【感想・ネタバレ】知ってるつもり 無知の科学のレビュー

あらすじ

自転車や水洗トイレの仕組みを説明できると思いこむ。ネットで検索しただけでわかった気になりがち。人はなぜ自らの理解を過大評価してしまうのか? 認知科学者のコンビが行動経済学やAI研究などの知識を結集し、「知ってるつもり」の正体と知性の本質を明かす

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人間は外部に知識をアウトソーシングして生活している(自分がいる空間を把握しているつもりでも、ライトの形ひとつ見直さないと思い出せない)。知識不足を漫然と自信でカバーしている。専門分野が違うもの同士で協力して初めて人間の能力を超えた推論能力を獲得する。人間は直感と熟慮の二つを行ったり来たりしているが、日常生活の大半は直感で処理するために誤謬が生じることが多い。人間は表層的にしかものを知らないが、それでも十分生きていけるのは知識のさまざまな部分の責任をコミュニティ全体に割り振るような認知的分業が存在するからだ。「知らないと言うことを知らない」を知ることが大切で、そのためには自分が知っていると思っている事柄を「人に正しく説明できるか」が鍵になる。大抵は出来ないので、そので我に帰るタイミングがある。人は集団知識によってパフォーマンスを何倍にも出来、世の中の発見というのは大抵の場合同時多発的に起こる。それは複数の知識と推論によって発見できる条件が発動したからに他ならない。

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2025年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても興味深い内容だった。

人間はみんな無知であること。
ほとんどの人間が知識の錯覚を起こしてること。
知能は、知識のコミュニティという所属するコミュニティに依存、依拠するものであること。

どれも分かっているようで、指摘されることで少し受け入れ難く、読み進めることで納得してしまうものばかりである

また、本書の素晴らしいところは、知識の錯覚によって人間が繁栄してきたこともちゃんと認めた上で、危険性についてもまとめている点である。

"実力も運のうち"を読んでいたときにも個人の能力は、その人の努力のみで生み出されるものではないことにも通ずる考えのように感じる。

我々人類は、独りでは生きていけず、個人だけで成長していくには人生という時間はあまりにも短い。それを超え、繁栄を今も続けているのはコミュニティという存在であり、他者との協力にある。

そう思うと、人の理解のために誰かの功績にしてしまうという構図は、貧富の格差を産んでしまうことにも繋がるように思う。

本来は分配されるべき成果や、報酬であり、本来は関わったすべての人が享受すべきなのではないだろうか。この議論に行き着くと、きっと共産主義になりそうとも思うため、難しい。

ただ、多くの専門家などがいて、各職業でそれぞれの職務を全うしている人々が、協力することで成り立つ世の中で、頑張っている人たちが正しく貢献度に対して評価され、さらには個人主義、個人能力至上主義のような風潮、意識が変えられていくことを切に願う。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本は
①、我々の知識の殆どは他人(環境)任せ
②、我々はその事を理解出来ていない
③、しかし①である方が効率的
④、しかし②を理解していないと問題が多発する
と言う事を、例を挙げて解説する内容が終始延々と記述されており、恐らく誰しも何となく思っていた事が殆どに感じます。

それでも良い本だと思うのは、あとがきに書いてあるとおり、『改めて考えてみるまで、こうした考えを明らかだとは思わないから』。

内容は具体的な事柄に対しての対策と言うよりも人生の各事柄(生活、勉学、人間関係)のどの事にも言える汎用的なもので、且つふわふわと思っていた事が明確化された事で各事柄に対するより良い選択や方向性の決定に寄与してくれる内容であり、人生を豊かにしてくれるものだと感じます。

コミュニティにおける効率と言う強みを重視し過ぎており、少々スタンドアローンの重要性を軽視し過ぎているきらいはありますが、本の内容(コミュニティ)を鵜呑みにしないと言うのも、当の本に記述されている事だと言うことを加味して、人生(文明社会での生活)の基礎力を高めてくれる良本だと思います。

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2025年09月09日

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