あらすじ
ある日作家のもとに現れた、哲学者の言葉を語る不思議な猫。「語の意味とは何か?」「〈私〉は誰?」――哲学の諸問題を、猫と作家が案内する。サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、小林秀雄……古今東西の哲学者、思想家たちの核心を紹介。時空を旅する猫とでかける、「究極の知」への冒険ファンタジー。
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Posted by ブクログ
19歳の時に出会った「存在と時間」があまりに理解できなくて、初めて自分の理解域に限界を感じて、ものすごく自分自身にガッカリしたことを思い出しました。
だけど、今でもやっぱり分からない。哲学って難しい。
入門書なので、原書に比べれば平易に書かれている筈なのに、やっぱり「成る程!」ってなれないモヤモヤが残る。
これは!なエッセンスを感じることは出来たから、とりあえず良しとしたいなあ。
今作の中では、大森哲学が分かりやすいし、ロマンチックで良かったな〜。ちょっと作品探してみたいな。
以下、間違った理解かもしれないのでご注意ください〜汗
メモメモ( ^ω^ )φ
◉ウィトゲンシュタイン◉
【言語ゲーム(言語なしには有り得ない世界)】
ある言葉の意味を考える時、絶対的な本当の意味を指すことは不可能!相手が対象物を知らない時、写真や絵もない場合、どうやって意味を説明しうる?=意味に対応するモノは存在しない!
【私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する】
【世界の意義は、世界の外になくてはならない】
【人は、語り得ぬものについては、沈黙しなければならない】
◉サルトル◉
【百万人の飢えた子供達にとって文学は何の意味があるか?】
人間は存在することに、そもそも選択の余地がない。強制的にこの世に生み出され、人生を生きる中で人間を形成して行く。人間は、自身という存在を将来に投企し、あらゆる行動を自ら選択・履行(≒engage)しながら生活している。=【自由の刑に処せられている】
【君は自由だ。選びたまえ。つまり創りたまえ】
第三者に助言を請う時、私たちは意識的にせよ無意識的にせよ、助言者が何を言うのか既に分かっているはず。つまり、誰かに相談するという行為は、他人の助言を求める体裁を取ってはいるが、自分自身で答えを選んでいることになる。
青い鳥症候群/私にはできたはずだ。周囲が、状況が、友人達が、恋人が、私の中に本来あるはずの可能性を見出してくれないだけなのだ。
◉ニーチェ◉
【神は死んだ】ーー現代日本人には理解し難い感覚。価値観が転倒する体験。
【永劫回帰】ーー同じことが永遠に繰り返す=来世の否定、新たな可能性の欠如。
=精神崩壊。
◉フッサール◉
私達は世界を一転集中的にのみにしか認識し得ない(志向性)=情報を無意識に取捨選択する能力を持っている。
我思う=現象学の出発点。この世界がマトリックスの世界で無いと、どうして確信できる?しかし、VRが発達してなお、それを認識している「私」の存在は否定し得ない。だからこそ、「我思う、ゆえに我あり」は成立する。
◉ハイデガー◉
存在物が「ある」ことへの懐疑ではなく、そもそもの「存在物」への懐疑。
◉大森荘蔵◉
幽霊は見えるが触れ得ぬものとして存在している。
客観的事実のみが存在していると断ずる科学信仰は、それまで人々の中にあった豊かな自然像をタブーとして圧殺してしまった。
この世界が「現実」であると認識する私達は、それを証明できない。嘘か真かを判断するのではなく、目の前の「現実」に対する一つの態度を決めるしか無い。
ウィトゲンシュタインのように、目の前の「意味」を「表象(人によって見え方の異なる写し)」として捉えてしまうと、「表象の意味」「表象の表象の意味…」という無限ループに陥ってしまう。→大森哲学は、この問題を「表象なんてない!私達はその風景を直に見ている!」と断じることで解決。
過去の思い出も、過去のシーンを表象として見ているのではなく、過去の出来事を「直に」見ている。直に近くすることはできない亡き人を、直に思い出す、つまり、思い出の中にその人がいるのである。
Posted by ブクログ
本書は、兄が哲学部分を、妹が物語部分を書いている。
『私』の愛猫にある日とつぜん哲学する猫がトリツイテシマッタ!あらゆる哲学者と時空の狭間で結び付く猫は、彼らの残した言語という冒険に『私』を巻き込んでゆく…。
哲学という教育を主体的に受けたのは、これが初めてかもしれない。
ちょいちょい眠かったし理解できない項目も多々あったけど、入りやすかった。
以下、記憶に残った諸々。
・君の言語の限界は、君の世界の限界(ウィトゲンシュタイン)
・『不知の知』…自分がいかに知っているか、ではなく、自分がいかに知らないか、ということを直視できる人のほうが知恵がある(ソクラテス)
・いつから人間が動物の主人になった?(『沈黙の春』レイチェル・カーソン)