【感想・ネタバレ】亡国のハントレスのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ良かった。

ところで第二次大戦を舞台にした女性同性愛者の物語を2冊続けて読むことになったんだけど、偶然?今の流行?2冊とも想定していなかったからびっくりした。いい意味で。同性愛者の方は嬉しかったと思う。恋愛の一つとして、普通に描かれるのは素晴らしい。これまではなかったことにされてきたわけだから。

視点がコロコロ変わる。そこがいい。

ハントレスが誰かはすぐにわかる。隠しきれないものがある、という描写なのだろう。

イアンたちがナチ戦犯を見つけると、みんな怯え、命令されただけ、知らなかった…と言う。本気なのだろう。そう自分で信じ込んでいるのだろう。
イアンが言っている通り、戦争で起きたことは明確にしておかないと、また繰り返す。

ニーナの恋人が生きていたのはびっくり。てっきりハントレスに殺されたのかと。それで復讐したかったのかと。

ニーナが女性兵士たちに迎えられる場面、友情のシーン、すごく良かった。チーム。

ニーナとイアンはそのうち離婚するだろうけれど、「同志」として友情が続くのか、くっついたり離れたりを繰り返すのか。ニーナは空を求めて、足を止めないだろう。ニーナについていけるのがイアンだったらいいな。

ハントレスも時代に翻弄されたのだろうか。平和な時代だったら、彼女の残虐さは目覚めなかったのだろうか。彼女が残虐な殺戮を行ったのは、20代の頃。考えさせられる。

アンネローゼは自分も被害者だと思ってる。十分に罰を受けていると思ってる。その罰の内容があまりに自分勝手で、こいつ本当にどうかしてる!て思った。
でも、日本にもいる。昨日、ツイッターで、情報開示を求められた対象の人が、「裁判を起こされると心配で病みそうだからやめてくれ」とか「私が自殺したらどうするつもり?」とか言っているのを見たばかりだったので、ハントレスの論法が本気だと思った。本当に自分が被害者だと思ってる。こういう人たちにどう伝えれば、自分が加害者側だとわかってくれるのだろうか。共感性の問題なのか。

アンネローゼが子育てできたことも怖い。身を守るためのカモフラージュのため、幼い子供を育て守ることは大変だったはず。ひょっとすると愛情があったのかもしれない。その母親を殺しておきながら。その辺りの矛盾も恐ろしい。

一箇所、「心を割って話し合おう」と書かれていたシーンがあって、ん?て思った。

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2022年11月16日

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