揮統制ではなく、権限委譲する。
・ずっと計画ばかりで停滞するのではなく、迅速に行動する。
・慎重になりすぎずに、リスクをとって大胆に意思決定する。
・部門内等に閉じた、サイロ化された考え方ではなく、協働する。

 デジタル人材を引き込むために、既存事業所とは別環境をつくるという極端な例もある。自動車会社のルノーは自社の産業財企業というアイデンティティが、人材を惹きつけデジタルセンターを迅速に立ち上げる取り組みの妨げになりそうだと感じた。そこで、外部の有名企業と提携してセンターをつくり、主要組織とは切り離して、「ビルド・オペレーション・トランスファー(B・O・T)」モデルでマネジメントすることにした。B・O・Tモデルとは、実際の仕事を行いながら新たな組織能力を構築し、革新的な商品・サービスを実現しつつ、新しい働き方を定着させていくアプローチである。このセンターはわずか6か月で、意欲あふれる若手人材を惹きつけ、ルノーは他社がうらやむほどのデジタル・キャパシティを構築することができた。

■変革に向けての3つの課題
①自社にとって望ましい未来とそこにたどり着く方法を思い描く(ヘッド)。
②継続中の変革の取り組みの背後にいる従業員を動機づけ、力を与える(ハート)。
③敏捷性を持って実行しイノベーションを起こす組織能力を構築する(ハンド)。

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Posted by ブクログ 2021年10月31日

ペプシコやジョンディアなど企業を例にして、今後の世界がどのように発展するかを示している。
リーダーへの示唆が特に面白い。

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