あらすじ
最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。(解説・佳多山大地)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
4作品、全て面白かったけど、私はやっぱり表題作が好きでした。
ある売れないロックバンドがきっかけで、色んなことが連鎖して、結果的に世界をも救うことになる。
その繋がりが面白くて、希望でもあった。
現実に起こる全てのことに当てはまるとは思わないけれど、他の人にとっては意味のない価値のないことでも、自分が情熱を注いだものは、誰かの何かに少しでも影響してるんだって思えたら、毎日が少し楽しくなるなって思った。
Posted by ブクログ
それぞれ繋がるのか?と思いながら読んじゃったけど独立した短編でした。
ほかの作品とのリンクをちゃんと解説で言ってくれていて大変ありがたい。
「フィッシュストーリー」すごく好きだったなあ!瀬川さん!素敵!あとは「サクリファイス」と「ポテチ」での安定の黒澤ね、淡々としてて好き。今村と大西の話はここでしっかり出てくるんだなあと。「ポテチ」で尾崎がホームランを打つことで今村と大西が感動?してたのはちょっとあんまり分からなかったかも。
Posted by ブクログ
どこかで読んだことがある内容だなと思いながら読みましたが、「終末のフール」と繋がっていたのかと、合点がいきました。
インディーズのバンドの一曲から、色々な連鎖を生んで地球を救う話です。
伊坂節がバリバリ効いていて、読んでいてワクワクが止まりませんでした。
終末のフールを先に読んでいましたが、個人的には著書から読んだ方が良かった気がしました。
Posted by ブクログ
▪️動物園のエンジン
地面に横になったまま、夜の動物園で繰り広げられる男たちの会話を聞いていたのは永沢か、戻ってきたシンリンオオカミか、それとも…。
シンリンオオカミは開放感に満ちた檻の外の世界からなぜ戻ってきたのか。
『相棒』と、『あの時いなくなったシンリンオオカミ』は同じ『彼女』を意味しているのか。
あの夜の数日前まで、うるさかった『男たち』は夜の動物園でなにをしていたのか。
『あの夜』、なにがあったのか。
舞台はマンションやガソリンスタンドが近くにある郊外のさびれた動物園。
2年前にいなくなったシンリンオオカミの補充はなし。
放置された、既にいなくなったレッサーパンダの看板。
動物が脱走したのに破れたままのフェンス。
市が運営する動物園とはいえ、経営がジリ貧なら閉鎖の判断は容易。
永沢が自ら辞して尚、夜の動物園に来ていた理由は、本当に頭の調子がおかしくなったから?
市長殺害の『犯人たち』は、本当に永沢と無関係なのか。
いずれも、明確な答えはない。
10年前、すっかり変わってしまう前の3人の男たちの会話を『お気楽で平和だなぁ』と読んでいる内に、気付けば私もすっかり憶測ゲームにハマっている自分に気付く。
▪️サクリファイス
「ラッシュライフ」の黒澤が主人公として登場することで、自然に、異なる作品間の関連性を想像させられ、一気にページを繰る速度が上がる。
著者の作品は2冊目だが、この凝った構成は新鮮でおもしろい。
また、集落を守るため古くから風習として受け継がれる「こもり様」と、「集落を守るため」村長として自らの人生を捧げる陽一郎という、2つの『サクリファイス』。
悪評は無名に勝るとはこういうことか。
とは言え、本作にかぎらず、そもそも風習とは、他者が単純に評価できるものではないのだろう。
『不都合なことを別のことでカモフラージュする』。
そうせざるを得なかった事実を元に生まれ、受け継がれてきたものもあるだろうから。
評価軸に『正しいかどうかは別』なのだ。
そして、黒澤の言葉どおり『世代を跨いで伝達される慣習が存在しているのは、決してマイナスではない』と思う。
本作が書かれたのが2004年というのは驚きだが、『今の日本では、代々受け継がれていく思想はほとんどない。思想や常識ですら使い捨てで、知恵や知識を蓄積しようという意識が低い』という状況は、2026年のいま更に加速している。
使い捨ての時代だからこそ、古くから残る風習や歴史に新鮮さを覚え、改めて学ぶことがあるのも事実だ。
いまから22年前に書かれた本作からも。
たとえば作家が書く文章がもつ表現力。伝える力。
モノがあふれ、情報を手軽に入手できる現代において、『伝え方』の大事さを説く声は多い。
人間関係における『伝え方』と小説における『伝え方(表現力)』とは必ずしも直結するものではないが、著者の表現力の巧妙さ故に、『伝え方』の妙を想起させられる。
ひと言で言えば『夕暮れどき』。
それを『日が周囲の明るさを引きずって沈みはじめ、空全体が萎んでいく気配がある』とするだけで、読み手の中にその情景がゆっくりと浸透し、作品の中へ没入していく。
『光が閉ざされ、周囲の壁や自らの肌に、黒々とした闇が染みてくるのを、茫然と眺めていたのだろうか』
生贄として洞窟に入れられ、世間と遮断されていく情景や恐怖、喪失感という心の描写を、わずか一文43文字で読み手に伝えきる。
これらはほんの一例。
本作は、わずか72ページの短編なれど、内容だけでなく、そこかしこに散りばめられる文中表現の妙を味わうのも愉しい。
▪️フィッシュストーリー、ポテチ
現実は、そんなうまい話はないよね…
と思いつつ、いずれもハッピーエンドに爽快感を覚える自分もいる。
まさしくフィッシュストーリーというところか。
Posted by ブクログ
<目次>
略
<内容>
4つの短編からなる。伊坂ワールドの、なんとも言えない読後感に襲われる内容。伊坂ワールドでは珍しく、ハッピーエンドが多いか?