あらすじ
斎藤幸平氏、絶賛!
「株式市場をぶっ壊せ。21世紀の革命は、いま始まったばかりだ」
「公平で正しい民主主義」が実現した2025年にいるもう一人の自分と遭遇した。分岐点は2008年、そうリーマンショックがあった年だ。2011年に「ウォール街を占拠せよ」と叫んだ、強欲な資本家と政治家に対する民衆の抗議活動はほどなく終わったが、「もう一つの世界」では別の発展をたどることになった。資本主義消滅後のパラレルワールドは、はたして新たなユートピアなのか、それとも?
『父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』著者による衝撃のストーリー!
資本主義が滅びた「もう一つの世界」では……。
→銀行がなくなる
残るのは中央銀行1行だけ
→株式市場がなくなる
社員は1人1株、議決権1票
→独占巨大資本がなくなる
GAFA消滅
→格差がなくなる
中央銀行が国民全員に定額を給付
→上司がいなくなる
好きな相手とチームをつくり基本給は全員同額
分岐点は2008年/この世界と異なる選択をした「もう一つの世界」/パラレルワールド/S F/経済学/ギリシャ哲学/オルタナティブストーリー/デジタル化はプロレタリア化/資本主義の終焉?/新しい社会主義?/サッチャリズム/スターリン/ジェフ・ベゾス/リーマンブラザーズ/貨幣/土地/議決権/強欲資本家/1人1株1票/スター社員も新入社員も基本給は均等割/パーキャブ口座/ヒエラルキーの消滅/銀行の消滅/イデオロギー/コーポ・サンディカリズム/家父長制/恋愛至上主義/フェミニズム/アクティビスト/リベラリスト/ワルキューレの騎行/ヘパイストスの狂気
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
パラレルワールドと通信できる機械を使って、資本主義の滅んだ後の世界を見聞するというストーリー。
破天荒な設定で物語を紡ぐためにSF仕立てにするのはナイスなアイデアですが、資本主義を相手にするにしては詰めが甘い気がする内容でした。
資本主義が倒れたあとの「もう一つの世界」では、
・銀行がなくなり、残るのは中央銀行1行だけ
・株式市場がなくなり、社員は1人1株、議決権1票を持つ
・独占巨大資本がなくなり、GAFA消滅し、情報や資本の過度な集中から開放される
・格差がなくなり、中央銀行が国民全員に定額を給付
・上司がいなくなり、好きな相手とチームをつくり基本給は全員同額になる
そうです。
でも、日本の場合は非正規雇用の労働者(労働人口の40%)を正社員化する必要があるし、政治・経済を円滑に回すために不正を防ぐための公明正大なコンピューター・ウィルスが開発・流布されないといけないし、ベーシック・インカムはあっても所得の差は解消されないし…つまり実現性の観点からは追加検討の余地が大き過ぎ。
SF仕立てにするにしても「そういう世界があっても良いかも」と思わせる程度のリアリティが必要と思いますが、本書のアイデアは騙されたくなる程度までには成熟されていないと感じました。
そのため、この小説の好みは、作者バルファキスの提示するパラレルワールドに賛同出来るかに依りそうです。